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幸福=安楽死計画と記録

作者: にしぇあ。



僕は友達がほしかった

でもただの友達じゃない

コミュニティに属するのが苦手で

僕と一緒にいる時にしか笑わない

僕としか話そうとしない

言うなれば共依存みたいな関係



ついこの前までいたんだ

そういう関係性を持った大切な奴が



運命を感じたからずっと、永遠に

一緒にいられると思ったんだけど

あいつは人の輪の中に入るどころか

そもそも他人との馴れ合いを

好むタイプではなかった





あいつがいればもう友達はいらなかった

急に人肌が恋しくなった僕はアプリなど

あらゆる方法で繋がりを求めた

だからといって愛嬌のない僕が

他人の愛の代役になれるはずもなく

僕は誰かの2番目にすらなれない



内面は取り繕って生きてきた

だから少し心地よかっただけ

通話であいつの大学受験の面接練習を

手伝ったこと、小説の話をしたこと

一緒に旅行の計画を立てたこと



いつでも味方になると言ってくれたこと

あいつは精神疾患持ちで自殺志願者

だったけど辛い時に支えてくれた

だから浪人しても幸せになってほしかった





「受験するのやめた」

「お前とどう接したらいいか分からない」





結局、写真越しでしか会うことはできず

長いようで短い、シャボン玉みたいな

あいつとの5年間の思い出はここで終わり









久し振りに死にたい、消えたいって思った

死にたがりとあいつと一緒に僕は

幸せな気分のまま死んでしまいたかった



でも僕は弱い存在だから死ぬ勇気はない

ただぼんやりと安楽死できたらなんて

今の時代では有り得ない空想に浸っていた



その時にこの計画を考えた

相手が一番、幸せと感じる瞬間で死ねたら

それって最高の安楽死なんじゃないか





例えば本が好きな人の周りを本で囲んで

そのまま火をつけて全身火傷で殺す

美容が好きな人に香水や化粧品を

混ぜた水を飲ませて殺す





想像すればするほど名案だと思う

本当はあいつも僕と一緒にいたかったはず

つまり僕達が幸せに死ぬためには













お互いに会えない僕らは




幸せになれない?











生存確認すらもできないあの子の影を

追ってしまうのは我ながら物凄く惨めだ





一刻も早く早く忘れたい、だけど





酸いも甘いも噛み分けた仲だと

思っていたのが僕だけがどうかだけでも

いいからもっと相手のことを

知りたかったし繋がっていたかった





友達をやめたなら記憶から消した方が

いっそ楽になるのに愚かだと

僕を馬鹿にする読者も多々いるだろう

全てはエゴで成り立った歪な妄想だと




でも皆、知らぬ間に求めてしまっている

アイドルやペットを別れた恋人のように愛でる

自分と共通の趣味を持つ仲間を掲示板で探す

再度、同じような愛に浸ろうとする





別で満たされるお前らと一緒にするな

代わりなんてあるはずがない



これから世界一の美形になろうが

偉業を成し遂げ地位を得ようが

あいつに会うことはおろか

生きてるかすらも分からない

人間関係に疲れてた時やしんどかった

時期に孤独を感じさせないよう

喜怒哀楽を全部さらけ出してくれた

5年間をやっぱり嘘って思いたくないよ



あいつがいないなら人生はいらない

生きている意味なんかない



幸福=安楽死制度が実現してたらよかった

死ぬ直前に夢の中であいつと

会うくらいならできたかもな

でも事実は小説よりも奇なりだろう

きっと夢なんか見てられないくらい

一瞬の出来事だと思うんだ



あいつまでもしこの記録が届いてたら

絵が下手なのに絵本作家なんて目指すな

お前は小説家の方が向いてるって伝えたい

読者に研究者がいたらこの計画を実行して

なんか素晴らしい賞でも取ってほしい





〇月×日 16:08

本日は晴天、時々曇り

そういえば書き忘れてた

僕の最後なのに天気が微妙だったのは

残念だけど明日は土砂降りになる

みたいだからまだいい方かな









どうせ死ねないけど







︎︎◌ ̖́-

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