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ボトトートの森

「私は「テレポート」は嫌いだといったはずだ」

 バルバロスに食って掛かった。ここはセイラム男爵領の手前、「ボトトートの森」の中だ。「テレポート」の魔法陣がこの森の中に設置されていた。辺境伯の領主館で依頼を受けることにした後、内容など煮詰めている中、私たちの移動時間の短縮案として、アルバ―ヒルとセイラム男爵領に隣接したラドフォード伯爵領の「転移陣」を使用する流れになった時(当然私は断固拒否した)、バルバロスがいきなり「必要ない、その「転移陣」は起動に時間がかかるのであろう?ならば(われ)が今すぐ「テレポート」でセイラムのすぐ近くへ移動するのが良かろう」とか言い出し...で、今ここ。

「グダグダとうるさい奴じゃのう。もう来てしまったのだ、文句を言うでない。森を出ればセイラムに入ることになる」

 ケッ、悪びれもしやがらない。面白くない。あと宿屋1日しか泊ってないんだぞ。

「もう「テレポート」は使うなよ。いいね。行くなら一人で行けってんだ」

 くそ、怒ったら腹減ってきた。昼まだだったなぁと思い、丸太のテーブルと椅子を出す。よし、カレーを食おう。

「おい!我の分は?」

 一人でカレーを食っていると、バルバロスが"じとーっ"とこちらを睨んでいた。

「魔素でも吸ってれば?」

 つれなく返す。が、ずっと見つめられるのに耐えられなくて、結局出してやった。...くそっ。


 食後のコーヒーを嗜んでいると、視界の悪い森の中では常にかけている「探査」の範囲のはずれで、小さな魔力とそれを追いかけるそれなりの大きさの魔力の群れを感知した。

(群れは魔獣か)

 森を抜ける手前あたりだ。逃げている小さな魔力のスピードを考えると、抜ける前につかまるであろう。

(人族かな?護衛もつけずに一人で森に入るとは無謀だね。自業自得とはいえ、気づいちゃったからなぁ)

 緑髪も気づいているだろうに、とぼけてカレーのお代わりをむさぼっている。なんか試されているのか?まあいい。

「ちょっと行ってくる」

 断りを入れ、感知した方へ飛んで行き、あっという間に視界にとらえる距離に。ロックホーンウルフだ。先頭のやつが石弾(ストーンバレット)を獲物(女の子のようだ)の足を狙って放つ。が、当たる瞬間、「ワープ」で彼女を引き寄せ私の左手に抱える。石弾は空を切り、木の幹にめり込んだ。

 ロックホーンウルフがこちらに向きを変える。全部で6匹か。木を盾にしてこちらをうかがっている。

(...面倒だな)

 魔杖剣を振り、岩砲弾(ストーンキャノン)をそれぞれにぶっ放す。周囲の木の幹もろとも魔獣たちが粉砕した。

「やりすぎじゃ」

 バルバロスが後ろからつぶやいた。確かにちょっとした森林破壊になってしまった。魔石はどこだろう?

「ふん。いろいろと面白くなかったからね。憂さ晴らしをさせてもらった」

 悪びれずに返してやった。反省はしない。私は悪くない。試すヤツが悪い。っと、左手に抱えていた女の子を見る。私と変わらない年恰好である。森で採取するつもりであろう装備だ。薄緑系の長袖長ズボンにバッグを下げていた。茶髪のポニーテールでかわいらしい顔をしている。ぐったりと気絶していた。まあ無理やり引き寄せたからね。

「この森のそばにある村の者であろう」

「まあ、そうだろうね。しょうがない送り届けるか」

 村を目指して歩き出した。

 魔獣を含め魔物は基本、森からは出てこない。森を出ると魔素の濃度が極端に低くなるからだ。魔物は魔素を体内に取り込んでHP/MPを維持している。まあ森の木の実や果実などを食してもいるが。また、森に入る人や他の魔物を襲うことで魔石を食らい進化(ランクアップもする。なので基本、魔物は森に入ってくる人を見つければ必ず襲ってくる。だから、冒険者ではなさそうな女の子が1人で森に入るのは無謀でしかないのだ。

(事情があったにしろ、自殺するようなのものだ。う~ん、これは巻き込まれる流れ?)

 チラリとバルバロスを見る。強引なテレポートはこれか?


 森を出てしばらく草原を歩く。途中で道にぶち当たり、それに沿って歩いていくと前方に村が見えてきた。木柵が並び、頑丈そうな門には見張りと思しき人が立っていた。ちょっと白が混じった藍色で短髪の60代ぐらい、初老の人族だ。

「ノエル!おい、ノエルが見つかったぞ!」

 私が抱えている女の子を見るや、村のほうへ大声で叫びだした。そして私たちへと近づく。

「ありがとうございます。あなた方が見つけてくださったのですか。その子は無事なんでしょうか?」

「ああ。森で魔獣に襲われていたところを助けた。その際気を失ったが、無事だ。生きている」

「良かった。本当にありがとうございます。申し訳ありませんがあなた方は?」

「冒険者だ。セイラム男爵領のロアノークへ行く途中だ」

 ギルドカードを見せる。

「そうですか。門で立ち話もなんですからどうぞ中に、もうすぐ日も暮れます。どうかお休みください。ここはセイラム男爵領の西の端にあるクレイグ村でございます。ここから領都ロアノークまで2、3日はかかる道のりです。それに行かれるのでしたらこの村の状況も合わせ、お伝えしたいことがあります。お話を聞いていただけないでしょうか」

 やはりこういう流れになるのか。頷いてノエルという女の子は門から出てきた別の女性たちに託す。見張りの人が別のこれまた初老の男に見張りをお願いして案内に立った。

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