フランギスタル王国王都アウローネ迎賓館
(どうにも流されているな?まあ何時ものことだけど。ダンジョン攻略もどうなることやら)
ここはフランギスタル王国王都アウローネ、王宮の広大な敷地の中にある迎賓館の一室だ。なんていうかヴェルサイユ宮殿みたいな感じの館で、この部屋もいかにもな調度品で整えられている。出された紅茶を一口飲む。ダージリンだ、...たぶん。
私の隣にはバルバロスがすまし顔で座ってやがる。そして目の前には王国騎士団の副団長ジルベルト・ビスカラが立っている。相変わらず執事にしか見えない。
「わざわざご足労おかけしてしまい、恐縮です。まずは感謝申し上げます。お二方のおかげで王国が抱えていたセイラム男爵領の問題が払拭されました。さらには帝国にいた魔族の問題の解決、そればかりか獣神国まで足を伸ばされ、かの国の窮状をお救いいただきました。誠にありがとうございます」
執事が、いや副団長が深々と頭を下げる。
「いや、成り行きだからね。結果的にそういうことになっただけだからね」
獣神国で火竜たちの討伐をしてから2か月が経とうとしていた。とっととダンジョンを目指し移動したかったのだが、なんていうかまず獣神国ワディーエルの街でのお祭り騒ぎに巻き込まれた。そりゃ「火の山エルダーアレン」、2百年ぶりの開放だ。騒がないわけがない。まあ、それですぐ特産品が再開となるわけではないけれど、調査隊を組んで早速山へ向かったらしい。私が討伐に行った時ちゃんと森を守ったし、樹木などの植生も変わっていた訳ではないだろうから、徐々に収穫できるようになるのではないか。...たぶん。
そして晴海を越えて、帝国に帰るなりカジワラ宰相に泣いて喜ばれた。人族に戻り年相応に涙もろくなったそうだ。...知らんがな。これで獣神国との特産品の貿易が再開されれば、昔のように王国との取引で帝国貴族たちが引け目を感じることはなくなるだろうとのこと。それにセイラム男爵領とのいざこざも穏便に収まる方向になるらしい。詳しいことは興味がないから聞き流していたけど。まあ、私の知る昔のように王国と仲良くやってくれってなもんだ。
で、ここまでで1カ月、ダンビルの森を抜けてセイラム男爵領へ。デビーに魔族の件が片付いたことを知らせるために立ち寄った形だ。まあすでに帝国と話し合いをしているわけだから必要ないのだけれど、まあ顔を見たかっただけだ。もちろん喜ばれて、大歓迎を受ける。デビー・メンドーサ嬢はセイラム男爵に叙爵されていた。領民の為、争いを避けるべく動いた彼女のもたらした結果だろう。まあ補佐がきちんと揃っているみたいだったし、領の立て直し頑張ってもらいたい。グレイグ村にも寄った。村長やノエル達に感謝され、病人もみな元気になっていた。...そしてまた時間を喰った。
それでもようやく出立の時を迎え、いよいよダンジョンだ。と、思っていたら、バルバロスが
「王都へ立ち寄らねばならない。ダンジョンに入る許可をもらわねばならぬ」
などと言い出した。私はすかさず、
「いや、まて。クラスチェンジクエストじゃあるまいし、なんで今更ギルドへ行かなきゃならない?私は普通にダンジョン潜れるはずだけど?」
と反抗する。
「ふん、何時の話じゃ。今はダンジョンは王国の管理じゃと申したではないか。ギルドではない。王宮で許可をもらうのじゃ」
そうか、もうセーブポイントのコンソールないからクラスチェンジクエストではないし、ダンジョンの入り口はすでに発見され王国で管理しているのだったか。...すっかり忘れてた。
ということで、王都へ。そりゃあもう一目散で飛ぶように進んだ。そして、王都の門で衛兵に何故か「待った」をかけられ、ダンジョンの許可もらうだけなのに大仰な魔動車のお迎えがやって来て、...で、今ここ。
「わが王は、国の実務には関与されておりませんが、ダンジョンの許可に関してのみは王の専決事項となっております。そしてこの度の許可に関しては王が直接確認を行いたいと申しておりますのでご容赦を。しかしながら正式に謁見という形ですとお二方もご迷惑でしょう。そこで、こちらに私的に参られます故、しばらくご滞在いただきたく存じます。王は2日後に参ります」
丁寧な説明を行い、またもや恭しく副団長が頭を下げる。確かにこの贅沢な空間で過ごすのもありなのかもしれないが、
「いやこちらは、ダンジョンに入る許可さえ貰えればよいのだけれど。別にダンジョン荒らしまわるつもりはないよ?ただ通してもらうだけ。まあ以前とどう変化しているのかは調べるかもだけど。だから、王様もわざわざ、時間を割いてまで会いに来なくても良いんじゃない?」
「いや、王には会っておいたほうが良い」
私の返答に対して、即座にバルバロスが異を唱える。...またなんか企んでいるのか?
エルシノア辺境伯領でのことや今回も、なんていうかコイツ、以前からちょいちょいフラグ立ててきやがるからな。
「...まあ、わかったよ。2日後だね」
しょうがない。付き合うことにした。




