勝負
次の日、柊人はいつも通り学校にいた。昨日の出来事がありどうなるのかと心配であった。柊人のあとに東条さんが来たが、特に話すこともなく一日が終わった。
柊人は家に帰ってきて一息着いていた。この後は東条さんの家庭教師をしに行く。
「今日もしっかり教えられるといいんだけどな、、」
そう不安を抱きながら東条さんの家へと向かった。
「お、お邪魔しまーす、、」
恐る恐る入口の扉を開けた。
「小野様ですね!涼花様は既にお部屋で待っておられますよ!」
「あ、ありがとうございます」
扉を開けた瞬間に家政婦の林さんが出迎えてくれた。
そうして柊人は東条さんの待つ部屋の扉を開けた。
「こんにちは東条さん、、ってん?」
部屋に入った瞬間に目に飛び込んできたのは、ヘッドホンをつけてゲームをガチっている東条さんがいた。
「今ゲームしてるから話しかけてこないで」
「いやそんなこと言われても、、」
「、、、、」
そうして東条さんは再びゲームをやり始めた。
(どうすればいいんだ、、?)
このままでは勉強ができないので何か解決策を考えなければならない。
(これならワンチャンあるか?)
柊人は思いついた解決策を試してみることにした。
「なあ」
「なに?」
「勝負をしてみないか?」
「は、、?」
柊人の提案に東条さんは困惑した。
「俺が勝ったら勉強する、負けたら今日は素直に帰るとするよ」
柊人の提案はこういうものだった。勝負を持ちかけることでなんとか勉強をさせようという魂胆だった。
「あんたこのゲームやったことあんの?自分で何言ってるかわかる?」
「ゲームはあまりやる方じゃないが、まあ1回やってみようよ」
「まあ別にいいけど」
そうして柊人と東条さんの戦いが始まった。
ゲームは格闘ゲームでルールは簡単、相手を倒せばいいだけ。
『レディーファイト!!』
試合が始まり両者共に動き始める。さすがに「まだ」動きに慣れていないため柊人は少しダメージを食らってしまう。
「そんな提案してきた癖に全然強くないじゃん」
東条さんに煽られたが一旦無視しておく。
(ここは一旦こうして、、)
だいぶ慣れてきたため柊人はそろそろ本気で攻撃をし始める。
「え?は?攻撃当たんないし、、」
柊人は全ての攻撃を避けつつ着実に東条さんにダメージを与え続ける。
(最後にトドメはこうするか)
どうやら必殺技らしきものが溜まったので使ってみる。
『KO!!』
「ふう、、」
そうして決着が着いた。柊人の圧勝だった。
「は、、?意味わかんないんだけど、、なんで、?」
東条さんは困惑していた。
「じゃあ約束通り勉強しような」
「あんた本当にこのゲームやったことないの!?何者!?」
「まあゲームでは負けたことがないからな、ちょっとばかしセンスがあるってとこか?」
もちろんやったことは無いし嘘は付いていない。生まれつきちょっとだけできる方というだけだ。
「く、悔しいけど私の負けよ」
「じゃあ早速勉強しよう、時間も限られてるし」
「ね、ねえ」
「なんだ?」
「勉強一通り終わったら、、もう1戦やらない、、?」
「え?まあいいけど、、ちゃんと終わったらな」
「わかったわ」
そうしてようやく勉強を始めることが出来た。
「ここはこうして、、」
「、、、、、、」
「おーい聞いてるー?」
「聞いてるわ、集中してるのよ」
「おお、そうか」
東条さんは思わず黙り込んでしまうほど集中していた。よっぽど早くゲームがしたいようだ。
(まあちゃんとやってくれるのはありがたいな)
理由が何であろうとちゃんと勉強してくれればそれでいいので柊人的にはだいぶ助かっていた。そうして2時間後今日の分の勉強が終わった。
「お疲れ様、よく頑張ったな」
「ええ、早くゲームをやりましょう」
「あ、ああそうだな、」
終わったのもつかの間、今度はゲームをする。
「それにしてもあんた何者なの?私このゲーム経験者にもあまり負けたことがないんだけど」
「まあさっきも言ったけどセンスがあるだけだよ、何者でもなんでもない」
「それじゃ説明がつかない気がするんだけど、、まあいいわ、やりましょ」
そうしてまたゲームが始まった。1時間ほどやったが東条さんが柊人に勝てることは1度もなかった。
「だからほんとにあんた何者!?強すぎるんだけど!?」
「このゲームもだいぶ慣れてきたな」
「慣れてきたどころじゃないから!」
「まあ今日はここら辺で帰るよ、もう夜になっちゃうし」
時刻はもう19時になろうとしているところだった。
「そうね、私もお腹が減ったし、、」
「じゃあな、明日はお休みで次は明後日らしい」
「そう、わかったわ」
「それじゃあな」
そうして柊人が部屋を出ようとすると
「小野様、お帰りですか?」
「あ、はい」
家政婦の林さんが出てきた。
「夕飯を作っているので良かったら食べていってください」
「はい?」
「は、、?」
何故かどうやら夕飯を作ってくださったらしい。
「小野様も疲れてるでしょうし、家に帰って夕飯を作るのもあれだと思いお作りさせて頂きました」
「いやそんな悪いですよ、飯はコンビニで買えば別に大丈夫ですし、、」
「その様子だとこれからずっとコンビニでご飯を済ませようとしてますよね?それでは身体に悪いです」
確かにあまり料理はしないしこれからもコンビニ飯が主流になるだろうとは思っていた。
「いや私1人で食べたいんだけど、、」
「涼花様も毎日1人じゃ退屈でしょうし、たまには人と一緒に食べるのもいいものですよ?」
「いやでも、、」
「もう準備はできてるのでどうぞ召し上がってください」
そうして食卓へと案内された。そこにあった料理は一般人が到底食べないようないかにも高級そうな料理が並んでいた。
「う、うまそう、」
思わずそう声にでてしまった。
「そうでしょう?ほら、召し上がってください。」
そうして半分強制的に連れてこられ、東条さんと一緒に食べることになった。、
「い、いただきます」
「いただきます」
目の前に並べられたものの圧がすごすぎてどれから食べようか迷ったが、とりあえず高そうな牛肉らしきものから食べてみることにした。
「う、うまい、、!」
「でしょ?林さんは料理上手いんだから、ちゃんと味わって食べるのよ」
食べたことない美味しさに思わずほっぺたが落ちそうになった。そうして柊人はあっという間に平らげてしまった。
「ご馳走様でした。本当にありがとうございました。美味しかったです」
「それはどうも、こちらこそ涼花に勉強を教えて下さりありがとうございます」
「では今日は帰ります」
「はい、次もお待ちしております」
そうして柊人は東条家を後にした。
(それにしても今日は色々あったな、、)
柊人にとって内容が濃すぎてとても疲れた1日だった。
(この調子で頑張らないと)
そう心に決めた柊人だった。




