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アフロユーフラ獣神国ワディーエル港

 取り敢えず貿易船に「魔力結界」と「物理結界」を張り、

「バルバロス、結界は張ったけど念の為、船の面倒見ておいて」

 今までもそうしてきたが、何となく「管理者」であるバルバロスに魔獣やNPCの争いには手を出させるべきではないと思っている。本人はどう思っているかはわからないが。

 甲板から「ワープ」で移動、「グラビティ」(空間属性スキル)で上空に留まり、クラーケンの足を止めるべく「氷投槍(アイスジャベリン)」(水属性スキル)、無数の鋭く尖った氷の槍を打ち込む。足を止められたクラーケンが、標的を船から私に移す。海上に浮かび上がり私に向かって触手を伸ばしてきた。「ワープ」を繰り返し触手を魔杖剣で次々切り落とし、「炎砲弾(フレイムキャノン)」(火属性スキル)で消し炭にしていく。怒りの咆哮を上げクラーケンが「水砲弾(ウォーターキャノン)」を放つ。それをかわしつつ、甲板を飛び出したときより上空で用意していた雷雲を展開させ、一点に収束させた「サンダーボルト」をクラーケン目掛けて放つ。

―ズッドゥオーン!!―

 大音響とともに、クラーケンも跳ね上がる。長い滞空時間を終え、黒焦げになったクラーケンが海に落ちていく。やがて、黒焦げクラーケンは魔素へと姿を変え、青い魔石を残して消えていった。

 ボーリングの球くらいの大きさのそれ(魔石)を抱えて、私は船へと戻った。


 甲板に降り立つと、驚愕の顔を浮かべた船員たちに遠巻きにされる。それまで可憐な少女を愛でるが如く、だらしない顔を私に向けていたはずなのに。...まあ、仕方がないけど、ちょっと落ち込む。

 すると、遠巻きの船員たちをかき分け、公爵と共にこの貿易船の船長がやってきた。

「ありがとうございます。あなたはこの船の救いの女神さまです!」

 何言ってんだろう、この船長。誰が女神じゃ。興奮してツバ飛んでるんですけど。

「凄まじい威力の魔術の数々、さすが伝説となるわけです」

 公爵も興奮している。

「これならばと、確信いたしました!必ずや我が国のお力になって頂ける!」

 ボルテージ上がりまくりだ。船員たちまで騒ぎ出した。...なんかね、私とバルバロスがクラーケン呼び寄せたみたいだし、マッチポンプな感じでどうにもバツが悪い。

「いや、元々そのつもりで依頼を受けたわけだからね、あんまり騒がないでほしいな。...あと船長、これあげるよ」

 船長にクラーケンの魔石を渡す。

「こっ、このような貴重なものをいただくわけには...」

 船長が狼狽えだした。確かにめったに手に入るものではないだろう。深い海の底まで行って討伐するもの好きがいるとは思えないしね。

「いや、もらってくれ。私が持っていてもしょうがない」

 というより、迷惑料として納めてほしい。


 そんなこんなで2日後、無事港に着いた。「ワディーエル港」と言うらしい。獣人族の国に初めて降り立つ。まあ、帝国だって初めて訪れたんだけど。しかし、海を渡って上陸するというのは中々感慨深いものがあるな。公爵の案内で馬車に乗り、港の街へと向かった。

「長い船旅お疲れさまでした。途中のクラーケン討伐も大変助かりました。あの魔石で船の動力、当分困ることはないでしょう。さて、宿にご案内します。まずは旅の疲れを癒してください」

 そうか、あの魔石あれだけデカいと魔力も相当なんだろうな。...などと思いふけっているうちに街中に入り、...するとあの独特の臭いが漂ってきた。

「ま、まさか温泉?」

「よくご存じで。こちらの大陸は火山地帯ですからね。大抵温泉が湧き出ます」

 公爵の説明に私は目を輝かせる。

(よし、温泉だ!そういえば「プレイヤー」が発明したという風呂も一向に入ってなかったな。この世界きて最初の風呂が温泉なんて最高じゃないか!)

 心が沸き立つ。


 案内された宿はそれは豪華な建物だった。街の雰囲気もそうだが、中近東風というのかペルシャ風というのかモスクだっけあんな感じである。街の獣人族も大抵ケモ耳をターバンみたいので覆っている。鼻や口もだ。

「火山灰が舞いますので。この国の人々は大抵あのような姿です」

 公爵が説明してくれた。苦労して渡ってきたかつての「プレイヤー」達はさぞ絶望しただろう。いや家に入れはさすがに脱ぐか。それに単に温泉が目当てだったのかもしれないし。

 しかし、豪華な宿だ。最早宮殿だ。...と思っていたら実は宮殿だった。王族の持つ離宮の一つらしい。さすが公爵、縁故の力で宿として押さえたそうだ。

 豪華な宮殿の豪華な部屋で一息入れる。

「それでは夕食の案内までごゆるりとお過ごしください」

 案内してくれた使用人の話では、部屋付きの温泉があるとのこと。早速入りに行く。

「おお、でかい!ほぼ大浴場じゃないか!露天風呂まである!」

 すごい。コーフンが止まらない。


「ふい~。やはり温泉は格別だな~」

 露天風呂の湯船につかり、赤く染まる空を見上げながら独り言ちる。思えば遠くに来たもんだ、といった心境だ。そもそも1stステージをクリアすべく王国の南にあるダンジョンを目指すはずが、王国から帝国に流れ、今や獣人族の国だ。...温泉につかっているとしみじみとしてしまうなぁ~っと、

「ふむ、中々。疲れが取れるとはこういうことなのか」

「おい!バルバロス!女子の入浴中になに平気で入ってきているんだ!」

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