ダンジョン攻略(オーク&オーガ編)
この日は、ゴブリンとコボルトのダンジョン攻略をして、ギルドへと戻ってきた。まあ昼過ぎに出てきた
訳だし、上出来だろう。ギルマスの部屋にすぐさま通され、大小2つのサイコロ形状の魔核を渡すと驚愕の顔で、
「もう、2つもダンジョンを攻略したのか!えっ?昼にギルドで飯食ってたよな?あれっ?どうなってやがる!」
なんか叫びだしたぞ?興奮しすぎだろ。
「日も暮れてきたし、残りの2つは明日行ってくるよ。ということで許可証よろしくね」
そう、許可証を貰ってさっさとハイタウンへ行きたいものだ。
翌朝、昨日とは反対の東の端の境界門を過ぎ、まずはオークのダンジョンを目指す。荒野を進むと、先の方に広大な草原が見えてた。近づくと、まるで壁のごとく人の背より高い草が、不自然なほどくっきりと境界線が引かれているように生えていることから、これ全体がダンジョンであることを示している。オークのダンジョンに到着だ。流石に王が起っているだけのことはある。ゲームでの記憶の3倍くらいの規模になっている。
別に結界が張られていて、決まったところからしか侵入できないということはない。どこからでも普通に草をかき分けて中に入り込むことはできる。しかし草は密集しているし、背丈もあるので全く視界はゼロである。...ゲームの時と一緒だ。とは言え「探査」スキルをカンストしているので視界ゼロに意味はないが。
「さて、それでは今回は競争にしようか。決まったルートを進むダンジョンでもないしね。誰が一番に魔核を手に入れるか...」
「おいおい!ちょっと待て!なんだいきなり!」
カジがツッコみ入れてきた。
「え~いいじゃない。私の後ついてくるだけじゃつまらなくない?」
「そりゃそうだが、...まあいいか」
「いやボクはよくないよ」
ルーがごねる。まあ確かにそのアバターは元は私のだしね。ちょっと不利か。
「仕方がない、ルーはバルとのペアで挑むことを認めよう」
「おいおい!それじゃ俺が一番不利じゃねえか!」
うるさい奴だなぁ~、ペナルティがあるわけじゃないのに。やはり「プレーヤー」、負けず嫌いか。
「文句言うね~。ハンデでも欲しいの?」
激しく首を上下に振り頷くカジ。...面白い奴だな。そんなに勝ちたいか。
「じゃあ、カジだけ10分早く先行するのはどう?」
「30分!」
値切りやがった。
「20分!真ん中取ったんだ。決まり!いいね!」
渋々頷くカジ。ようやく攻略開始だ。
ダンジョンの中心部の近くまで来ると、密集した草が更に密に連なる箇所にぶつかる。ダンジョンボスのフロアだ。硬い壁のようなというかほぼ壁だよね、をぶち抜き中へ入り込むと、そこには既にルーとバルのペア、そしてカジがいた。
「早かったね」
「早かったじゃねえよ。俺も今来たところだが、どういうことだ?なんで何もないだ?」
カジが私にツッコむ。
「バルは何か知ってる?一番乗りでしょ?」
ルーは駄目だ、どう見てもわからないって顔をしている。
「そうじゃな。どうやら昨日我々が2つのダンジョンを攻略した情報を得て対応したということであろう」
「まあ、そういうことだよね」
ここへ来るまで、オークとの遭遇が異常に少なかった。探査を広範囲に使い、敢えて遠回りしてきた訳だが、無印オークがまばらにいるだけだった。
「困ったね、ボスがいなければ魔核が手に入らないじゃないか」
「仕方なかろう。どうやらオーガのダンジョンに集結しておるようじゃな」
各個撃破されないためか。...変な知恵つけやがる。魔核を4つ揃えられると王が起てないことに気付いているとか?防衛本能が高いな。
ボスのいないオークのダンジョンにいつまでいてもしょうがない。オーガのダンジョンを目指す。オークが草ならオーガは木だ。ということで目の前には樹海が広がっている。鬱蒼としており、視界も当然悪い。...我々には意味ないけど。
「競争する?」
「冗談だろ?最早ただのダンジョン攻略じゃねぇ。こちらを敵として迎え撃つ体制を整えているだろうさ。わざわざ各個撃破されに行ってどうすんだ」
まあ、カジの言う通りだ。言う通りではあるのだが、
「でも、そうなると最短距離を力技で押し通るだけになるけど?」
カジとルーが嫌な顔をする。いや、嫌っていうか残念っていうか申し訳ないっていうか、そんな顔である。
「言いたいことはわかるよ。ボクもまあ、敵に同情する部分がない訳ではないけど」
そうなのだ。昨日から我々を迎え撃つ準備を整えていたであろうオーク・オーガ連合軍は、あちらこちらに罠を仕掛け、防衛ラインを敷き、ボスフロアから遠ざけるように誘導する策を弄して我々を迎え撃つ気でいるのだ。個別であればその策に乗って、防衛ラインの薄い方と、ラインの厚い多数を相手にする方などの押し付け合いするのも競争を楽しむ上での醍醐味ではあるのだけど、まとまって押し通るなら力任せにただ破壊してボスを倒すだけになってしまう。確かに今のロータウンの現状で時間をかけてダンジョン攻略を楽しむのも。...まあオークのダンジョンでは競争しようとしたけど。
「とっとと残りの魔核を得るがよかろう。早めにハイタウンへ行くのであろう?」
バルの一言がとどめを刺した。そうだな。ギルマスが待っていることだし。




