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紅茶とサヴァランをあなたに 【改訂版】  作者: もちづき裕
第三章  イザベルデ編
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閑話  グレタの告白

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 私はですね、本当に結婚したかったんですよ。これは前世の話になるんですけど、本当の本当に結婚したかったし、自分の子供だって産みたかったんです。仕事仕事でゴールデンタイムを潰してしまった私は、婚活の荒波にあらがい、時にはドルフィンスルーで波の下を掻い潜りながらも、最後には高波に呑まれて沈没しちゃったんです!


 結婚相手もいなかったけれど、子供はね、欲しかったんです。その時、ちょうどテレビを見ていたら『子供が欲しくても授かれなかった夫婦が頼る先とは』という特集がやっておりまして、夫側に問題があるという方がですね、インターネット上で知り合った方に提供を頂いて、時間を置いたら成功率が下がるということで、女性側はトイレでもらったものを入れまして・・それで妊娠しました。という番組を見ちゃったんです・・


 そりゃね、そういう渡し方だと雑菌とか衛生的に問題がとか、そもそもその提供した相手がどんな人かわからないとか、問題点ありまくりなところも語られていたのですが、

「今の日本では、正規のルートで提供を受けるというのは時間がかかり過ぎて難しい」

 ということなんですって!法の問題とかなのかな?忘れたけども!


 それを見ていた私はですね、

「そういう行為がなくても妊娠出来るなんて!」

 と、衝撃を受けたわけですよ。それなら自分でも子供を授かれるのでは?とも思ったんだけど、未婚で妊娠、相手が誰かもわからない人の・・

「うーん・・」

 と、なっちゃったんですよね。


 それでもって、今の私は、イザベルデ妃殿下を告発する形の小説を連載するという事で、王宮内で取材を進めた(丁度、王妃様の容態を確認するために王宮に出向く必要があったから助かった)末に、王宮で働く侍女たちから、

「アルマンド殿下ってブルーノ・アルヴェス様に似ているのよね〜」

 という話を聞くことになったのです。


 イザベルデ妃は輿入れ後にすぐに妊娠されたんだけど、お産みになられたアルマンド殿下は第二王子にも妃殿下にも、その面立ちは似ていないということなのだ。


 成長されるに従い、輿入れの時に護衛としてついてきたブルーノ・アルヴェスに殿下の顔立ちは似てきたのだけれど、ブルーノはイザベルデ妃の又従兄ということだから、そういこともあるんだろうという話になっていたわけ。だって、アルマンド殿下の髪と瞳の色はカール殿下と一緒でしたしね、ご夫婦の子供なのだろうなってみんなも思っているわけですよ。


 祖国から護衛としてついてきたブルーノさんだけど、妃殿下と二人きりになることはおろか、輿入れ後は10メートル以内に近付いたことさえない間柄。だからこそ、二人の間に特別なことがあるわけもなく、

「アルマンド殿下も成長すれば、ブルーノ様のような美丈夫になるのでしょうね!」

 と、気軽にキャピキャピと侍女たちが騒いでいたってわけなのです。


 私、そこでピーンと来ちゃったのです。


 うちの子爵家が所有するストーン商会は、色々な国に支店を置いているんですけど、ポルトゥーナ王国の支店は王宮への出入りも許されているほどです。だからこそ、色々な噂というものは多岐に渡って仕入れることが出来るわけ。商売は情報が命ですからね?高貴な方々の身の回りのお世話をする人たちには、ちょっとしたアクセサリーなんかも贈ったりして信頼関係も築いた上で、お口を軽くさせるなんてことは常套手段みたいなものですよ。


 そこで仕入れた話の中に、興味深いものがあったのですよ。なんでも、国王様のそのカッコ良いお顔に惚れてポルトゥーナ王国に嫁いできたエリザベート妃殿下だったけど、なかなか子供が出来なくて大変だったそうなのです。


 なにしろ王様から一番の寵愛を受けているのがマルガリータ妃で、マルガリータ妃はポコポコ子供をお産みになっているものだから、エリザベート様はライバル心をむき出しにされていたらしいのです。


 そんなエリザベート妃だけれども、輿入れして3年後にタナシス殿下を、翌年にはイザベルデ姫を授かったそうです。この二人はポルトゥーナの国王とあまり似ていないっていうのは、当時では噂にもなったわけです。


 王家は托卵されたら困るから、正妃や側妃が殿方と二人きりになるということがまずないのです。だから、国王に似ていないと言う理由で不貞を疑われることはなかったんだけど、エリザベート妃殿下がお産みになったタナシス殿下って、妃殿下がハプランス王国から連れて来た護衛の兵士にそれはそっくりなのですって。


 その護衛は妃殿下の従弟だったので、そんなこともあるのかな〜って話で終わったんですけれども・・

「これは小説のネタとして使える!」

 と、そりゃ思うじゃないですか!


 小説なんて真実か真実じゃないかなんてどうでも良いことなんです!所詮は創作なんですから、読者が楽しめればそれで良いじゃないですか!


 だけど、夫はそこに非常に引っかかりを感じたようで、私を攻める、攻める、軍人の体力で本気になられたら、そりゃ降参するしかないじゃないですか!

 だからね、

「じ・・実は・・私には前世の記憶というものがありまして!」

 と、告白しちゃったんです。


 みんなが知らないようなことを知っているのも、前世の記憶を利用しているから。男女の恋愛の機微に詳しすぎるのも、前世、婚活に失敗して荒波に揉まれ続けて、碌でもないクソみたいな男に引っかかり続けたから。


「クソみたいな奴とはどんな奴だったんだ!」

 そこから夫はしつこかった。あんまりにしつこいので洗いざらい吐き出すと、最後には私を後ろから抱きしめて、私の髪の毛に顔を埋めながら、

「そのクソ男どもを今すぐこの部屋に並べた上で、首を切って歩きたい」

 と、しばらく黙り込んだ末にひどく物騒なことを言い出したのです。


 私、夫のこういうところが結構好きです。



サヴァランと紅茶をあなたに』の改訂版ですが、読んでいただきありがとうございます!イザベルデ編となり、これから国の駆け引きと女のドロドロを混えながら話がどんどん進んでいきますので、最後までお付き合い頂ければ幸いです!!


モチベーションの維持にも繋がります。

もし宜しければ

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