広がる憶測。「ちくわ、実は人工生命体説」
ドラマ撮影も一週間目。
ちくわは相変わらず漢字が読めなかったり、ハムスター走りを出したり、壺を倒したりして現場を騒がせていた。
だが――
それとは別に、ネットではとんでもない事態が発生していた。
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SNSトレンド
「#ちくわ人工生命体」
「#元ハムスターってマジ?」
「#生物学的に説明してくれ」
凛は控室で頭を抱えた。
「……なんでこうなるの……?」
そこへ、本人はスナック菓子を食べながら登場する。
ちくわ「りんちゃーん! これおいしい!」
凛「ちくわ、落ち着いて聞いて。今ネットで変な噂が広まってる」
「えっ!? ぼくの人気急上昇ってこと!?」
「……まあ、“話題には”なってる」
ちくわはスマホを覗き込み、目を丸くする。
「“ちくわ、実は人工生命体説”……?」
「なんの説明もつかない動きとか、演技の崩壊っぷりとか、元ハムスター設定とか……全部が合わさって、“普通の人間じゃない”って思われてるの」
「えぇ!? ぼく、人間だよ!?(元ハムスターだけど)」
「その時点で普通じゃないんだよ!」
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そこへ、プロデューサーの高峰が慌てて飛び込んでくる。
「ちくわくん! ちょっと緊急で話が!」
凛「また何かあったんですか……?」
高峰「ネットでの噂が広がりすぎて、スポンサーが『ちくわくんは何者なのか』とざわついてましてね……」
ちくわ「ぼく人間です!」
高峰「……どこからどこまでが本当なんだい?」
「えっと……人間になったハムスターです!」
「説明になってないんだよねそれが!!」
高峰は頭を抱えた。
しかし次の瞬間、スマホが鳴り響き、画面を見て固まる。
凛「どうしました?」
高峰「……ちくわくんのフォロワーが、さっきから1万ずつ増えてる」
ちくわ「すごい!!」
「いや、すごいけど……理由が全部“謎すぎるから”なんだよなぁ……」
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午後、現場入りするとスタッフたちがざわざわしていた。
「おはようございます!」
ちくわの挨拶と同時に、数人が振り返る。
AD「……本物だ」
メイク「めっちゃ普通に歩いてる……」
音声「人工生命体じゃなくて人間っぽい動きしてる……」
ちくわ「そんな心配されるの???」
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黒川大御所まで噂を耳にしていた。
黒川「……ちくわ。人工生命体とはどういうことだ」
ちくわ「ぼくも知りたいです!」
「君が一番知らないのか……」
黒川は少し考え、ため息をついた。
「だが、人気とは得てして理解不能なところから生まれるものだ」
「かっこいい!」
「……またそれか」
だが黒川は続けた。
「この騒ぎも、いずれ“君の色”として定着するだろう」
「ぼくの……色……?」
「そうだ。人と違うことは武器にもなる」
ちくわの目がキラッと輝いた。
「黒川さん! ぼく、がんばります!!」
「……頑張る方向を間違えるなよ」
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その日の帰り道。
凛「ちくわ、今日もお疲れ」
ちくわ「ねぇ凛ちゃん……ぼく……変なの?」
凛は立ち止まって、優しく言った。
「変だよ。でも、そこがいいの」
「いいの!?」
「うん。ハムスターでも人間でも人工生命体でも、みんなちくわが“ちくわ”だから見てくれてるんだよ」
ちくわは嬉しそうに笑った。
「じゃあ……もっと頑張らなきゃ!」
「いやだから方向だけは気をつけて!」
その声が夜の街に響いた。
こうして、ちくわの“謎すぎる人気”は芸能界の外にまで広がっていくのだった。




