ポルタラ子爵領都トルーファン
領都外壁の門番の衛兵にも、いろいろ言われるかなと思っいていたが、ギルドカード見せるだけですんなり通してくれた。ちなみに衛兵は変な似非中国イントネーションではなかった。あの村の方言なのか?
しかし、外壁でも思ったけど、街並みは中国っぽい。というか昔の中国?あの香港映画の何とかリーが功夫で暴れるやつ?横浜中華街みたいな?あんな感じ。
日も暮れたことだし衛兵に場所を聞いたトルーファンギルドへ向かうのは明日にして、宿を探す。まあギルドのそばに割といい宿あるだろうとあたりをつける。
「見張られておるな。気付いておるか?」
「まあね。グルジャノ村を出た時も後をつけられてたしね」
正確に言えば、グルジャノ村の中でも見張られていた。村を出た後もつけられてはいたが、私らのスピードに単純についてこれなかった。で、この街に入り再び見張られているわけだ。私らが、王国のギルドカードを持つ冒険者だからか、ダンビルの森を抜けてきた者だからか、あるいはその両方か。帝国もセイラム男爵領の動きは注目していただろうし。情報が全くないわけではないだろう。表立って動かないということは、帝国は王国を刺激するつもりがないということかもしれない。まあ、王国も帝国と事を構える気はないようだけど。
適当に大きそうな宿に入る。高級中華料理店みたいな外観だ。受付の丸眼鏡をかけた三国志に出てきそうな武人みたいな男に声をかける。
「部屋は空いているかい?2人だけど」
「いらっしゃ~い。部屋は別々アルか?一緒アルか?」
ズッコケた。武人のイメージが。それに似非中国イントネーション進化しとるやないかい!っと、気を取り直し、
「ベットが2つに分かれているなら一緒の方がいいけど」
「ここら辺の宿、ベッドないアルよ。布団アルね。畳知っているアルか?土足禁止アルね」
そんでもって和室かい!中華ちゃうやん!...いかんいかん。ツッコミどころ多いなぁ、ポルタラ子爵領。恐るべし。
「じゃあ一緒でいいや。広めの部屋ある?」
「1泊大銀貨2枚アルね。食事は朝だけつくアルね」
金額交渉するのも面倒くさくなり、
「5日分払うよ」
「そんじゃ、大銀貨9枚におまけするアルね。これ鍵アルよ。4階の一番手前アルね」
勝手におまけしてくれた。どうにもやりにくい。素直に部屋に入る。
「疲れた~。会話に。どうも感覚が狂うな」
畳にうつぶせに倒れこむ。
「ふん、情けないこと言いよる。ほれ、飯を食いに行かぬのか?」
「なんかもう、めんどくさいな。部屋で食おう。座卓もあるし」
半ラーメン半チャーハン定食にしようと、「ストレージ」から取り出す。
「どうせなら中華定食だ」
「我はレバニラ炒め定食を頼む」
リクエストしてきやがった。
「ほんとはニラレバが正しいらしいよ?なんかのTV番組でそういっていた」
どうでもいい知識をひけらかす。
「そんなことはどうでも良い。レバニラあるのか?ないのか?」
まあ、ちゃんとあるので出してやる。
「はい、お待ち!」
ニラレバ定食をね。
食事を済ませ、食後のコーヒーを楽しむ。
「相変わらず見張られておるの」
「まあね。でも敵意はなさそうだ。それにしてもお粗末な監視だよね。「魔力隠蔽」はできていないし、「気配遮断」のSLvも低いし、村からの尾行してきた奴らも私らのスピードについてこられなかった」
そう、別に尾行も撒くつもりがあったわけではない、ただの「身体強化」で移動しただけだ。もしかしてこれが、一般の隠密系のレベルなのか。だとしたら昔の冒険者(隠密系が得意な盗賊や密偵など)の方が高かったことになる。あの帝国の使者の「魅了」のSLv程度で通用していたことを考えるとなおさらである。
(そういえば今の冒険者とは、組んだことなかったからランクと強さのつり合いみたいなこと考えたことなかったな)
この(5百年後の)世界にきて出会った冒険者で高ランクとか強いと思えたのは、アルバ―ヒルギルドのギルマス、クレイグ村の村長ぐらいだ。あと騎士などを入れると、ステージ最初の砦の隊長さん、エルシノア辺境伯、執事の副団長は強いと思う。そういう意味では、最初に会った人が砦の隊長さんだった為、今のこの世界の強さの平均値というか基準を高く設定してしまっていたのかもしれない。などと、つらつら考えていると、来客がきた。
「夜分失礼いたします。ポルタラ子爵の使いの者です。領主館までご足労願えませんでしょうか。明日の朝、改めてお迎えに参りたいのですが」




