2 初めて来た王都の屋敷・・うん?家族仲が最悪!なんですが・・
<ハ~イ!貸し馬車の御到着!> <これ半金ね!> <ヘイ!どうも!>
俺達が乗った馬車は前金が支払われており、目的地に着いたら半金が支払われるらしい。
<スタ スタ > 3人が屋敷の【勝手口】に向おうとすると・・
「お~い!お前さん方。御家族は正面から入って下せえ!」と老人が声を掛ける。
「あら!ダーウィンさんお久しぶり。」母親が知らない人に気軽に声を掛けるなど珍しいので、俺も姉も安心した。
「こちらが10歳の儀式を受けるカエデ坊ちゃんでヤンすね。」とニコニコして俺を見る老人は年齢の割には丈夫そうな男性だった。
<ジャリ ジャリ> と、足音が変わった。見ると宝石の様な綺麗な石が庭一面に敷き詰められていたのだ。
「これは【玉砂利】といいましてね~ご主人様の趣味なんですよ。」
周りを見渡すと【噴水】【バラ園】【東屋】どれも高価なものばかりに感じた。
屋敷の正面は高価な細工が施された大きな門で・・「美術館みたいだ!」思わず声を出してしまうほど、屋敷の中は【彫刻】【絵画】【鎧兜】などが飾られてあった。
「ああ・・それと一つだけ!サーバントは【別棟】に置いて来て下さいますし!」と言う老人の指示で姉のオルトロス(犬)と、母のケットシー(猫)を別棟の使用人に預けるのだった。
老人は、屋敷の中まで入らずメイドさんが案内を引き継いだ・・「あと半時ほどで夕食が始まりますので、お着換えを準備しています。」
俺達が案内された部屋は、どちらかと言えば質素な感じがしたものの、俺の家と比べたら豪華絢爛だ。
<カラン カラン> 着替えをして食堂?に案内された3人は当然ながら【下座】に案内される。
食堂と言っても、調度品が多く~「お城だ」と言っても変では無い程に飾られてあった。
<カツ カツ >と言うサンダルの音がしたので、俺達3人は急いで椅子から立ち上がる。
「遠路大変でしたね。」と言う労いの声と共に、美女が食堂に入って来たので、俺は無意識に頭を下げる・・
「カエデ?だっけ。男子が簡単に頭を下げてはいけませんよ!」と美女はピシャリと俺に指摘した。
俺は美女に・・「申し訳ございません。あまりの美しさに頭を下げてしまいました。家では母からも同じ教育をされております。」と答えた。
実家の教育が【よろしくない】と判断されるのはマズイと思ったからだ。
「ホホホ。私は【勘当】同然の身なので遠慮は無用です。」と言うと美女は、長テーブルの【壁側】に座った。
母は小声で「この方は第一婦人の第一子にあたる女性でオパール様です。」と言う・・
たしか現在25歳で、王都の学院で優秀な成績を取った方と聞いた。しかし辺境の騎士と恋に落ちて嫁ぎ、現在は平民だと言う話だった。
<ゾロ ゾロ> とみんなが食堂に集まって来た。
最後に【王都社交界のゴージャス姉妹】と呼ばれる~第一子爵婦人エリザベート様が実姉である【王妃】ジュリエッタ様をエスコートして入場し・・上座に座る。