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うちのハムスターが引きこもってばっかりだと思ったら、急に擬人化してきたんですけど!?  作者: 櫻木サヱ
ちくわ、芸能界の闇をちょっとだけ覗く

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15/15

初ドラマ現場!ちくわ、台本の漢字が読めない

ロビーに入った瞬間、ちくわはピタッと立ち止まった。

床が赤い。壁が黒い。天井がやたら高い。

「ここ……なんか、すごい……ッ!」

まるでディズニーランドに来たみたいに目を輝かせているが、ここはただのテレビ局の廊下だ。


マネージャーの凛がため息をつく。

「テンション上がるのはいいけど、今日はドラマの撮影だからね。ちゃんと台本読んできたんでしょうね?」

「もちろん! ぜーんぶ読んだもん!」

胸を張るちくわ。元ハムスターとは思えない自信。


……しかし。


控室に入った途端、ちくわはひそかにカバンから台本を取り出し、ページをペラペラめくり――

「……ん?」

止まる。

眉が寄る。

漢字が、思ったより、めちゃくちゃある。


「凛ちゃーん……これさ……」

「ん?」

「この漢字さ……“なんて読むの?”」


凛は一瞬硬直した。

「……ちくわ。あなた“読んだ”って言ったよね?」

「うん! “読んだ”よ! ……心で!」

「心で読むな!!」


こうして、撮影開始前からトラブルは発生した。



撮影スタジオに入ると、スタッフがバタバタと動き回り、本番の空気が漂っていた。

ちくわは緊張なのかワクワクなのか、両方の表情を同時に浮かべている。


「ちくわくん、こっち立って! カメラリハ行きます!」

スタッフに呼ばれ、指定の位置に立つ。


大御所俳優・黒川が隣で台本を片手に腕組みしている。

彼はいかにも“芸能界の怖い人”オーラをまとっていた。


「よろしくお願いします!」

ちくわは元気よく挨拶。


黒川はちらっとちくわを見る。

「……噂の“元ハムスター”くんか」

「はいっ! 元気にやらせてもらってます!」

「……うむ」


返事がそれだけ。

だがその「うむ」に圧がありすぎて、ちくわの肩がビクッと跳ねる。



リハーサル開始。


監督「じゃあ、黒川さんがセリフを言ったあと、ちくわくんが“えっと、それは……どういう……”って言いながら顔をそむける。OK?」

「おっけーです!」


しかしいざ本番になると――


黒川「貴様にこの家のことが分かるものか」

ちくわ「……えっと、それは……どういう……」


ここまでは完璧。


そして次の瞬間。


ちくわ「……あ、漢字読めないやつだ」

現場「カットォォ!!」


監督「ちくわ!? 台本にないこと言わないで!」

「だって、本当に読めなくて……」

「アドリブの方向が予想外すぎるんだよ……!」


黒川は腕を組んで、ため息を深く落とす。

「……ハムスター時代は文字など読めなかったのだろうな」

「はい! ひまわりの種は読めました!」

「読めるのか……?」


現場は謎の笑いに包まれた。



凛は頭を抱えつつも、どこか楽しそうだ。

「はぁ……もう……。でも、まあ……ちくわらしいか」


そう、これが “元ハムスタータレント・ちくわ” の初ドラマ収録。

波乱の幕開けだった。


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