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僕を聖女と呼ばないで!  作者: 水無月
第一章「聖女はじめました」
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第八話「違うってば」

本日も1時間毎に更新です!


よろしくお願いいたします!

 山へ向かう道には国の兵隊さんたちが駐留(ちゅうりゅう)しているのだけれども、彼らも魔力吸収(きゅうしゅう)影響(えいきょう)を受けたらしく、倒れていない人は居なかった。


 そして辿(たど)り着いた古代遺跡(いせき)の入口で僕たちが見た光景は、(にわか)に信じられないものだった。


「か、母さん!」


 大木の(かげ)(かく)れるように身体を預けていた母さんに躊躇(ためら)いも無く()け寄った。左(かた)が血に()まっている。命の危険こそ無さそうだけど、軽傷とは言い(がた)い傷だ。まさかあのルピアが〈魔剣のアナスタシア〉に傷を()わせたというのか!?


「まったくもう……、外では師匠と呼びなさいって言ってるのに……」

「そんなことを言っている場合ではありません! 一体何があったのですか!」


 ()れた手つきで服を脱がせ、布をあてがって傷を(ふさ)ごうとしてくれているシャムシエルが(さけ)ぶ。僕は昨日覚えたばかりの〈治癒(ヒーリング)〉の神術(しんじゅつ)専念(せんねん)することにした。


(くだん)の魔族ちゃんと()ち合いになってね……、向こうの方が手数も多くて、防壁(ぼうへき)を破られちゃったのよ……」

「……()い取った魔力を使ったのか」


 すぐそれに思い(いた)った。昨日あの魔族は魔術ではなく(やり)を使っていたし、母さんの魔術防壁を破る数の魔術を行使したとあればとんでもない魔力量が必要になる(はず)だ。


「取り()えず、応急処置は完了しました」

「ありがとう、シャムシエルちゃん。リーファちゃんももういいから、あの魔族の子を止めてきて」

「うん、分かった。母さんはここに居て」


 〈治癒〉の神術を止めてすぐに古代遺跡の方へ向かおうとした僕だったけど、母さんが怪我(けが)をしていない方の手で僕の(そで)(つか)み、それを(とど)めた。


「言い忘れてた。リーファちゃん、あの魔族の子は傷つけちゃダメよ。あの子は(あやつ)られているだけ」

「え……」


 意外な情報に困惑してしまう。一体母さんは何処(どこ)でそれに気づいたのか。


「たぶん、死霊(しりょう)憑依(ひょうい)してる。何の目的で憑依しているのかは分からないけど」


 憑依か。そう言えば、あの魔族の子は存在が朧気(おぼろげ)だった。きっと複数の存在が重なっていたから、そういう見え方をしてたんだろう。それに気づかないとは、僕もまだまだだなぁ。


 母さんの手を外し、安心させるように微笑(ほほえ)んで見せる。


「……分かったよ、頑張(がんば)ってみる」

「ええ、私の娘ですもの、きっと出来るわ」


 だから娘じゃないってば。


◆ひとこと


使者の御霊というのは神の御許へ送られる、というのがこの世界の考え方ですが、死霊という存在も居るようです。


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次回は本日21時半頃に更新予定です!

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