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紅茶とサヴァランをあなたに 【改訂版】  作者: もちづき裕
第三章  イザベルデ編
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第二十七話  ヨガとハーブ

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 私こと、最近では聖女様のマネージャー状態になっているグレタは、前世、婚活の荒波に揉まれて呑み込まれた女なのです。


 二十代はとにかく働きまくり残業をしまくった末に、残業代でかさ増しされた給料を思う存分使っていたような女です。三十代となって働き方改革が声高に叫ばれるようになり、残業は悪!ということでかさ増し金額はどっと減り、厚生年金、社会保険、税金、税金、税金、もろもろ引かれた後に手元に残る金額を覗き見て、

「あああ!なんでこんな額しか残らないの!」

 と、叫んだ日のことは忘れられません。


 この金額で一人で一生生きていくのは無理、誰かに支えて貰いたい・・そう思った私は婚活に婚活し、婚活をやり尽くした末に、高齢ドライバーが運転するタクシーに轢かれて死んでしまったんですね。


 そんな私の人生の後半戦は、

「旅行とかそんなものにはお金を使わずに!自分磨き!自分磨きよーー!」

 と、いつでも心の中で叫んでいるようなものでした。


 ちょっと金のある独身女が、ワインやら紅茶やらにハマっている間に、

「年齢を感じさせない体つくりが大事なのよ!」

 と、言い出しながらやり始めるものなんて、決まっているようなものですよ。


 それじゃあ、何をやり始めたのかって?そんなの決まっているじゃないですか!ちょっと意識高い系女子が足を踏み入れるジャンルときたら『ヨガ』『ホットヨガ』『ピラティス』と相場が決まっているでしょう?(あくまでも個人の意見となります)


「よ?が?王妃陛下に対して、君自身が『よが』なるものを教えると?それは本当のことなのか?」

「ええ!本当ですとも!」


 夫と私は侯爵邸に移動してからも寝室が一緒なのですが、私は夫が見守る中でヨガを実践しながら言い出しましたとも。


「前世、一応、インストラクターの資格を取るところまでは極めたんですよ」


 こんな会社、辞めてやる!と思った時に、次の職業はヨガインストラクターだ!って思ったのよね。結局、給料の違いに気が付いて会社は辞めなかったし、インストラクターにもならなかったけれども。


「王妃様もだいぶ体調が戻って来たみたいだし、体力を回復するためにも運動をしなくちゃいけないんですけど、厳戒態勢状態なので外に出ることが出来ないじゃないですか」


 ハヌマーナーサナ(猿神のポーズ)をとりながら私は答えてやりましたとも。


「なにしろ私は国王陛下直々に、王妃様の治療責任者として抜擢されているので、王妃様を健康にするために努力に努力、努力を重ねなければならないのです」


「君のその格好なのだが・・」

「はあ?なんですって?」


 エーカパーダカポターサナ(半分の鳩のポーズ)を取りながら夫の方を見上げると、ブラトップとバルーンシルエットのヨガパンツの私(ストーン商会所有のメゾンで作って貰いました)を見下ろした夫がブルブルと小刻みに震えている。


「な・・な・・なんなんだ、その異国の船乗りのような格好は!」

「え?異国の船乗りの格好?」

「君はそんな格好で、しかも大勢の前で、王妃陛下にその破廉恥極まりない動きを教えるつもりなのか?」

「はあ?破廉恥極まりない?」


 私はその時カエルのポーズをしていたんだけど、確かにカエルのポーズはエロいかもしれない。なにしろ生殖器まで息を吸い込むような形で腹式呼吸を行うものね、快感をアップさせる効果もあるって言われているし。


「グレタ」

「はい?」

「なんなんだそのポーズは?」


 マールジャーナーサナ(猫のポーズ)をしている私の腰をむんずと掴んだ夫は、そのまま私の首筋をべろりと舐めたのです。


 そうでした、そうでした。この世界は足首を見せるだけでエロなので、ブラトップとヨガパンツは刺激がありすぎるのですよね?


「よがとやらをレッスンするのは仕方がないと諦めるが、絶対に男がいないところでやらないと、国王陛下がなんと言い出すか分かったものじゃないぞ?」

「た・・確かに・・」


 国王陛下の王妃陛下ラブぶりは凄まじいものがあるので、王妃様がヨガをやっているところを護衛の兵士が目撃していたら、冗談抜きでその兵士の目玉がほじくり出されることになるかもしれない。


「それと・・」

「はい?」

「もう我慢ができない」


 そんな訳で、私は今日もベッドへ引き摺り込まれることになったのでした。ブラトップとヨガパンツは売れるとは思うんだけど、売り方は気をつけないとまずいかもと思った次第であります。


 王妃様の治療責任者となった私は、妻を溺愛する国王陛下も巻き込んで、王妃宮を厳戒態勢として封鎖した訳ですよ。周囲には王妃様の容態が悪いため、緊急事態だとしている訳なんですが、国王陛下が公務をボイコットしている時点で、皆様、色々と察している訳ですよ。


 幸いなことにソフィの水とマリーの調薬とケイシーのマッサージ技術で王妃様はみるみる間に良くなったんですけど、王宮内は誰が敵か、誰が味方か分からない状況に陥っているので、王妃様は重体なままとすることで貴族たちの選別をすることにしたわけです。


 もちろん、身重のマデレーン妃も慈善活動をお休みをして、自分の離宮へと引っ込みました。そうしてイザベルデ妃にも、離宮での待機を命じた訳です。


 重体となっている王妃様の容態が回復したなんてことが外に漏れたらまずいので、王妃様にお仕えする侍女たちも離宮に缶詰状態。外に出られないレディたちの気晴らしのために、私は侍女の皆さんたちも『ヨガレッスン』に招待したのですが・・


「美容と健康に良いんですか?」

「是非!是非!王妃様のご許可が出るのならやりたいです!」

「最近、お腹まわりの肉が気になって仕方がなかったんですよ!」


 と、皆さん、ヨガファッションを嫌厭することもなくレッスンに参加してくださったんですよね。


 元々、のんびり朗らかな気性の王妃様なので、ミディ(麻薬)の成分が抜け切ると元の王妃様に戻ることになったのです。王妃様のレッスンに交代制とはいえ侍女ズが参加するのは『不敬』とも取られかねないことなんですが、

「みんなでやった方が絶対に楽しいもの〜!みんなで頑張ってヨガをやりましょう〜!」

 と、気さくに承諾してくださったのです。


 そんな訳でまずはストレッチすらやったことがない方々にストレッチから伝授、初級も初級の簡単なヨガのポーズから教えていったのですが・・

「「「「なんだか体がとってもスッキリしました!」」」」

 皆様、そこまで汗をかく?というくらいの汗がダラダラ状態となって、笑顔笑顔で満足して頂くこととなりました。


 とにかくこちらの人はボンキュッボンの魅惑のスタイルの方々ばかりなので、ヨガスタイルは男どもが涎を垂れ流すだろうなと思うほどの色気たっぷり服装だった為、

「皆様にも一応、言っておきますが、ヨガレッスン中は絶対に男子禁制なのですわ!」

 と、私は宣言いたしましたとも。国王陛下に殺されたくないですからね。


 そのうち、国外から仕入れたと思われるカリンバに良く似た楽器を発見したので、見学者には楽器担当として適当に演奏をしてもらうことにしたんです。やっぱヨガをやっている時には音楽は必須ですよね〜。


 王妃様は姉妹同然に育った、最も信頼する侍女に裏切られた形となってからは、他人が淹れた紅茶や飲み物関係が飲めなくなってしまったので、

「それじゃあ時間もありますし、ご自分でハーブを栽培されてみますか?」

 ということで、ご自分でハーブを育て始めて、ご自分でフレッシュハーブティーを淹れて飲むようになったのです。


 王妃様付きの侍女の中にはソフィと同じように水魔法で水を出すことが出来る侍女もいたので、魔法で出した水とフレッシュハーブを入れてハーブウォーターを作りました。もちろん氷魔法は私の担当なので氷を入れれば、


「「「「美味しい〜!」」」」


 皆さん大満足!王妃様も周りの侍女さんたちも、帝国人の侍女さんが捕まってからというもの、互いにギクシャクしていたのですが、ヨガがきっかけとなって仲良くなったんですね。はあ、良かった、良かったと私が胸を撫で下ろしているとですね、目の前の席に座ってハーブウォーターを飲んでいた王妃様が、


「ところでケイシーはアンデルバリ公爵家に行ったままだけれど、緊張しいのあの娘は無事に生活をしているのかしら?」

 と、形の良い眉をハの字に開いた状態で尋ねて来たのでした。


サヴァランと紅茶をあなたに』の改訂版ですが、読んでいただきありがとうございます!イザベルデ編となり、これから国の駆け引きと女のドロドロを混えながら話がどんどん進んでいきますので、最後までお付き合い頂ければ幸いです!!


モチベーションの維持にも繋がります。

もし宜しければ

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