閑話:ドラキュラ伯爵
「ほう、実に面白い。あれはカジワラか。まさか未だに3rdステージをうろついているとは」
あの大改変の直前、魔王城の攻略した(が魔核は手に入れられなかった)カジワラが、2百年ぶりに3rdステージに姿を現した。
「ふむ、これまた実に面白い。魔族になっているではないか。なるほど、それで未だ生きているという訳か」
人族であり「プレーヤー」であったカジワラが魔族となり、舞い戻ってきた。しかし、よく見ると魔王を倒した時より老けている。まああれから2百年近くたっている。「プレーヤー」といえど人族だ、年老いて寿命を迎えていておかしくない。どんなスキルを使ったものやら、老いた時点で不死魔族になり寿命の解消をしたようだ。
「いずれハイタウンへやってくるであろう。その時が楽しみだ」
今でこそ3rdステージと呼ばれているこの世界。そのきっかけは「審判者」が現れたことだ。この世界の理の外側にあると思われる存在。それにより設定がなされた魔王。そして歪められた。
歪められたことに気付くのに、どれほど時をを要したのだろう。そして結界を編み出しその影響を切り離すのにまた時を要した。ようやく力を取り戻し、魔王を倒し、この結界へ封印することでかつての世界を取り戻そうとした。しかし、一歩先にカジワラにより魔王は倒され、さらに大改変が起きてその機会は奪われることとなった。
やがて、思い通りカジワラと接触を果たし、死属性魔法の手ほどきをして恩を売るように見せかけ、彼が魔族へと転じたスキルを探り出すことになる。そうして「事象改変」に行きついた。
しかし、これが厄介なものだった。「プレーヤー」にしか使用できないスキルであったのだ。まあ、種族特有のスキルというものは確かに存在する。魔族は精霊は扱えないし、人族や獣人族のステージでは魔素が違うため、スキルが使えない。逆に彼らもまたこのステージの魔素では生きられないだろう。だが、「プレーヤー」は違う。彼らは全ての属性魔法を行使することができる。そしてどの魔素でも精霊でさえスキル行使の供給源となるのだ。彼らもまた「審判者」と同じ理の外側にあるのだろう。
それでもまがい物ながら、「事象改変」に似たスキルをものにすることができ、試しに不死魔族のダンジョンボスを王 へと改変することができた。そして、当初の魔王への対応も結界への封印ではなく、改変により自身が魔王を取り込むことで成り代わることができるのではないかと思うようになった。やはり封印だけで魔王の影響を完全に遮断できるのかという不安はあったのだ。ただ、肝心の魔王の魔石や魔核の存在はいまだ不明だ。しかし、改変で生み出した王を下級魔族に広げても、再び「審判者」が現れ新たに魔王の設定する等ということもこともなかった。それに、そもそも魔王の魔石や魔核は消滅などしていない。かつて封印を実行しようとする準備段階で自分との繋がりを施しておいた。そう、繋がりは間違いなく今でも感じている、なのでどこかに存在しているのだ。だが、焦る必要を全く感じなかった。時間は不死魔族にとって敵ではないのだから。
やがて、あの大改変より5百年もの時が過ぎ、「プレーヤー」が、二つ名持ちの奴らが、目の前に現れたのだった。
「ガアアアアアッ~!!」
何が起きている?
「このままでは、アヤツか魔王かどちらかが消滅するな」
どういうことだ?なぜ私が消滅せねばならない?
「「事象改変」!」
その言葉と共に、身体の自由が戻ってくる。なんだ?上手くいったのか?いや助けられたのか。
「...何をした」
そのスキルを行使したであろう二つ名持ちの「プレーヤー」でもある少女に問いかける。
「アナタの中途半端な改変スキルで、ちょっとバランスがね。どちらかが消滅するだけじゃすまなそうだったし?」
「なに?」
「バルはどちらかがって言っていたけど、アナタが消滅するだけじゃなく魔王も影響を受けてまともに残らなかったと思う」
「いや、それで何をしたんだ」
「だから、融合したよ。まあ、アナタの思惑通りとはいかないけどね」
どういうことだ?
「まあ、アナタは魔王になったよ。それだけ」
うん?
「だから、もうドラキュラじゃないということ」
なんだと。
「もう理解しているんじゃない?まだ意識はドラキュラに引っ張られているのかな?まあ、記憶自体はそのままだろうけど」
すると、目の前の少女の言っていることを徐々に理解してくる。そうだ私は魔王だ。
「そういう訳で、今後このステージの「管理者」としてよろしく」
3rdステージ完結です。少しお休みします。次章開始、しばらくお待ちください。




