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家庭教師とは?

「はぁつかれた」

学校の委員会の仕事が終わり、これから涼香の家庭教師の時間だ。涼香とは教室で待ち合わせしているので1回教室に戻ることにした。

(ん、なんだ?)

教室からなにか話し声が聞こえる。

(まだこの時間に人いるんだな)

時刻は16時半、だいたいの生徒はとっくに下校している時間だった。柊人こっそり教室を覗くと、そこには涼香と他クラスの男子がいた。

(なにやってるんだ?)

どうやらあまりよろしい雰囲気では無い様子だった。柊人はドアに耳を澄ませて会話を聞いてみることにした。

「ごめんなさい、あなたとは付き合えないわ」

そんな涼香の言葉が聞こえた。

(ああ、そういうことか)

どうやら涼香は男子からの告白を受けていたようだ。しかし涼香はその告白をばっさりと断った。

「なんで?理由を聞かせてくれ!」

男子はなんでだとばかりに質問した。

「だって、あなたと私話したことすらもないじゃない」

最もの理由だった。

「じゃあこれから仲良くしようよ!」

「いやよ」

涼香はその提案を迷うことなく拒否した。

「私仲良くもないのに顔だけで判断してくる人嫌いなの、だからどっか行ってもらえる?」

「そ、そんなあ」

涼香はかなりキツめに回答した。

(うわあ、辛辣)

わかってはいたが思ったより辛辣だったので男子の方がちょっと可哀想に思えた柊人だった。

そうして数十秒ほど無言の空気が続き、いたたまれなくなったのか男子の方は教室から走って出ていった。

「あら、柊人、もしかして見てた?」

男子が出ていったタイミングで柊人は教室に入った。

「あ、ごめん見てた、なんかどっか行ったけどあの人」

「ええそうね」

「だいぶ辛辣だったな、、メンタルブレイクしてるだろあれ」

「さあ、いつもあんな感じで断ってるわ、そうでもしないとまだ可能性があると思ってくるやつがいるのよ」

「いつもって、お前習慣的に告白断ってんのかよ」

「ええ、1週間に一回は告白されるわね」

「えぐいな」

やはり、涼香は学校の中ではトップレベルでモテるらしい。だが、今まで告白してきた人は全員バッサリと切り捨てられ、あのような感じになっているのだそう。

「、、、、」

「、、?なんだ?」

涼香は柊人をまじまじと見つめた。

「あなたも意外とモテそうなものだけれど、告白とかされないわけ?」

「そんなん滅多にされるもんじゃないから、まず俺女子と関わらないし女友達も連の彼女の早紀ぐらいしかいないんだわ」

「あらそう、みんな見る目がないわね」

涼香はそう言った。

「見る目がないって、、そんな俺モテそうか?」

「まあたしかにあんまりパッとしないし、万人受けしなさそうね」

「おお、急にグサッときたな」

柊人は涼香の言葉に少々傷を負った。

「でも私は柊人のこと結構気に入ってるわよ?」

「え?そ、そうか」

(ど、どういう意味!?)

涼香が放った言葉に柊人は少し動揺した。

「あんた意外と接しやすいのよね、居心地がいいっていうか、なんででしょうね」

「さ、さあ、なんでだろ」

柊人はあんまり涼香に対して接しやすいと思ったことは無いが、たしかに居心地は悪くなかった。

「それに私割と怖がられるから、、あんたみたいな話せる友達が出来て嬉しいわ」

「あーー、なるほど」

「なるほどってなによ」

「なんでもないっす」

何故か殺気を感じたのでこれ以上は追求しないことにした。


2人は涼香の家に行き、勉強を始めた。

「うーん、」

「何?どうかしたの?」

柊人は最近思っていた。

「なんか最近家庭教師っていうよりはなんか一緒にただ勉強してるだけな気がするなーって、」

最近、涼香の学力が上がってきたことで、自分でも何とかできるようになってきて、あまり教えることが無くなってきたのだ。

「そうかしらね」

「うん、だからなんかあんま家庭教師の意味あるかなーって最近思ってきたんだよね」

「でも私、あんたが居ないと多分勉強しないわよ?」

「そうか?やり方さえ身につけば自分でやるようになると思うんだけどな」

「そんなことないわね、それに私はあんたと勉強するの結構好きだから、そのおかげでやる気も出るわね」

「そ、そうなの?特にあんま俺なんかしてるつもりないんだけど」

「てか1人で勉強するより誰かと勉強する方が楽しいじゃない」

「まあそれはそうだけども、それなら真凜とかでもいいんじゃないか?」

その理論で行くと別に柊人じゃなくていいので、真凜などの方が向いている気がした。

「なに?そんなに私と勉強したくないわけ?」

「いや、別にそういう訳じゃないけど、」

「それに家庭教師が無くなったら困るのはそっちだと思うのだけれど」

「う、、たしかに、、」

家庭教師をやめたら生活費が足りなくなってしまう、なので柊人的には続けさせてもらいたかった。

「ま、まあ涼香が気にしないなら別にいいんだけど」

「私は気にしないわよ?あんたも細かいこと気にしてるとモテないわよ?」

「そこ関係ないだろ」

「あるわ」

「あるのか、、」

なんだかよく分からないがチクチクされて少し悲しくなった柊人だった。

「あんたもちゃんと見た目に気を使ったらどうかしら?せっかく素材はわるくないのに」

「そうか?あんま俺見た目気にしたことないんだよなあ」

そもそも素材がいいとかあまり言われたことがないので考えもしたこと無かったのだ。

「しょうがないわね、、ちょっと待ってなさい」

「は、はい、?」

涼香は部屋から出ていった。

(一体なにをされるんだ、?)

恐る恐る涼香が戻ってくるのを待っていると、何やら色々物を持っている涼香が戻ってきた。

「ほら前向いて」

「あ、はい」

何故か、柊人の髪の毛をセットし始めた。

「俺は一体なにをされてるんだ、、?」

「動かないでもらえる?やりずらいんだけど」

「あ、ハイ」

涼香にそう言われたので大人しくすることにした。

(男の髪の毛もいじれるんだな)

柊人は涼香が男の人の髪の毛もセットできることに驚いていた。

(なんか眠くなってきた、、)

髪の毛をもふもふ(?)されているため柊人はなんだか眠くなってきた。だが寝てしまうと多分怒られるので何とか耐えることにした。そうして15分ほど経過した頃、どうやらセットが終わったようだ。

「ほら、どうかしら?」

「おお、いいな」

そこには普段パッとしない自分とは裏腹にキリッとしている自分が映っていた。

「、、、やっぱこの髪型だめね」

「え?なんで?」

自分的にはかなりいいと思ったのだが、どうやらダメらしい。

「何がダメだったんだ?」

「、、ダメなものはダメなのよ」

「なんだそれ」

「私が勉強に集中出来ないからダメよ」

「?、どういうこと?」

「なんでもないわ」

いまいちよく分からないことを言っている涼香に柊人は困惑していた。

「ほら、戻すからこっち来て」

「お、おう」

満喫する間もなく柊人の髪型は元へと戻って行った。

「うん、これが1番安心するわね」

「さっきの髪型だと安心できないのかよ」

「ええ、安心できないわ」

「なんでだよ、、」

ずっとよく分からないことを言っている涼香に柊人は困惑しっぱなしだった。

「ほら、勉強再開するわよ」

「あいよ」

そうして2人はまた勉強を再開するのだった。






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