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ストーンサークル

「お主たちは...人族か?...どうしてここに来れた?」

 近づいてきたのはやはりドワーフだった。目の前に来るのを待っていたら、ちょっと離れたところで向こうから話しかけてきた。かなり訝しげな様子だ。酒樽のような体形に長い髭、頭に鉄兜、ハンマーを担いでいる。まあ所謂、テンプレのようなTHEドワーフである。

「もしや、あのストーンサークルから来たのか?壊れたものと思っておったが」

 後ろの半壊したストーンサークルを見やる。確かにかろうじて機能しているが、結界も中途半端な状態だ。...なんだよ!こんな危ない状態でここに来たのか。バルを睨む。

「あれは2百年ほど前に嵐龍(グリーンドラゴン)がいきなり現れ、無理やり出口から逆侵入したせいで壊れたと伝わっておったのだ。実際、今まで誰も来たことはなかったのじゃが」

 私たちに敵意がないとわかり、目の前に近づいてきたドワーフの親父がバルと睨みあうこちらの様子に構わず喋り続ける。

「そもそも5百年前に大改変が起きてのう。ストーンサークルもその時消失したと思われていたのだ。そして誰もがその存在を忘れておったところでな、あれは突然の出来事であった」

 何だか懐かしむように喋っている。しかしよく喋るな。声も大きいし、人見知りしない、好奇心旺盛、正にゲーム設定どおりのドワーフだね。

「え~っと、あなたはそんなに長く生きているの?」

 バルから目をそらし思わず応えてしまった。そこで初めて私に振り向き顔を見たドワーフの親父が驚きを表しつつも話す。

「おぅ?、5百年前か?ワシもそこまでの歳ではない。そりゃ生まれてはおったがのう。ワシの爺さんの受け売りじゃ。よく聞かされていたのだ。なんでも2百年前のその時、爺さんの目の前に忽然(こつぜん)嵐龍(グリーンドラゴン)とストーンサークルが現れたそうじゃ」

 ...う~んこの親父もそうだがこんなところにドワーフがノコノコうろついているなんて、もしやその爺さん、初見パーティー用のNPCなのでは?それにしてもあの嵐龍(バカ)、王国にダンジョンを知らしめただけでなくストーンサークルにもやらかしをかましていたとは。なるほど嵐龍(グリーンドラゴン)が現れて出入口壊していったと伝わればさすがのドワーフも1stステージに向かえないか。不思議に思っていた1stステージでドワーフの姿を見なかった理由が分かったよ。


「ねえ。ストーンサークル、このままにしておくの?」

 ルーが口を開く。確かにこの半壊状態のままは良くない気がする。今後私がまた使うことになったとしたら、こんなのに入りたくないし。しかし、すでにダンジョンは王国の管理である。向こうの出口には砦もある。直してしまうと、好奇心旺盛のドワーフである。向こうに必ず行くものが現れる。そして行けば王国の砦がお出迎えでは都合が悪くないのだろうか。そもそも1stステージに向かわなくなって5百年経つドワーフが1stステージの情報をどれほど持っているのか。やはり安易に直してしまうとなんか問題を起こしそうだ。...なんて考えていると、

「問題なかろう。元に戻してやれ」

 バルが何やら確信をもって言ってきた。おい、あの嵐龍(バカ)の後始末をしれっとしたいだけじゃないだろうな。

「そんな訳がなかろう。ちゃんとファウティノとも話がついておる」

 何時だよ!その話をしたのは。事前に教えろよ!半壊状態だったのも知っていたんだな!...まあいいや、ダンジョン管理者が問題ないというなら問題ないのだろう。

「どうしたのだ?おぬしらこのストーンサークルをどうするつもりじゃ?」

 ドワーフの親父が好奇心満載に聞いてくる。

 まあ、あの嵐龍(バカ)の後始末をするのは本意ではないが、この転移施設をそのままというのもどうにもすわりが悪い。ということで「事象改変」を使い、ストーンサークルを元に戻した。

「おおおっ!ストーンサークルが!もしや、これが元の姿なのか!」

 ドワーフの親父が驚きの声を上げる。...でかい声だな。


「もうすぐですじゃ」

 草原の丘を越えると、その先に深い谷間(たにあい)が見えてきた。背後には高い山脈が連なっている。

「ようこそ、「裂け目の深き谷」へ」

 指し示す先には、案内してくれたドワーフの国が見えてきた。ちなみにこの親父の名は「黒き(つち)のドルムル」という。まあドルムルだ。ストーンサークルを直したことで何やら下にも置かない扱いになってしまっている。神様かなんかの使いだとでも思われたのだろうか。確かにバルはそのような者で(あなが)ち間違いだとは言えないと思うけど。

 谷間に広がる麦畑や牧草と共にこの国に点在する集落は石と岩で作られていて、その頑丈そうな見た目は谷の岩肌と見分けがつかないほどである。案内された一つの集落の入り口を守る巨大な岩の門が、ドルムルの声掛けにより開かれた。厚い木の門扉は石の壁と見事に調和している。入ると、小道が石畳で敷かれ、その両側には鍛冶場や宝石加工場などの工房が並んでいた。

 ドワーフたちは集落内で忙しく働いていて、金属の打音や石を削る音が絶えず響いてくる。正にTHEドワーフの国だね。

 そのままドルムルに導かれ進み、集落の中心に位置する大きな広場に行きつく。そこには数名のドワーフたちが何やら難しそうな顔をして集まっていた。

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