閑話:久遠たる春のエフィルウィアル
総じて長寿である妖精族ではありますが、エルフはその中でも他の妖精族より平均寿命は倍近くになり、千年を超えます。そのためか、少々というよりかなり世情に疎いというか考えないというか、「話が通じない」だの「ボケ多すぎ」だの、何やら徒の年寄りのような扱いを受けている様に感じることもないではありません。まあ、その辺の評価は「大精霊シルフ」様や「大精霊ドライアド」様にも責任の一端はあるような気もしますが。
私はそのエルフの中でも比較的「まとも?」な方である自覚があるので、此度の件に限らずいろいろと頭を痛めることが多いのです。
話を戻しましょう。
「それ」を最初に見つけたのは、年若いエルフの女子でした。世界樹の幹に見つけた小さな洞、その中にあったそうです。「クロウ」と名乗った「プレーヤー」が申しておりました「それ」は「魔核」と呼ばれるものだそうです。5百年前の大改変時に3rdステージより転移してきたのではないかと思われるというのです。まあ、エルフが「それ」を見つけたのは大改変よりかなり後の事でしたので、確かめようもないことなのですが。
小さな洞があり、そこへ魔核は転移したのか、転移した魔核がその後この場所に小さな洞を生んだのかそれはわかりません。いずれにしても大改変後、いまから2百年ほど前に小さな洞でその魔核を見つけたというわけです。
そして、それを見つけたエルフより何かのついでのような形で聞かされた私は、慌てて木の「大精霊ドライアド」様に報告を上げました。ドライアド様は、その魔核を確認され、すぐさま結界を施したのでした。
「何か良くないものなのですか?」
私がお聞きすると、
「...知らぬ」
「え?」
「「あの方」が封ぜよと」
「そうでしたか」
どうやらドライアド様もよくわかってはおられない様でした。
「2百年前ねぇ~」
ここまでの経緯を私を含め皆から聞いてクロウ様がバルバロス様を見ながらそうつぶやきました。
「うむ...」
バルバロス様は少し唸ると黙ってしまいました。クロウ様が、
「アイツじゃね?」
「うむ...」
「いやアイツもそうだけど、けしかけたのはカジワラか。そもそもカジワラ自身、2百年前までこのステージを彷徨っていたわけでしょ?」
「うむ...」
「なんじゃ?2百年前にこだわっておるな?あれか?ストーンサークルのことか?」
名を戻された「あの方」であるエナリオス様が声をかけられます。クロウ様に向けられたその眼差しや声色は親愛というか昔からの知り合いのような雰囲気を感じます。しかし、2百年前ですか。そういえばストーンサークルは2百年前、嵐龍により破壊されたと聞き及んでおりますが、そのことでしょうか。
「5百年前の大改変が大本なんだろうけれど、ストーンサークルの件は、あの嵐龍とカジワラじゃない?」
「うむ...」
「まああの嵐龍は踊らされただけということではあったけど」
「うむ...」
「そもそも1stステージのダンジョンもファウティノがとっとと管理してあの嵐龍を早めに回収していればよかったわけじゃない?ステージにいた「プレーヤー」達は、別にストーンサークルなくても1stステージに戻れていたわけだし」
クロウ様がたたみ掛けます。なぜか後ろにいるルー様が、ばつの悪そうな顔ををしています。話題となっている嵐龍と関わりがあるのでしょうか。クロウ様の不満は続きます。
「そうなっていればカジワラもこのステージウロチョロすることもなかったかもしれない。少なくともノームの山や此処はこんなことには、ならなかったんじゃない?」
「うむ...」
バルバロス様は苦虫を嚙み潰したような顔で、唸ってばかりでございます。
「そうだよ!それに王国もダンジョン管理する必要なかっただろうし、帝国と睨みあうこともなかったんじゃない?」
「いや、火の山のこともあったのだ。どこかしら歪みは起きたであろうし、ファウティノも名を返上しておったしの」
「...面白くないな。それにカジワラ、アイツ「プレーヤー」に戻ったくせに今、一人のうのうと余生を楽しんでいるというのもなんか癪だな~。そもそも次の3rdステージは物量がものをいうしね。まあ私らだけでクリアできないわけじゃないけど」
「うむ...」
何やら話し合いは続いておりましたが途中から何を話しておられるのか皆目見当がつきませんでした。
その後、エナリオス様は「天空の泉」へとお戻りに、バルバロス様も「テレポート」でどちらかに向かわれ、クロウ様と「ルー」と呼ばれていた少年は3rdステージへと向かわれました。
「結局クロウ様たちはどうされるのでしょうか?」
「...知らぬ」
「元気があるのはいいことだよ!」
ドライアド様もシルフ様も答えてはくれませんでした。
それでもわかることはあります。クロウ様がエルフの国をはじめ他の妖精族の国々を救ってくれたということは。
これで、第二章終わりです。投稿を始めてちょうど1年経ちました。今後、なるべく自分のペースで続けて行ければと思っております。それではまたちょっと時間を頂きまして、第三章を始めます。(3月再開予定)




