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第二十四話  腰が抜けた

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 何がなんやら全く分からないうちに、皆のダンスが始まり、

「私たちも踊るか?」

 と、侯爵様に言われたんだけど、

「無理」

 と、即答する。


 実は腰が抜けたようで、足が震えて力が出ない。夫はそんな哀れな妻をひょいと抱き上げると、舞台袖へと引っ込んでくれたのだが、

「お嬢様!お嬢様!これが噂の断罪劇という奴ですよね!」

 と、後に控えてくれていたアンネが興奮を隠しきれない様子で声をかけてきた。


 そうじゃない、そうじゃない。断罪ってこんなに、ヘビーで重いものじゃない。真実愛する人を連れて来てこっちの方を愛しているとか、ライト感覚なものだと思うのよ。鉄鋼石が秘密裏にポルトゥーナ王国に移動していましたとか、そんな重い話じゃないはずなんですって。おかしいって本当に。


「グレタ、私は絶対に離婚しない」

 侯爵様は私のほっぺたに、ブチュブチュキスを落としながら言っている。

「絶対に、絶対に離婚しないからな」

「いや、離婚してもいいんじゃないんですか?逃亡の馬車は用意してありますよ?」

「アンネ、うるさい」


 いつの間にかアンネと侯爵は仲が良くなっていたみたいで、

「もしかして・・今の断罪ってアンネが考えたの?」

 と、問いかけると、アンネは胸を張って答えたのだった。

「お嬢様がいつでもしつこいほどに教えて下さったじゃないですか!断罪は大きなパーティーで!効果的に行うのが一番だって!」

 そ・・そんなことを私は言っていたのだろうか・・


 兎にも角にも、その後、私は侯爵家の本邸に移動をして三日間、寝込むことになったのだった。誰もが言っていたけれど、あの規模のパーティーをあの日数で用意をするのは無理がありすぎた。公爵のパーティーに関わった従業員にはもちろんボーナスを支給したけれど、お金とは別に一週間の休暇をみんなに与えた。兄も休みたいって言っていた。だからストーン商会自体もまた、五日間は丸々休む形となったのだ。


 五日も休んだら本来大赤字状態になるんだけど、今回のパーティーの設営にはそれだけ公爵からお金が出ていたので、休息期間を設けても金銭的には何の問題もなかったらしい。


「グレタ・・なんで君は休みなのに、私は仕事に行かなければならないんだ・・」

「仕方ないですよ」

「仕方なくない」

「だって、侯爵様ご自身の意思で、公衆の面前での断罪をお選びになったのでしょう?」

「また侯爵と言った」

「あっ」

「名前で呼べと何度言ったらわかるんだ」


 性欲の化け物であるステラン様にガッチリ抱きしめられていると、遂に痺れを切らした秘書のウルリックが、扉を連打し始めている。


「旦那様!旦那様!本当の本当に時間がないんです!会議に遅れますよ!」


 ウルリック必死の声に、ステラン様は舌打ちをしながら起き上がる。

 私は筋肉が好きだ、特に男性の腰のくびれが好きだ。ああ、侯爵の斜腹筋はなんて完璧なんだ。どうやって鍛えたらあの線が出来上がるのか・・


「ああ、妻に誘われているのに、なんで仕事なんかに行かなければならないのか!」

「誘ってない、誘ってない、筋肉の美しさに見惚れていただけですから」

「それを誘っていると世間では言うのだ」


 今日も今日とて、文句をぶつぶつ言いながら夫が軍服に着替えるのをネグリジェ姿で手伝う私。普通、こういう着替えは侍従とかの仕事だと思うんだけど、

「妻に手伝って貰えなかったら泣く」

 と、ストレートな表現をするようになった夫の扱いに困惑中となっております。


 着替えの最中にもイチャコラして、扉を開ける時にはガウンを羽織ってお見送り。そうして扉を閉めたら、ベッドにダイブ。私が寝込むことになったのには、バケモノのような体力を持つ夫が原因となっているのは間違いない。


「お嬢様、お風呂の準備が出来ましたよ〜」


 侯爵家の本邸に戻って来ても、アンネは私を『お嬢様』と呼び続けているのだけれど、侯爵家の対応の悪さを知っている使用人たちはそれも仕方がないことと諦めているようです。


 侯爵家の本邸には今までレベッカ夫人と連れ子のヘレナが居たんだけど、彼女達に懐柔されていた使用人は家令のジョアンの判断でバッサリとクビになったらしい。残ったのはご主人様に忠誠を誓った古くから居る使用人ばかりとなったんだけど、今この時期に新しい人を雇うのは危ないので(敵が間諜とやらを潜り込ませる可能性がある)足りない分はストーメア子爵家から助っ人を呼んでいるような状態です。そのため、昔から付き合いがある三人の使用人のおばさまたちに囲まれるようにして過ごしているわけです。


「はあ〜、朝からのお風呂なんて贅沢だわ〜」

 猫足のバスタブのお湯に浸かった私が思わず声を上げると、

「はあ〜の声がおじいさんみたいですよ」

「中年の親父じゃないんですから」

 と言う容赦のない言葉が降り注ぐ。子爵家の使用人は子供の頃からの付き合いなのである意味容赦がないのは間違いない。


G Wに突入し、物価高と光熱費上昇によって、外には出ずに家でのんびりしようか〜という方も楽しめるように、毎日二話更新で進めていきます。またジャンルは違うのですが『緑禍』というサスペンスものも掲載しておりまして、ただいま佳境にさしかかっております。そちらも楽しんで頂ければ幸いです!!

サヴァランと紅茶をあなたに』の改訂版ですが、読んでいただきありがとうございます!王国編となり、これから女のドロドロも混えながら話が進んでいきますので、最後までお付き合い頂ければ幸いです!!


モチベーションの維持にも繋がります。

もし宜しければ

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