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うちのハムスターが引きこもってばっかりだと思ったら、急に擬人化してきたんですけど!?  作者: 櫻木サヱ
ちくわ、芸能界の闇をちょっとだけ覗く

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17/22

謎の業界ルールに困惑。「差し入れはチーズケーキでOK?」

ドラマ撮影も二日目。

ちくわは慣れたのか、廊下を歩くたびに

「おはようございます!」

と元気よく挨拶しては、なぜか3割のスタッフをビクッとさせていた。


凛(なんで驚かれるんだろ……?)

ちくわ(ハムスター時代よりは怖がられないからラッキー!)


ちくわのポジティブ思考は今日も絶好調だった。



撮影の合間、ちくわは差し入れコーナーの前で立ち止まった。

机の上には様々なお菓子、ドリンク、そしてスタッフからの謎の手書きメモ。


「“差し入れに外れなし”……?」

「“若手はチーズケーキ持ってくると好かれがち”……?」

「“大御所の前を猛スピードで横切ってはならぬ”……?」

「“飲み物のストローは刺したら負け”……?」


ちくわ「なにこれ!? 怖い怖い怖い!!」


凛が横から覗き込む。

「ああ、それ“業界あるあるメモ帳”だよ。スタッフがネタで貼ってるの」

「ネタ……? 本気じゃないの?」

「本気のようで本気じゃないし、本気じゃないようで本気なとこもある」


ちくわ「難しすぎるぅ!!」



そこへ黒川大御所が通りかかる。


黒川「何を見ているんだ」

ちくわ「あ、黒川さん! 差し入れルールって、チーズケーキがいいって本当ですか?」

黒川「……まあ、嫌われはせんだろう」

「じゃあ持っていきます!!」

「別に強制ではないが……」

「ありがとうございます!」


黒川は少し呆れながらも、どこか楽しそうに去っていった。


凛はちくわの腕を引っ張る。

「ちくわ、差し入れって”義務”じゃないからね?」

「でも喜んでくれるなら持っていきたい!」

「……そういうとこは偉いんだよなぁ……」



午後、再び撮影。


監督「じゃあ次、ちくわくんは”入り口で転びながら入ってくる”演技お願いね」

「はい!!」


入り口の前で構えるちくわ。

……が、転び方がわからない。


「凛ちゃーん、転び方ってどうやるの?」

「そんな質問初めて聞いたわ」


黒川がやってきて、静かに言う。

「ちくわ、芝居とは“計算された事故”だ」

「かっこいい!!」

「いや、そんな褒められるほどのものでは……」


黒川が照れているのを、現場の誰もが見逃さなかった。



いざ撮影。


監督「よーい……アクション!」


ちくわ「どりゃああああッ!!」

勢いよく飛び込んだ瞬間――


ガシャァァァン!


隅に置いてあったセットの壺を盛大に倒す。


スタジオ「…………」

監督「カットォォォ!!」


凛「なんでそんな全力で行ったの!?」

ちくわ「転ぶなら本気で、って思って!」

黒川「本気の種類が違うんだ……」


壺の破損は大道具さんによって「まぁちくわなら仕方ない」と処理された。

なぜか許される世界。それが芸能界。



その日の帰り道。


ちくわ「凛ちゃん、ぼく今日いろいろ勉強した!」

「うん、何を?」

「差し入れはチーズケーキで喜ばれる……たぶん」

「たぶん、ね」

「転ぶときは壺に気をつける!」

「それ最重要」


そしてちくわは胸を張って宣言した。


「明日もがんばる!! ハムスターなりに!!」


凛は笑った。

「……いや、人間として頑張って」


今日も芸能界はちくわに振り回されていた。


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