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うちのハムスターが引きこもってばっかりだと思ったら、急に擬人化してきたんですけど!?  作者: 櫻木サヱ
ちくわ、芸能界の洗礼を受ける

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12/15

プロデューサー面談:「経歴に“ハムスター歴3年”って何?」

番組のセット破壊事件から二日後。

私は事務所に呼び出された。

「ちくわさんと、担当マネージャーさん。プロデューサー面談です」

受付の人が妙に丁寧に言う。

……嫌な予感しかしない。


通された会議室には、大きな机と資料の山。

中央には、黒髪でキリッとしたスーツ姿の女性プロデューサー・日向ひなたが座っていた。

その表情は、あきらかに「何か問題が起きている顔」。


「まずは……これをご覧ください」

日向さんは一枚の紙をこちらに滑らせた。


そこには、ちくわの“仮プロフィール”があった。


名前:ちくわ

年齢:3歳(?)

職業:タレント

特技:回し車

好きなもの:ヒマワリの種

経歴:ハムスター歴3年・人間歴3日(現在更新中)


私は頭を抱えた。

ちくわは胸を張っている。

「わたしの、しんちょくりれきです!」


日向さんは深く息を吸い、静かに言った。

「……これは、一体どういう経歴なんですか?」


「そのままです!わたし、はむすたーでした!」

堂々と言うな。


日向さんは書類を指でトントン叩きながら、真顔で続ける。

「テレビ局から連絡がありましてね。

“ハムスター歴3年って何?本当に元ハムスターなの?

これ、設定なの?ガチなの?

どっちなの?どっちとして扱えばいいの?”

と、問い合わせが殺到しています」


うん、それは…そうなるよね。


ちくわは自信満々に言った。

「わたし、ほんとうにはむすたーでした!

ついこのまえまで、ケージにいました!」


日向さんはペンを落とす寸前で止めた。

その表情は、「頭で理解できるのに心が拒否している」時のやつ。


「本当に……元ハムスターなんですか?」

「はい!」

「医学的証拠は?」

「ありません!」

「じゃあ、証明できるものは?」

「ひまわりのたね、いっぱい食べられます!」


証拠として弱すぎる。


私は慌てて口を挟んだ。

「すみません、彼(?)は本当に元ハムスターなんですけど、人間になった理由は……私にも……」

言いながら、自分でも状況が意味不明すぎて笑いそうになる。


日向さんはため息をつき、書類を閉じた。

「一応、あなたのキャラは今“新種の人類っぽい何か”としてネットで注目されています。

なので設定はこのまま進めますが……」


ちくわ「はい!」


「問題は、あなたの行動です。

ハムスター走りでセットを壊したり、カメラを敵と誤認したり――」

「ごめんなさい」

ちくわ、素直。


日向さんは柔らかく微笑んだ。

「いえ、怒っているわけではないんです。

あなたは……“天然のバケモノ枠”として人気が出つつあります。」


“バケモノ枠”。

称号がひどいのに、本人は嬉しそうにしている。


「ですが、これ以上現場で事故が増えると、出禁になります。

なので、最低限の人間的行動マナーを覚えましょう」


私は思わず聞く。

「……ハムスターに、人間のマナーを?」

「はい。今日からレッスンします」


こうしてちくわは、

演技ではなく“人間としての基本行動”を叩き込まれることになった。

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