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転移先の古城

「!」

 っという間に先ほどまでいた屋敷の玄関ホールは、寂れた雰囲気から壮美なものへと変化していた。どうやら転移先は、どこかの古城の様だ。

「くそう!テレポートは嫌いだといったはずだぞ!」

 顔を背ける三人。...(つる)んでやがったか。そこへ、

「おや、珍しい。カジワラだね。なんか若々しくなっているじゃないか。それに連れは三人かい?君が他人(ひと)と組むなんて、実に面白い」

 正面の大階段から優雅に降りながら、白銀(プラチナ)の長い髪を後ろに流し、切れ長の涼し気な金色の瞳を持つイケメンでスラリとした紳士が言葉をかけてきた。

「ああ、まあいろいろあってだな。それより紹介するよ...」

「いやその必要はないよ。しかし「黒炎龍姫」に「万年ルーキー」、そして「審判者」とはね。実に面白い」

 カジの言葉を遮り、その紳士は私達を見つめながら言葉を挟んだ。バルはこのステージでは「審判者」なのか。

「申し遅れた。私の名前はドラキュラ、お見知りおきを」

「えっ?ドラキュラ?あのドラキュラ伯爵?」

 ルーがすかさずツッコむ。...ドラキュラ伯爵と言えばバンパイアのボス的ポジションだったハズ。ハズというのも、5百年前のバンパイアのダンジョンボスはドラキュラ伯爵ではなく別の奴だった。確か行方不明になったとかなんとか、そもそも「ドラキュラ伯爵」だ、ゲーム的にというか伏字(〇ラキュラ)にしなくて良いのくらいインパクト抜群の知名度を誇るキャラなのに行方不明?みたいな、何で戦えないの?みたいなガッカリ感があった。こんな処にいたのか。ってここがどこだか知らんけど。っというか、なんでカジが知っているんだ?

「まあそうだね。その認識であっているよ。厳密にはもう伯爵ではないのだが、伯爵ということにしておこう」

 よくわからないナゾかけのような返事だが、それよりカジだ。

「なんでカジが知り合いなんだ?」

「それを話すと長くなるが、まあ俺が魔族になった辺りで知り合ったんだ」

 どうやら、1stステージに行けずに2ndステージをうろうろして「事象改変」で魔族になったわけだが、その変化に上手く対応できず3rdステージへ行かざるを得なくなった。

「それはそうだろう。ちっともバンパイアらしくないバンパイアがいるわけだからね。思わず声をかけたんということさ。実に面白い」

 そしてドラキュラにいろいろと世話になったらしい。そうして一端のバンパイアとしての能力を身に着けたという。

「人族でありながら魔族で、だからどちらの魔素にも適応できるみたいだったし。実に面白い。しかし、突然プッツリ消息が途絶えた」

 まあ、それはあの嵐龍(バカ)を2ndステージで見つけたからだろう。確かにちょっと薄情だと思うが。

「それについては申し訳ないと思わなくもないが、アンタなら気にしないかなとも思ってな」

 というのがカジの言い訳だ。...なんとも適当な奴である。

「ああ、気にしていないとも。こうしてまた会えたわけだしね。しかも人族に「プレーヤー」に戻っているとはね。実に面白い。」

 なんとも聞き分けの良い伯爵様だ。「実に面白い」は口癖か?...そんな口癖の主人公のドラマが...まあいい。その頃の縁だか何だか知らないけれど、あのハイタウンの古屋敷の転移陣にはカジの魔力が登録されてあったのだろう。状況はわかった。それならば本題だ。

「なんで私達をここに連れてきたんだ?伯爵にただ会わせたいという訳じゃないんだろう?」

「お前を騙したような感じになって申し訳ないが、「テレポート」嫌いだからああするしかなかったんだよ。他の二人にはハイタウンのダンジョンに詳しい奴に会いに行きたいという話をして協力をお願いした」

 なんだよ、「テレポート」ならルーも嫌いじゃなかったっけ?

「ハイタウンのダンジョンならさっきギルマスに聞いたじゃないか。徒党を組んでるんだろ?まとめて攻略すればいいだけだろう?」

「確かにそうなんだが、その前に確認したかったんだ。ここへ来れるかどうかをね」

「どういうこと?」

「簡単に徒党を組むというが、魔族の奴らだぞ?誰が頭になる?そんなに簡単に従うか?」

 ふむ。一理ある。

「そんなことができるやつに俺は一人、心当たりがあった」

 それが伯爵か。

「ここに来れなけりゃ、そいつが頭だ。だが、違った。ここにいるからな」

「なるほどね。それで会いに来てくれたのか。単純に会いたかったと言ってほしかったね。実に面白い」

 実に上品な笑顔を浮かべ伯爵が答えた。既に場所は玄関ホールから応接室に移っている。高級家具に囲まれた部屋だ。座り心地の良いソファーに身を委ね、メイドの格好をした美人の女性...眷族に入れてもらった紅茶を飲む。...アッサムだ。多分。

「そうだね。私はとっくの昔にダンジョンからは離れているからね。うん、かなり昔の話だね。...その(あた)りのことは「審判者」ならご存じなのでは?」

 バルをみてほほ笑む伯爵。ほうほう、かのドラキュラ伯爵がダンジョンボスでなくなったのには、何やら曰くがありそうだな。しかも「管理者」絡みと見える。

「魔王のことじゃな」

 バルは静かに伯爵へ言葉を返した。

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