SNSでバズるちくわ、なぜかアンチも増える
初仕事のバラエティで固まり、
次の仕事では「ハムスター走り」でセットを崩壊させ、
面談では「ハムスター歴3年」疑惑を残したちくわ。
だがその全部が――
ネットでは妙にバズっていた。
「え、ぼく……なんでバズってるの?」
スマホを持つ手がぷるぷる震えている。
ミオが画面を見せる。
そこにはトレンド入りしたタグ。
#新人タレントちくわかわいい
#動きが小動物すぎる
#本当に元ハムスターでは?
「いや、最後のタグやめてほしいんだけど!?」
ちくわは両手をばたばた。
さらにコメント欄を見てミオが読み上げる。
「『カメラに固まるの癒しすぎる』って書いてあるよ」
「そんな……固まっただけなのに……」
しかし、同じ量だけ“別の声”も目立ってきた。
「『キャラ作りがわざとらしい』」
「『新手の売り方?』」
「『ハムスター設定いる?』」
ちくわは膝を抱えた。
「アンチ……増えた……」
ミオが頭をぽんぽん。
「人気出たら絶対ついてくるものだから気にしないの」
しかしちくわは深刻。
「ぼく、別にキャラ作ってないのに……!ガチでハムスターだったのに……!」
そう、ここが問題の根源だった。
本当に元ハムスターなので、行動の全てが“リアル動物味”になってしまう。
ミオはため息。
「それが魅力なんだけどなぁ」
そしてその日の夜。
ちくわのSNSフォロワーは2万人を突破した。
驚いたちくわは震える指でつぶやく。
『ぼくは元ハムスターですが、がんばります』
反響は爆発。
応援・困惑・疑惑・興奮・研究者みたいなコメントまで混ざり、さらにカオスになった。
ミオが言う。
「……ちくわ、これ芸能界の地獄の入口だよ」
「ミオ、ぼく……もう少しがんばってみる……」
ちくわの瞳はきらきら。
しかしその裏で、新たなDMが静かに増えていた。
『君、本物?』
『尻尾は?』
『研究に興味ある?』
不穏な気配がじわじわ静かに忍び寄っていた。




