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第67話 別世界の女神

 エヴァと呼ばれている女神が居た。神々の中では落ちこぼれ扱いを受けており、管理を任される世界は毎度低級な世界ばかりだ。

 そんな彼女は本来ならば、もっと良い世界を任される筈だという無駄に高い自尊心を持っていた。

 そんな彼女が現在担当しているのは地球と言う世界だった。何度やり直しても滅亡を繰り返す人類が暮らすこの世界は、殆ど見捨てられてと言っても良い世界だ。

 神々の大半はこの世界に興味が無く、創造主ですらも興味を無くしたと噂されている程だ。

 そんな世界を管理せねばならないエヴァは、いつもの様に文句を言いながら作業していた。


「はぁ~~~ダル。この世界って本当にダメね」


 この世界に生きる人類は知りもしないが、既に100回以上も滅亡しては再スタートを繰り返している。

 平和を維持出来ず戦争をしたり、資源の枯渇で詰んでしまったり。理由は大体その様な内容ばかりである。

 100回やり直すと言うのがどれ程に異質かと言えば、平凡な世界でも10回やり直せば多い方だ。

 その10倍もやり直しているのだから、外れの世界扱いされても仕方がないだろう。だが世界は世界であり、エヴァが担当女神である以上は仕事をせねばならない。

 職務を放棄して本格的に要らない者扱いされれば、最悪不要な存在として消されてしまう。それだけは避けねばならなかった。


「はいこの魂は要らない、他の世界行き」


 神々と招かれた者だけが入れる次元の狭間で、エヴァは魂の選別をしていた。本来人類の魂は、同じ世界で輪廻転生を繰り返す。

 しかしエヴァは不要と判断した魂を、別の世界へ勝手に移動させていた。魂の実績で全てを判断し、世界にとって有益ではない魂は要らない者と扱っていた。

 言ってしまえば魂の左遷、もしくは追放か。普通ならばそんな行為は上手く行かないのだが、悪知恵だけなら働くエヴァは手を打っていた。

 先ず様々な手段を使い異世界テーマの作品を人間達に流行らせる。それにより異世界へ行く事への抵抗感を失わせるのだ。

 後は神々の認識の穴を突いて、別の世界の輪廻転生へと密かに混ぜ込むだけだ。


「スキルって言っとけば食いつくんだし、楽なもんよね」


 また新たに別世界へと転生させられる若者が、エヴァの作った空間で分身体と会話をしている。

 それっぽい空間に、それっぽい見た目の分身体を配置する。そして転生特典等と言ってスキルを与えれば、大体の魂は納得して言いなりになる。

 それが片道切符だとは知りもしないで。本来在るべき世界ではない世界に無理やり移動させた魂は、その世界の輪廻転生から外れた存在だ。


 当然そこで死ねばそれで終わりだ。再び魂が地球に戻る事は無い。そんなデメリットについて、エヴァは教えたりしない。

 何故なら追放したい魂に、残りたいとゴネられたら面倒だからだ。望んでいない魂をあちこちにバラまくと抵抗される。

 そうするとエヴァの行いが、別の神にバレてしまう確率が上がるのだ。これまでに何度か放流して来た世界では、それによりやっている事がバレてしまっていた。


「このやり方が一番安定するわね~。それにしてもこんな適当な話を信じるのだから、流石は外れの世界だけあるわ」


 そんな世界を任されている自分はどうなのか、という事には目を向けない。自分よりも哀れな存在がいるのだからと、自尊心を守っているのだ。

 コイツらと比べたら自分は優れているのだと。そんなエヴァもまた、アルベールと同様に人間から神へと昇華した存在だった。


 しかしそれも今では過去の栄光に過ぎない。エヴァは調子に乗ってしまったのだ。それで好き勝手を行い、幾つかの世界を滅茶苦茶にしてしまった。

 そのせいで無能の烙印を押されて現在へと至る。かつて成り上がった経験が、プライドだけの化け物を生んでしまった。

 過去の成功体験が忘れられず、拗らせて何十万年も経ってしまった。


「ホントだりぃ。こいつら誰のお陰で生きていられると思ってんだよ」


 エヴァの愚痴は留まる事はない。神々の力には、人類を含めた生物達の信仰や畏怖が重要となる。

 しかし地球に暮らす人類には、神への信仰が全く足りていなかった。何度修正をしても、本来の教義から離れた独自解釈を始めるのだ。

 それは最早、この世界が抱えるもう一つのバグだ。正しくエヴァを信仰する一神教には絶対にならないのだ。


 それによって複数のエヴァもどきが、無意味に信仰される。歪んだ信仰では、正しくエヴァの力にはならない。

 元々居た世界ではまだ信仰が残っているので、神として最低限の力は失っていない。だがそんな中途半端な神では、当然また這い上がる機会は訪れない。

 立場を取り戻したいのなら、努力をすれば良いだけだ。だが一度楽を覚えてしまったエヴァには、もう地道な努力など出来なかった。


「はぁ~あ。つまんないなぁ。はい、お前も異世界へポイ」


 そんな調子で神としての仕事を続けているエヴァは、自分の犯したミスに気付いていなかった。

 最近まで魂を送り込んでいた世界の神に怒られたから、エヴァは次に追放する世界を選定した。

 その世界を調べて、適当に作ったそれっぽい作品を人間に流行らせた。回りくどい行為だが、バレずに続けるのはこれが一番安全だからだ。

 他の世界を選んでいれば良かったのだろう。そうであったなら、上手く行ったかもしれない。

 だが今回は流石に相手が悪かった。自分の邪魔をするのなら、神を相手にしても戦う覚悟を決められる女王様がその世界には居たのだから。

陰謀論とか特殊詐欺とか、それらの手法をベースにしています。転生詐欺、みたいな。

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