乙女ゲームのモブに転生しました。推しが尊いです。
アリサは、ただのモブ令嬢。
――だが彼女には誰にも負けない“使命”があった。
それは……推しの観察記録。
日本でプレイしていた大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった彼女は、毎日を「実況者兼ファン」として生きていた。
アリサ(あぁ、今日も王子の声が良い……低音の破壊力で一週間は生きられる……!
悪役令嬢のツン顔も美しい!あの眉の角度は芸術!)
彼女はいつも**分厚いノート(通称:聖書)**を持ち歩き、細かすぎる観察日記を書き込んでいた。
断罪の日、本来なら悪役令嬢が主人公に糾弾されるはずの断罪イベント。
しかし壇上に立たされたのは、なぜかアリサだった。
王子「アリサ……お前の視線が……迷惑だったのだ!」
アリサ「……え?」
観衆どよめき。
攻略対象たちが一斉に声を上げる。
攻略対象A「授業中も、舞踏会でも、ずっと俺たちを凝視して……!」
攻略対象B「その上、妙なノートに書き込みを……!」
攻略対象C「正直、怖かった!」
アリサ「ち、違います!これはただの――尊い記録です!!」
彼女はノートを開き、証明しようとした。
観察ノートの朗読
ページ①
「王子、告白フラグ未発生。
※会話回数がまだ5回。あと2回で『特別イベント(図書室)』発動予定。
※好感度ゲージ、現在70%。甘いセリフ率上昇中」
王子「な、なんで俺の心の動きを数値化してるんだ!」
ページ②
「悪役令嬢、今日も主人公を挑発。
※セリフが若干違う……これは“裏ルート分岐”のフラグ!?
※泣き顔CGが拝めるかどうかはこの学園祭イベント次第!」
悪役令嬢「わ、私の未来を勝手にイベント扱いするなぁぁ!」
ページ③
「幼なじみ、主人公を屋上に呼び出し。
※ゲームだとここで告白イベント。
※現実でも発生するのか!?心の準備しとけ自分!」
攻略対象A「読まなくていい!未来をネタバレするな!」
ページ④
「主人公ちゃん、フラグ乱立中。
※今週だけで3人に助けられた。
※フラグ建築スピード、過去最速更新。
※そろそろ“逆ハーレムEND”突入の可能性大」
主人公「統計取らないでぇぇぇ!!」
ノートをめくるたび、断罪会場は悲鳴の嵐。
「ぎゃあああああ!!!」
「恥ずかしい!もうやめて!」
「心が抉られるぅぅぅ!」
――断罪は、羞恥にのたうち回るメインキャラクター公開処刑会となった。
そしてその後ノートは没収された。
しかし、彼女は懲りていなかった。
むしろ逆に、メインキャラたちがアリサの視線を気にして挙動不審になる日々が始まったのだった。
誰も気づかぬうちに――
乙女ゲームのシナリオは大きく歪んでいた。
けれどアリサだけは幸せそうに笑っている。
アリサ「この世界、ほんと最高♪」




