3rdステージクリア
「さて、ここでギルドに戻っても良いんだけど」
「ボクもそれでいいよ。もう休みたい」
「いやいや、ちょっと待て!アイツが待ってるんだぞ!」
「うむ、そうだな。このステージをこのままにしておくのは我も賛成できぬ」
これで2対2だ...いや、まあここで帰っていいわけないことはわかっている。ちょっと現実逃避をしただけだ、私もルーも。
「仕方がない。ドラキュラに会いに行きますか」
最上階に上がると、まあ、ちゃんとヤツは待っていた。
「ようこそ、いや~まさか帰ってしまうのではと、冷や冷やしたよ」
冗談ともつかない言葉で出迎えてくれた。...まあ確かにちょっとは考えたけどね。
「それでどうするのかな?魔王関連の魔石や魔核を寄越せ的な話がスタートだったと思うけど、なんか貴方と戦う意味が本当にあるの?」
と、私が問う。
ドラキュラが、それを手に入れて「審判者」がやってくる前までの3rdステージに戻したいということは透けて見えるのだが、本当に可能なのだろうか。そしてそれが、このステージにとってどんな意味を持つのか。
ギルドは、魔核を揃えることで王の出現を抑え、その間にハンターの育成、強化することで3rdステージの安定を齎そうとしている。つまり、それは「審判者」が現れる前の、魔王がいなかった頃に戻そうとしているということだ。ドラキュラの狙いも似たようなものではないのか。
「どうやら、私が魔王の存在を消そうとしていると思っているようだね。そうしてかつてのこのステージを取り戻そうとしていると。...実に面白い」
うん?そうではないと?
「まあ、それで間違いという訳ではないのだが、それだけでは再び「審判者」が来ないとも限らないということだな」
バルを見ながら、ドラキュラは続ける。
「つまり、このステージから魔王の存在を消すことは得策ではないのだ。現に魔王のいない今、「審判者」が目の前にいるのだからね」
そういえば、バルも「管理者」は3rdステージには基本いないとか言っていたな。魔王がいたからなのか。
「でも、魔王の存在は気に入らないんじゃなかった?復活させても意味はないんじゃ?」
ルーが疑問を挟む。
「そうだ意味はない。が、ただ復活させるのではない。この私が魔王に成り代わるのさ」
「へっ?」
ルーが固まる。
「マジか!」
カジも固まる。
「ふむ」
バルは別に固まらない。
しかし、成り代わるか。死属性にそんなスキルあるのだろうか?バルを見やると、
「いや、ないな。しかし方法がないわけでない」
私を見返し、バルが答える。ああ、アレね。...まあできるね。私なら。でも、それならドラキュラには無理な筈。と、
「うぐっ~っ!」
突然カジが蹲る。
「ほう。意外だね、カジワラが持っていたのか」
どうやらカジワラに持たせていた魔王の魔石か魔核がなにか悪さをしているようだ。そういえばカジの3rdステージ攻略前にドラキュラ、目的がどうとか言っていたな。
「カジよ、魔石と魔核をストレージから出すのだ」
バルが告げる。カジが素直に従うとドラキュラの手にそれらが移る。
「すまないね。想定以上に君たちが強力だったのでね。姑息な手段を取らせてもらった」
まあ、単純に戦闘をするとは思っていなかったけど、そうきたか。
「まずいな」
バルがそうつぶやいた。
手にした魔核をそのまま持ち、魔石をもう片方の手の指先でつまむドラキュラ。
「何がまずいの?」
私がバルに問う。
「いや、アヤツが何をしようとしているか正確にはわからんが波動がな、よくない」
「つまり?」
「うむ。失敗するな」
その言葉が発せられるのと同時にドラキュラの叫びが響いた。
「ガアアアアアッ~!!」
なるほど、その波動とやら、あれだな、「事象改変」に似ている。以前カジワラが「事象改変」で魔族になりこのステージに戻った時にドラキュラが世話をしてやった時期があった。「事象改変」をその時知ったのだろう。そして自分でその能力を手に入れようとしたということか。
本人は、可能だと思っていたのだろう。もしかしたら何やら成功もしていたのかもしれない。何をしたのか知らないけれど。まあ都合よくこのステージに君臨していたようだし、その辺のことだろう。
しかし、魔王はこのステージのシステムではない。「管理者」扱いのシステムだ。そこへ干渉するほどの「事象改変」の再現は無理だったということか。
「このままでは、アヤツか魔王かどちらかが消滅するな」
バルが告げる。つまり不死魔族を完全消滅させる聖属性スキル「聖祓魔」を使われるようなことか。まあドラキュラのあの叫びでは、消えるのはアイツなのかも。
バルがこちらを見る。...ハァ~、しょうがない。わかりましたよ私が使えばいいんでしょう?
「「事象改変」!」
すみません、次話で第三章の締めです。




