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第一部-7 少女
"あと三分ほどで百五十七地区立学校に着きます。すぐに降りられるように荷物をまとめて下さい"
バスのアナウンスが流れた。
「ヒャクゴジュウナナチクガッコウって、言いづらいね」
ローレンは荷物入れからバックを取り出しながら言った。
ヒャクゴジュウナナチクガッコウ、と呟いて、
「早口言葉にできそう」
と、エリが言ったとき、ガタンとバスが揺れた。
"到着しました。走ったり人を押しのけたりせずに、降りて下さい"
バスのアナウンスはそう言っているのに、ビキを含めた男子たちは、誰が一番最初に降りられるのか、バスの中を全力疾走して、運転手さんから注意を受けていた。
「バスの中を走るなんて危ないよ」
と言って、ルーシーは顔をしかめた。
「ほんとに迷惑」
と言って、そばかすの女の子も顔をしかめた。
「私たちも降りようか」
ローレンはそう言って、バックを背負った。