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うちのハムスターが引きこもってばっかりだと思ったら、急に擬人化してきたんですけど!?  作者: 櫻木サヱ
ちくわ、初のファンイベントで地獄を見る

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19/22

ファンイベント開催決定!ちくわ、段取りを3分で忘れる

事務所の会議室。

テーブルにはスケジュール表、進行台本、そして大量の付箋。

凛とプロデューサーの高峰が、真剣な顔で資料を広げていた。


高峰「――というわけで、ネット人気が爆発している今、ちくわくんの初ファンイベントを開催します」

凛「ついに……! ちくわ、これ大チャンスだよ!」


ちくわはきらきらした目で、

「ファンって、ぼくのこと好きな人たち!?」

「そうだよ」

「うわあぁぁ……会いに来てくれるの!? すごい!!」


しっぽがあったら振り切れてる勢いで喜んでいる。

(※しっぽはもうない)



凛はホワイトボードに段取りを書き始めた。


●イベント流れ

1.開会あいさつ

2.ミニトーク

3.ファン質問コーナー

4.撮影タイム

5.お見送り握手


「ちくわ、これを順番どおりにやるだけ。わかった?」

「わかった!!」

「本当に?」

「もちろん! ぼく賢いからね!!」


高峰と凛は顔を見合わせ、不安の共有が一瞬で完了した。



そして3分後。


ちくわ「ねぇりんちゃん、イベントってなにするんだっけ?」

凛「早いッッッ!!!!」

高峰「3分だった……今回は記録的だよ……」


ちくわは慌ててホワイトボードを見返す。


「うーん……

1.開会あいさつ

2.ミニトーク

3.ファン質問コーナー

4.…………

……………」


「……5番、なんだっけ?」

凛「まだ4番も言ってない!!」



イベント準備は地獄のように進んだ。


・スタッフ「ちくわくん、この衣装でいきます?」

 ちくわ「これチャックどこ?」

 → そもそも上下逆に着ていた。


・司会者「自己紹介は“元ハムスターです!”でいいですね?」

 ちくわ「はい! でも最近“人工生命体説”流れてるんですよね?」

 司会者「やめて!? 振り返らないでその噂!!」


・リハーサル中

 監督「立ち位置ここね」

 ちくわ「ここ!」

 監督「そう、そこ」

 2秒後

 監督「あれいない!?!?」

 → 気付いたら台本読めない場所に移動している。


凛は心の底からつぶやいた。


「……初イベントでスタッフ倒れるかもしれない」



最後の打ち合わせ。


高峰「ちくわくん、緊張してる?」

ちくわ「ちょっと! でも楽しみ!」

「そうか……。じゃあ本番は、自分らしく行こう」

「うん! ぼく、ぼくらしくがんばる!!」


凛は笑って頷いた。


「ちくわ、自分らしくでいいよ。

……ただし、走るな。回るな。登るな。齧るな。」

「人間なのに制限多くない!?」



イベント前日。

SNSには、すでにちくわの名前でハッシュタグができていた。


#ちくわに会いに行く

#人工生命体か確認したい

#元ハムスターの握手会とは


凛(……なんか心配しかない)

ちくわ(ドキドキ……!)


こうして、ちくわ初のファンイベントは、まだ始まってもいないのにカオスの匂いが濃厚だった。


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