2ndステージクリア
「これは「シルフ」様、お戻りですか。そちらのお連れ様は...」
最後まで言葉をつづける前に、洞の入口に立っていたエルフが跪く。
「大変失礼しました。エナリオス様、そしてバルバロス様」
おっ、さすが「神の使途」様だ、このエルフちょっとまともな反応しているぞ。まあ、シルフのはもう天然通り越している気もするのだが。
「それで、お連れのこのお二方は」
「この二人は「プレーヤー」、人族さ。今回の事態に協力してもらう」
エナリオスにさりげなく紹介された。
「左様ですか。それでは皆様、ご案内いたします。紹介が遅れました、私は「久遠たる春のエフィルウィアル」と申します」
このエルフ、エフィルウィアルか、オリーブ色の長い髪を後ろで一つにまとめている美人のお姉さんだ、が案内してくれるらしい。どこに?
「あの~、どこに?」
思わずルーが訊くと、
「はい?どこかご希望がございましたらご案内いたします」
微妙な返しである。まあ、まだ明後日の方向ではないからまだマシか。
「じゃあボクはこれで」
シルフが外へ飛び出して行ってしまった。そういえばアイツ、此処までちゃんと案内してくれたことになるのか。よくわからない。まあこの奥に「大精霊ドライアド」がいるのだろう。エフィルウィアルもそこへ案内してくれるのだと思う。
しかし、こんなデカい洞、覚えがない。この奥にドライアドがいるというのもピンとこない。...まあ、ゲームの設定との違和感を今更疑問に思ってもしょうがないのだが。
しかし、この洞もずいぶん奥まで続いている。洞というより洞窟だね。ちょいちょい曲がり道もあれば分かれ道もある。洞窟というよりダンジョンでは?なんて考えていると、前方のちょうど分かれ道になっているどちらかから戦闘と思われる音が聞こえてきた。分かれ道で、エフィルウィアルがその戦闘のする方と別の道へ行こうとするので、
「なんか戦っているみたいだけど、いいの?」
と、私が言うと、
「戦闘がなさりたいのですか?」
と返してきた。
「いや別にそういう訳ではないけど」
「ご安心ください。どうせ我々も戦うことになります」
なんてエフィルウィアルの言葉がフラグになったのか、目の前に精霊獣が現れた。「バサラウロ」だ。冒険者パーティーでいえばちゃんとした編成でもCランクでは厳しいぐらいの強さで、オオトカゲのような姿に棘のある蔓を何本も生やしている木属性の精霊獣である。蔓を触手のように操って攻撃や拘束に用いる。もちろん木属性の精霊術も使う。「種弾」を放ってきた。全員が難なく避ける。しかし、ここは洞である。木の中だ。バサラウロは「蔓乱舞」で自身の蔓だけでなく天井や壁、床からも蔓を生やして我々を襲う。こうなれば元を絶つまでと「ワープ」でバサラウロの頭上に移動し魔杖剣で首を刎ねた。精霊石を残して消えていく。
「割とあっさり片づけられるのですね」
エフィルウィアルが深く息を吐いた後そうつぶやく。単独で討伐したことに単純に驚いているようだ。まあ、申し訳ないけどドラゴン級も単独で倒せるんで、何なら「管理者」ですら葬ってます。...それは「私」じゃないけど。
という訳で、その後も湧き出る精霊獣を倒しながら奥へと進んでいく。これ、完全にダンジョン攻略だよね。
ようやく最奥にたどり着いたようだ。ボス部屋よろしく闘技場のような広いスペースである。そして、ダンジョンボスとして鎮座しているのは木竜だ。何かその後ろに見える祭壇のようなところにドライアドがいた。「いた。」というより埋まっている?上半身が辛うじて祭壇の壁から出ている感じで目を閉じてうなだれているように見える。 エナリオスが静かな声で、
「ドライアドは今、魔核を抑え込んでおる」
「シルフが「魔力の奔流」の大半を結界で弾き飛ばし、予がそれを集め抑え込んでおった」
ちょっと待て、
「魔核?」
「そうじゃ。魔核により「世界樹」の中にダンジョンが生まれた」
ここがそのダンジョンということだ。世界樹のダンジョンだ、生み出される精霊獣はどれも通常よりランクが上がっており、討伐も困難を極めていた。そこでドライアドが魔核を抑え込むため世界樹と同化して何とか精霊獣のランクを下げて討伐難可能としていたらしい。しかし、いよいよボス部屋ができてダンジョンボスも出現したという訳だ。エナリオスが急いだ理由がこれだった。
まずはブラウンドラゴンの討伐か。取り敢えず首を刎ねたが、すぐ再生した。胴体が世界樹に埋もれているというか洞である床から生えている形なので、世界樹そのものが襲い掛かってきているように感じる。そのくせ床に胴体は固定されているわけでなく、スムーズに埋もれたまま移動してきやがる。
やっぱりこれも元を絶たないとキリがないようだね。ドラゴンの攻撃を避けながら、ドライアドの様子を窺う、魔核は何処にあるのか?...と、見つけた。「ワープ」でドライアドのそばに移動、後ろ手に隠すように持っている魔核に「事象改変」をかける。魔核が精霊を使ってダンジョンを造れることがそもそもおかしいのだ。魔核は3rdステージの魔素によりダンジョンを造るものなのだから。なので、その間違いをただす。
『『総員退避!』』
エナリオスとバルの念話がダンジョン内に響き渡った。
「いきなり「事象改変」を使うでない!「世界樹」に皆埋もれる処であったわ!」
静かに喋らないエナリオスを初めて見た。
まあ、無事に皆「世界樹」の外に出られたようだ。もう洞もなくなっている。結界を解いたシルフもやってきた。「大精霊ドライアド」、ライトブラウンのショートカットの少女はじーっと私の手を見つめている。そういえば一言もまだ喋っていないなこの娘。私の手には正常?というか元に戻した魔核がある。もう精霊を取り込むことはできない。2ndステージクリアといったところだが、
「この魔核...」
「うむ、魔王城のものじゃな」
「!、やっぱり!」
すみません。2ndステージクリアですが、第二章はあと1話で完結となります。




