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第55話 不思議な若者達

 アニス王国の王城、その中央付近に造られた美しい庭園でイリアは優雅にお茶を楽しんでいた。

 今回は客人が来ており、そのお相手と2人きりだ。イリアとそんな状況を作り出せる相手など、この世界でアルベールを除けばただ1しか人居ない。

 女神サフィラに選ばれし聖女、ミア・オルソンがイリアの対面に座っている。ただし優雅に振る舞うイリアに対して、ミアはやや不満気である。


「少々やり過ぎではありませんか?」


「あら? 何の事かしら?」


「サーランド王国の件です。あれもイリア様なのでしょう?」


「ちょっと祝砲をプレゼントしただけではありませんか」


 その祝砲で多大な被害が出ているのだが、イリアからすればそんな事は知った事ではない。

 先に手を出したのは向こう側であり、王城を消し炭にする程の威力では魔法を放っていない。

 イリアからすれば本当に祝砲程度に過ぎない火力だった。その程度の魔法で瀕死になった男があまりにも哀れではあるが。


 ともかくその結果、現在サーランド王国では王弟による王位簒奪が起こり大騒ぎになっている。

 政変による混乱は未だ収まっておらす、国内の政治は暫く落ち着きそうにない。そんな状況をリーシェは上手く利用している。

 現国王の政敵に関する情報を渡すなど、更に恩を売っている。サーランド王国はもう、実質アニス王国傘下の国家になるのは時間の問題と思われる。


「また国ごと消滅させていないだけ温情、と仰るのですか?」


「流石ねミア、話が早くて助かるわ」


「はぁ……もう少し穏便に済ませる術を身につけて頂きたいのですが」


「暗殺者を差し向けるなど、本来なら戦争に発展する事態ですわよ? 十分穏便ではなくて?」


 それは実際その通りなので、ミアもあまり強くは出られない。イリアはちゃんと後先を考えて行動している。

 主にサフィラの妨害を受けない範囲に留めるという意味で。だからこそ過剰な被害は基本的には出さない。

 ただしかつてのオーレル帝国や、魔族の侵攻などの場合は別である。そう言った明確に相手側の落ち度がある場合は容赦しない。


 目的以外の事には殆ど興味がないイリアだが、だからと言って考え無しに好き放題をする訳ではない。

 確かに一般的に見れば悪ではあるのだが、やり過ぎて目的が達成出来なくなる様な馬鹿はやらない。

 その様なド三流の暴君ではないのだ。今回の様にミアから苦言を呈されても、必ず反論の余地が残る様に行動しているのだ。


「はぁ……そう言う事にしておきます」


「それで、本題は何なのですか? 2人きりで話したいなど、余程の事があるのでは?」


「それが……実は最近妙な若者達が居るようでして」


「妙? どのようにです?」


 ミアの説明によると、最近突然人が変わったかの様に優秀になる若者達が増えているとの事。

 それ自体は才能の発露とも言えなくはない。しかしどうにもそれだけではなく、妙な共通点がるらしい。

 それはこれまでどこの国にも無かった様な器具、誰も知らない料理などを急に作り始めるというもの。

 他にも聞いた事もない様な制度を提案し始めたり、魔法が使えなかった子供が急に使い始めたり。


 その様なおかしな現象が、あちこちで起きているというのだ。それは平民も貴族も関係なく、種族すらもバラバラだという。

 それもあって現在は魔族側にも協力を要請し、同じ様な現象が起きていないか調べさせているという。

 女神サフィラにも思い当たる節は無い言う事で、何が起きているのか全く分からないのだ。


「良く分かりませんわね。急にそんな風になるなんて」


「そうなのです。(わたし)も何が起きているのか分からず……」


「……どうにもきな臭い話ですわね」


 確かに過去にそう言った事例が全くないとは言えない。それを言えばミアとイリアだって似たような存在だ。

 幼くして聖女となったミア、15歳にして邪神アルベールに出会ったイリア。2人とも突然の出来事によって人生が大きく変わっている。

 しかしだからと言って、2人とも見知らぬ器具や不思議な料理を突然作ったりはしていない。

 イリアはアルベールから教わった今は失われし技術を使って国や領地を発展させたが、それだって過去に存在した技術を利用したに過ぎない。

 サフィラでも分からない様な知識や技術など、全く使用していない。それはミアとて同様で、サフィラから教わった魔法等は使えるがそれはサフィラの知識が元だ。

 女神ですら知らない何かなど、2人にも分かる筈がない。そんな出所不明の技術や知識が、何故世界各地で急に現れ始めたのか。


「その技術や知識は安全なのですか?」


「いえ、それがまだ殆ど確認出来ておらず」


「妙な法則性があるのは気になりますわね」


 新たな発見や発明をする者は当然いる。だがそれは100人に1人とか、50人に1人とかそんなレベルではない。

 最低でも1000人や1万人に1人という確率での話だ。既存の技術や知識の応用程度であるならば、100人や50人に1人居てもおかしくは無いが。

 それも殆ど同じ時期に、世界各地で発生するのは明らかに異常な事態と言えるだろう。しかしその理由を考えたところでイリアとミアに分かる筈もない。

 実例でも目の前に居てくれればまた違うのだろうが。結局は明確な回答が出ないまま、アニス王国にも現れたらイリアが直接会って確かめてみるという方向で一旦は結論づける事となった。

正月もいつも通り毎日更新で投稿を続ける予定です。

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