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嵐龍バルバロス

『我は5百年ほど前、名を与えられ、「管理者」となった』

 「ネームド」。この世界であらゆる種族で高位に位置しているのが龍族である。その中で最高位ランクに位置する古龍(エンシェントドラゴン)には、名を与えられ、この世界の「管理者」となるものがいる。それが「ネームド」である。ちなみにこの世界の魔獣の高位種は竜種である(見た目はほぼ一緒、紛らわしい)。つまり目の前にいるのは、ただの龍族ではなく古龍(バルバロス)だったわけだ。「管理者」とは、この世界(あくまで私の知るこのゲームにおいて)の調整役のようなものだ。時折、過度に羽目を外し暴走するプレイヤーが現れる。NPCに対し強盗、強姦、果ては虐殺など高いスキルやステータスを持っていることに増長し目に余る行為をして憂さを晴らすというか外道になる手合いである。こういったやつらの前に現れ強制ログアウト、要は排除する。また、プレイヤー同士の争いが1対1の喧嘩ぐらいならともかく、クラン(プレイヤー仲間やNPCで結成するパーティーが多数結集したもの)規模の町や村を巻き込んだ戦争状態になった場合に、双方の矛を収めさせたり。まあ、できるだけ健全にプレイヤーが楽しめる環境を維持しているサービスというわけだ。

「その「管理者」であるあなたが、「チュートリアルの村」を滅ぼしたの?」

『今からその説明をしようとしているのではないか。お主はその話が聞きたいのであろう?』

 ギロッと睨まれた。おおっといけない。口が滑った。神妙にしなくては。

「ごめんなさい。村の有様が、「トルネード」を浴びせたのかと思えるものでしたので、つい」

『ふむ。確かに(われ)の「トルネード」せいであることも間違いないが。そうだな、事の起こりは我がまだ「管理者」としてようやく様になってきた頃のことだ』

 やはり風属性魔法の最大級じゃないか。でもよかった。話を戻してくれた。そうかやはり、最初に教会にいた時より今は5百年近く過ぎているということか。

『異変に気付いたのは、異世界より召喚が行われるポータルすなわち「はじまりの教会」じゃな、これが突然魔力暴走を始めたからじゃ』

(ニューゲーム時のログインは、こちらじゃ異世界召喚になるのか)

 どうやらバルバロスは、主に「R」や「A]クラスの管理者だったらしい。そして異変に気付き、ポータルに一番近い、この森の魔法陣へ「テレポート」して、村へと急ぐ(その際森の魔獣も一斉に逃げ村を襲ったらしい...やっぱりスタンピードこいつの所為じゃん)、そこには魔力暴走を起こした原因者がいた。

『此奴が何者かは今もってわからぬ。とにかく見た瞬間、排除せねばと強く感じたのだ。そう一刻も早く』

 そして、戦闘が起きた。それであの村があの惨状になったわけだ。ちなみに、村にいた人たち(プレイヤーやNPC)はスタンピードが起きた時点で、慌てて「テレポート」を使ったため無事?だったらしい(魔法陣を使わない「テレポート」だとどこへ移るのか分からないそうだ...座標とかそういう問題らしい)。

『彼奴の結界は非常に強力でな。我の魔法をことごとく弾きおった。そしてついにポータルが魔力の奔流を起こし其奴とともに消えおった』

 こやつ、あやつ、そやつ、どいつだよ!と突っ込むことはしない。どうやらそれでポータルはその機能を失ったらしい。つまりそれ以降ログインしてくるものがいなくなった。つまりこのチュートリアルステージは意味をなさなくなったということだ。巻き込まれどこかに転移した「R]」クラスのプレイヤー、ご愁傷さまです。

「じゃあセーブポイントからのプレイヤーは?」

『宿屋もしくはギルドの休憩室にあるポータルのことじゃな。それも同時に異世界への召喚機能を失ったためここ5百年プレイヤーが新たに現れたことはない。お主以外はな』

(なるほど、どうやらシステムの改変が起きたらしいな。どうりで、ログアウトできないわけだ)

 こういうことか?最初教会で気づいたときは丁度その謎の人物が改変を始める時だったのかも。だからログアウトできなかった。そしてその魔力の奔流とやらで5百年後の教会に跳ばされた。

(つじつまは合うのかな?どうなんだろう。そもそもなんで「クロエ・ビロウ」のアバターで教会にいたのかは謎のままだが)

『そういえばお主、「クロエ・ビロウ」という名だったな...思い出したぞ!お主「黒炎龍姫」!最強最恐のプレイヤーか!』

 あっ、やべ。


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