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遭遇

とある日、今日は休日であるが柊人は涼香の家庭教師に来ていた。

「はあ、、なんで休日も勉強しないといけないわけ?」

「そう言われても、、頼まれてるからこっちからはどうしようもないし、、」

「休日ぐらいゆっくりしてたいのに」

「それは俺もそうだから許してくれ」

日程などは向こう側が決めているのでこちらからは調節は効かない。柊人もできれば休日は家で過ごしたいものだ。

「それにしても勉強ってのはどうしてこんなにも面白くないのかしらね」

「まああんま面白くてやってるやつは少ししか居ないだろうけど、、俺も別にやってて楽しいとはならんしな、、」

「ふーん、、思ったけどあんたって家でどのくらい勉強してるの?」

「いややっても2時間とかだな、別にそこまで勉強好きな訳でもないし」

柊人は授業内容は学校でほとんど覚えるので、家ではそのくらいしか勉強しない。

「そんなんで学年1位取れるわけ!?天才ってやっぱいい意味でキモイわね、、」

「ああ、キモイと思う」

「自分で言うのね」

「天才すぎても周りから引かれるだけだからな、いいことなんてほとんどないし」

「そうなの?」

「ああ、いいことばかりじゃない」

柊人は昔から人とは頭の作りが違った。小学生の頃から高校生が勉強するようなことをやっていたりしていて、周りとは話が全くもって合わないし、そのせいで友達も出来なかったし周りからは距離を置かれていた。

「なんでこんな頭に生まれたんだか、」

柊人の両親は柊人にとっては無駄に優れていた。もうどこかに消えた父親は若い頃は日本一の天才と言われていた。そして母親も人とは全て頭1つ抜けている程に優れている人物だった。

「私はあんたのこと尊敬してるけどね」

「そうなのか?こんなやつ尊敬してもいいことないぞ」

「だってあんたゲームも上手いじゃん、ゲーム上手いやつは誰であろうと尊敬してるよ?」

「そうか、ゲームも強すぎて当時の友人からはお前とはもうやりたくないって言われて全然一緒にゲームすらしてくれなかったんだがな」

ゲームにおいてもほぼ負けたことがなかった。だが、強すぎるが故に当時の友人は皆おもしろくないと言って柊人と対戦しようとせず、ほぼ仲間はずれ状態だった。

「そんなやついんの?私がそいつボコボコにしてあげるよ」

「いいよ別に気にしてないし、ほらこんな面白くない話いいからさっさと勉強してくれ」

「勉強終わったら今日もゲームに付き合って貰うわね?」

「ああ、いいよ」

「今日は休日だからいつも以上に練習に付き合ってもらうわね」

「はいはい、しっかり勉強したらな」

そうして涼香は勉強にのめり込んだ。


「今日の分終わったわね、、」

2時間程経過した頃、ようやく涼香の勉強が終わった。

「ああ、お疲れ様、よく頑張ったな」

「ええ、疲れたわね、、」

「疲れたならしっかり休んだらどうだ?最近結構勉強してるし」

「今日はゲームたくさんするって言ったでしょ?逃げようとしてもだめよ」

「いや別に逃げようとは、、辛くないのかなって」

「辛くなんかないわ、むしろゲームして復活するぐらいよ」

「なんだその機能は」

そんな話をしていると、ドアの方からノックの音がした。

「林さんかしらね、どうぞー」

どうやら家政婦さんが来たらしいので、涼香は部屋に入れることを了承した。そしてドアが開いたその瞬間、涼香は驚きの声を出した。

「え!?」

そこにいたのは、涼香の友達の星子真凜であった。

「お邪魔しま〜す、、ってなんで柊人っちがいるの!?」

「ああ、えっと、、、お邪魔してます、、?」

柊人は明らかに動揺した。


柊人と涼香は、真凜に事情を説明した。

「要するに柊人っちは涼花っちの家庭教師をやってるってことでおっけ〜?」

「ええ、そういうこと」

「えっと、、そういうことです、、」

少しばかり緊迫したムードに柊人は押しつぶされそうだった。

「ふ〜ん、まあ別に私が口を出すことではないんだけどさ、家庭教師って言ってる割にはめちゃくちゃ今からゲームしそうな雰囲気だったんだけど」

「あっ、えっとこれはその、、」

「真凜聞いてよ、こいつめちゃくちゃゲーム上手いのよ?真凜も戦ってみる?」

「ふ〜ん、そうなんだ!戦ってみたい!いいよね?」

「いや別にダメではないけど」

「じゃあやろ!言っとくけど私強いからね?覚悟してね!」

そうして真凜と柊人の戦いが始まった。のだが、

「え〜ん、強いよお〜、、勝てないよお〜、、」

結果は5連勝でぼろ勝ちだった。

「ほら言ったでしょ、めちゃめちゃ強いのよこいつ」

「確かに化け物ね、、それにしても涼香っちだいぶ柊人っちに懐いてるね」

「な、懐いてないわ、単に練習相手になるってだけよ」

「ふ〜ん、でも普段は男とは全く関わろうとすらしないじゃん、それなのに柊人っちのことは結構気に入ってそうだし!」

「いや別に気に入ってるとかじゃ、、」

「涼香っちの友達が増えて真凜は嬉しいよ!涼花っち真凜以外の人と全く話そうとしなくて心配だったし!」

「全然話聞いてないわ、、」

確かに涼香がクラスで真凜以外の人と喋ってるところはほとんど見たことがない。

「柊人っちも涼香っちのことよろしく頼むね!涼香っちは真凜が居なかったらずっと1人だったから心配だったの!」

「ああ、えっと、まあただの家庭教師なんで、、」

「それでも嬉しいな!これからももっと涼花っちに構ってあげてね!」

「真凜うるさいわ、それ以上変なこと喋ると部屋から追い出すわよ」

「も〜涼香っちは素直じゃないんだから〜」

「ほんとにうるさいわ、、」

涼花は呆れた顔でそう言った。

「2人の時間邪魔しちゃったわけだし!私はそろそろおいとまするね!」

「別にほんとに出ていかなくてもいいわ、せっかくなら3人でゲームしましょう」

「いいの!?ほんとに!?涼香っち優しい!」

真凜は涼花をぎゅっと抱きしめた。

「暑ぐるしいわ、、」

涼香はとても迷惑そうな顔をした。


そうして3人は数時間程ゲームを嗜んだ。

「そろそろ私帰らなきゃ!それじゃあ涼香っちも柊人っちもまたね!!」

そう言い残して真凜は部屋から出ていった。

「つ、疲れた」

「ほんとに嵐のような子だわ、、」

2人は真凜の勢いに圧倒され、疲れ果てていた。

「真凜がいきなりごめんね?勢いはすごいけど悪い子じゃないから、、」

「いや悪い子だとかは思わないよ、確かに疲れたけど、こうやってワイワイゲームするの久しぶりだったし、めっちゃ楽しかったよ」

「そう?それなら良かったわ」

柊人にとってこうやって遊ぶのはとても久しぶりなので、とても楽しめた。

「じゃあ俺もそろそろ帰ろうかな」

「帰っちゃうの?時間はまだ余裕あるわよ?」

「いやさすがに疲れただろ?勉強した後にあんなにゲームしたし、今日は休んだらどうだ?」

2時間ほど勉強した後にぶっ続けでゲームしているのでもちろん柊人も疲れていた。

「いやまだできるわ、それに今日はあんまりあんたと練習出来てないし、」

「いやでもさすがに、、」

「そんなに、、私とゲームしたくないの、、?」

「!!!!」

涼香は小声でそう言った。悲しそうな顔をして放ったその言葉に、柊人は完全に負けてしまった。

「しょ、しょうがない、ちょっとだけだからな?」

「やった、、!」

涼香はとても嬉しそうな顔をしていた。

(そんな顔で言われたら断れるわけないだろうがよ、、)

柊人はあんまり涼香に対してなんの感情を覚えることもなかったが、今初めて涼香ことを「可愛い」と思った柊人であった。








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