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クエストクリア(みっつめ)

 私たちは今、「静謐の大湖」の端へと向かっている。ウンディーネからの依頼である。クエストということだ。目指すは「天空の泉」である。いや、正確には「天空の泉」の奥底に住まう者か。ナイーダなどは「あの方」なんて持って回った言い方をしていたが。まあそれもしょうがないのだが。

 そうこうするうちに「天空の泉」のある島が見えてきた。島というよりデカい山だね。あの北斎の神奈川沖浪裏の富士山な感じ?まああんなに波高くない、むしろ凪なのだが、水面からドーンと富士山みたいな感じである。大きさもほぼ同じぐらいだ。

 そして、その富士山の山頂の火口に当たるところに「天空の泉」がありその泉より溢れ出る水が山裾を伝って湖に流れている。なんか露天風呂の温泉の噴き出し口みたいだ。全国調べたらありそうだよねそんな露天風呂。そんなどうでもいいことを思いながら、その島にたどり着いた。


「それじゃあ、会いに行こうか」

 山頂に立ち、「天空の泉」を見下ろしながら私が言うと、

「うむ、急いだほうが良いな」

 バルが唸るような声で応える。状況が思ったより悪いということか。それならばと泉へ飛び込み、奥底へと潜っていく。やがて、大きな存在感と共にその者が姿を見せた。

「そ、そんな...」

 その姿を見た瞬間、ルーが息をのんだ。

『...バルバロスか。久しいな。これはまた懐かしい顔ぶれと共に居るな』

 念話だ。見せたその姿は、左のひれ?翼?が半分欠け、左目と左の角を失っている泉龍(ブルードラゴン)だった。このステージの元「管理者」である。既に名を返しているので「あの方」というわけだ。

「ふん、この「クロエ・ビロウ」はお主を襲った者ではない。中身が違うのじゃ」

 後ろで固まっているルーには構わずバルがこたえた。

『ふん、わかっておる。そういう意味で言ったのではないわ』

 私もこのアバターの記憶で、理解している。目の前の泉龍(ブルードラゴン)が何故このような傷ついた姿なのか。ルーにしてみればその当事者だ。そう、目の前の元「管理者」を亡き者にしようとした張本人。

 しかし、泉龍は傍で唖然としているルーに一瞥をくれてから私を見て黙ったのだった。どうやら目の前にいる少年冒険者(万年ルーキー)みて、いろいろと見当をつけたのかもしれない。言葉を続けることをやめた。そして、バルも続ける気はなく、私もそうだ。...それなら話を先に進めよう。

「それで、お察しだと思うけど、私らはあなたが今抱えている問題について来たというわけ」

『ウンディーネから依頼されたようじゃな、少し前に「遼遠なる響」の者が現れたからのう。大方このようなことになるとは思うておった。バルバロスが来ておることはファウティノより聞き及んでいたしの』

 まあそうなんだろうな、でなけりゃこんなに冷静に私を迎えているわけないし。それでも一言いいたくなるぐらいには、...まあいい。そして、あらためて泉龍に目を移す。


 ウンディーネが私たちに依頼したこの泉龍に起きた異変、それは、痛ましいその姿、欠けた翼や失っている左目や角などではない。まあ、なんで治そうとしていないのかは知らんけど、元に戻すのを良しとしないみたいな矜持でもあるのかもしれない。...あまり触れんとこう。

 問題なのは、泉龍のお腹のあたりで渦巻いている黒い塊の方である。結界で抑え込んでいるのだが、どうやら長くはもたなくなってきているようだった。

「早くなんとかしてやれ」

 バルが急かしてくる。まあそりゃそうなんだけど。

「どう見てもあれ「魔力の奔流」だよね」

 1stステージでダンジョンコアをどうかしていた時に感じたあれと同じものだ。やはり、ルーを召喚して、ドワーフの山の魔石を肥大化して、リザードマンの国にいた火竜?黒竜?を活性化しただけではなく、...でも、これはこの泉龍が自身がその影響を受けぬように防いでいるというより、逃がさぬように捕らえているということかな。

『お主、これを無力化できるというのか』

 バルの言葉を受け、どうにかできるのかといぶかし気にこちらを窺う。

「まあそうだね。できそうだね」

 「事象改変」を使えば、可能だろう。何せこの世界のあらゆる現象を改変できるのだから、SLv(スキルレベル)もガンガン上がっており、たぶん今回でカンストするだろう。...知らんけど。ということで目の前の「魔力の奔流」を(ただ)の魔素の塊へと改変を行い、自分の中に取り込んだ。...MP満タンである。

 泉龍が驚愕の顔で私を見上げる。

『今のは、もしや5百年前の...』

此奴(クロウ)があれを起こしたのではない。確かにあれと同じ力であろうと思われるが」

 バルが泉龍に応えた。まあ、こちらは巻き込まれた方だからね。

『そうか、そういえば2,3百年前にも同じ力を感じたことがあったな。何も起きぬので放置したがの』

 それたぶんカジワラです。

『いずれにしても助かった。礼を言う。残るは「世界樹」じゃな』

 やはり、ラストクエストがあったか。

『ドライアドが「世界樹」で抑え込んでおる。シルフが弾いた「魔力の奔流」は(われ)が捕まえたのだが、すべてを防ぐには至らず、いくらか「世界樹」に流れ込んでいてな』

 どうやら、泉龍が警告を発し、木の「大精霊ドライアド」と風の「大精霊シルフ」の共同戦線も空しく、いや奮戦のおかげでなんとか保っているということらしいが、時間はなさそうである。さて、次に行きますか。

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