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ハイタウン

 昼過ぎにギルドに戻り、すぐさまギルマスの部屋へ。

「もう行ってきたのか!嘘だろ?え、えっ?俺がおかしいのか?」

 ギルマスのマパッチが目の前に置かれた正八面体の大小2つの魔核と私達とを交互に見つめて混乱している。昨日の夕方に見た光景と同じだ。

「条件は満たしたよね。通行許可をもらおうか」

 狼狽えているギルマスに構わず、私は話を進める。悪徳保安官みたいな奴がオロオロしている姿を見ても絵にならない。長く眺めていたくない。

「...わかった。許可を出そう」

 なんとか絞り出すようにギルマスに、

「ありがとう。じゃあ、行くね」

 ギルドを後にして、ハイタウンへ向かうべく南の境界門を目指す。

「ハイタウンもどうかよろしくお願いします!」

 門番たちの声援?をうけて、境界門を通り過ぎる。...ハイタウンに入った。


 ロータウンがアメリカの西部開拓時代の街並みなら、ハイタウンはアメリカの近代的な街並みだ。...そう、禁酒法時代のアメリカ。ギャング?マフィア?そんな感じ。

 という訳で、ギルマスもまんまマフィアのボスのような風貌。...〇ル・カポネみたいな奴だ。

「ギルドマスターのドン・パッチオだ。ロータウンから報告は受けている。よく来た。待っていたぞ」

 ...なんだよ!ドンとくれば〇ルレオーネじゃないのかよ!なんか口の中ではじけそうな名前だな。ロータウンのギルマスに微妙に被ってる感じだし。

「やっぱりここもダンジョン攻略、てこずっている感じ?」

 心のツッコみは置いといて、私は尋ねた。ハイタウンも、ロータウン同様に活気が感じられなかった。別にこの街は禁酒法などないし、ギャングやマフィアが支配している暗黒世界とうわけではなく、そもそも魔人族がアウトロー的な奴らなので、見た目がそういう雰囲気というだけで、本来は普通に人々で賑わい、クラシックカー然とした魔動車が行き交う、景気の良さを思わせる上質な、正にハイタウンといった感じだったのだが。ギルドに来るまで魔動車に1台も出会わず、人の行き来もまばらであった。...そういえば1stステージの魔動車は、ここのを参考にしたのかもしれないな。

「お察しの通りだ。(ロード)が起ったおかげで難易度が上がったからな。それでもスライムは定期的に攻略できてはいたのだが...」

 どうやら最近、上級魔族達が連携を取り始めたらしい。スライムは、上級と言ってもランク的には下級と変わらないのだが、不死魔族ではあるので、こちら側にいるというだけなので、攻略難易度が上がったと言ってもハイタウンのハンターなら攻略可能だった。しかし、他の魔族と連携を取り始めたことにより、それが難しくなったということだ。...そういうことでここでも魔核不足は深刻になってきているわけだ。

「連携というのは、(ロード)が集まっているわけ?ダンジョンも集まっている?」

「そうだな。しかし、集まっているというか階層を形成しているというか、それぞれの魔族どもが長所短所を補うように配置されているというか、まあ連携だな。なので攻略がなお一層困難になっている」

 ギルマスの顔が悔しさを押し殺したように少し歪んだ。なるほど、ロータウンでオーガとオークが共同戦線を張ったのはこのハイタウンの流れを汲んだわけか。そうだよな私らが攻略始めたと言って昨日今日で連携組めるわけがないか。

「状況は、わかったよ。まあやることは変わらないけどね。むしろダンジョンがまとまっているなら好都合だ。悪魔、リッチ、バンパイア、スライム、こいつらの魔核4つ集めてくるよ」

「ほ、本当にできるのか?」

 縋るような声を出すギルマス。

「そのために来たんだ。当然その先のステージに行くためでもあるしね。とは言え今日はもう遅いし、明日行くよ」

 ギルマスの部屋を出て、ギルドの食堂へ向かう。

「ここで食うのか?もっといいとこで食おうぜ」

 カジが文句を言ってきた。そういえば、このステージ、メシはギルドで済ましてばっかりだったな。

「心当たりでもあるの?街も寂れた雰囲気だし、大して変わらないんじゃない?」

 ルーがカジにツッコむ。

「我は何でもよいが。そうだな、カレーが食いたいぞ」

 バルまで何か言い出した。...ここで食えるわけないだろ。1stステージじゃないんだから。ひょっとして私に出せと催促している?

「い、いや、カレーは無理だが、心当たりならある。ちょっと行ってみないか?」

 カジが狼狽えながらもそう返した。ふむ、何やら行きたいところがあるようだな。

「わかった、そこへ行こう」


 閑散とした街並みを歩き、中心部を外れていく。やがて、商業街から住宅街へと変わり始める。やがて、一軒の大きな屋敷の前に来た。

「あれ?ここ飯屋?」

 ルーがつぶやく。どう見てもそうは見えない。古びた屋敷だ。住んでいるヤツいるのかも怪しい。

「まあ、黙ってついてこい」

 カジが屋敷の門をくぐり、勝手に敷地へと入って行く。仕方がないので皆で後をついて行く。そして無造作に扉を開け、玄関ホールへと踏み込んだ。途端、ホールの床が光りだす。

 「なっ!転移陣か!」

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