14 最後に「強敵」が待っていたよ。
「ここが最後のダンジョンですね。」と言う俺は、ダンジョンと言うものを甘く見ていたのだった。
「私も大分、魔物を狩れる様になってきたわ!」と、姉も意気揚々としていた。
「エルメス島のダンジョンボスを討伐すれば・・お別れなのね。」と寂しそうな女性勇者を・・
「カエデ君や、モミジちゃんと出会えただけでも良いじゃないか!」と言う男性勇者。
先頭を行く騎士は「また石棺ですかね?」と足取りが軽かったが・・
「うん?誰だ!そこに居るのは。」と大声をあげた。
行き止まりの薄暗い所に・・薄っすらと紫色の炎?に覆われた様な不気味な【騎士】が立っていたのだ。
魔法師が薄暗い中もスキルで照らすと・・<ライト!> 「うう・・首が無い!手に持っているのか?」と後ずさりする。
「魔物には違いない!討伐するぞ」 <<オオ!>>と言う掛け声で、騎士・魔法師が連携して攻撃するも・・
<バシュ!> <ズバッ!> 「グヌヌ・・まるで敵わない」「グハ! 魔法が効かない!」
【拳豪】スキルを持つ英雄王のお父さんですら・・「ゴホッ!カエデ・・モミジ逃げろ!」俺は目の前で起こった事を受け入れられずにいた。
「お父さん!勇者様!」・・<バシュ!> <ズバッ!> 最後のダンジョンである、エルメス島の遺跡に来ていた勇者パーティー
<<キシャア!> <ブリュリュ!>2体の巨大な【サソリ】と【カブトムシ】が騎士を攻撃するも・・
<ガキ―ン!> <バキューン!>と、まったく歯が立たないのであった。
紫の炎に包まれた騎士は・・立っている俺と姉さんに向かって声を上げる・・
「ここは何処だ?君達は何者なのだ?」と。
俺は<ひょっとして悪い騎士では無いのでは?>と期待して『これまで』のいきさつを話すのだった。
騎士は、うっすら笑い・・「そうか・・【私の影】は、ダンジョンボスとして召喚されたのだな。」と言う。
俺が「影?あなたは実体では無いのですか?」と聞くと・・「ああ、私の実体はラトビア王国のダンジョンに居るのだ。何が起こったのか分からないが・・影が【ガーディアン】として召喚されたのだろう。すまないが、君達を殺してしまうかもしれない・・ここから逃げてくれないか。」と言うのだが・・・
勇者夫婦が元の世界に帰るには、エルメス島の【ゲート】を通らなければならないので・・
俺は騎士に告げる・・「あなたは良い人です。影ならば僕も本気になれますよ!」と。
騎士は悲しい顔をして「お願いだ。黙って去ってくれないか・・」と言うので、我々を好き好んで殺戮したいわけではないらしい。
「スキル【プリズン】」と叫ぶ俺・・騎士のマントを踏んだのである。




