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僕を聖女と呼ばないで!  作者: 水無月
第二章「寂しがりやの女神様」
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第六七話「それって、そういうこと?」

 シャラと二人で自室(じしつ)に戻り、()えのパジャマに着替(きが)える。(まど)の外は明るいけれども、今なら眠れる気がする。


「な、なぁ、リーファちゃん」

「うん?」


 寝ようとしたところで声が()かったので振り向くと、何やら緊張(きんちょう)した様子(ようす)のシャラがこっちを向いておずおずと白銀(はくぎん)色の髪を(いじ)っている。どうしたんだろう。


「あ、あんな? お風呂(ふろ)で言ったこと、(おぼ)えとるか?」

「お風呂で……?」


 ど、どのことだろう。あの時は色々と必死だったからなぁ、色々と。


 私が思考(しこう)(めぐ)らせていると、「あーもう!」と言いながらずいっと眼前(がんぜん)に顔を()せてきた。う、顔が近い。


「うちが、リーファちゃんを大好きってことや!」

「あ…………」


 そうだった、シャラがその気持ちを本当か分からないから、私は彼女に掛けられた魔術をいち早く()こうと思ったんだっけ。


「そ、そいでな!」

「は、はい」

「やっぱりこの気持ちは本物やったんや!」



 ………………。


 えーと、これってつまり…………。



「な、なんや、そんなとぼけた顔しよって。うちが一世一代(いっせいちだい)告白(こくはく)してるのに!」

「あ、いや、その、ごめん」

「ごめん!?」

「そ、そうじゃなくって!」


 あ、危ない危ない。迂闊(うかつ)な言葉は死を(まね)くぞリーファ。


 一度呼吸(こきゅう)を落ち着かせてから、私はしっかりとシャラを見据(みす)える。


「……ねぇ、シャラ。今の私は女性なんだよ?」

「か、かまへん!」

「いつか男性に(もど)ろうと思ってるんだよ?」

「それでもええんや! 女性とか男性とか関係ない! うちはリーファちゃんが好きなんや!」


 ……女神様に求愛(きゅうあい)されるなんて思ってもみなかったよ。


 それにしても、なんという()()ぐな想いだろうか。私もこの想いに答えないといけない。


「シャラ、私は――んむっ」


 (くちびる)を唇で塞がれた。


 すぐにシャラの顔は(はな)れたものの、悪戯(いたずら)っぽい笑みを浮かべたその表情に、私の心臓(しんぞう)高鳴(たかな)る。


「すぐに答えて(もら)わんでもええねん。しっかり考えて、それで答えをくれたら、うちは(うれ)しい」


 そう言い残し、シャラは私から背を向けるようにさっさと自分のベッドへ(もぐ)り込んでしまった。


 うぅ、すぐに眠れるような気がしてたけど、これは眠れないかもなぁ……。


 そんな思いを(むね)に、内心嘆息(たんそく)しながら私も自分のベッドに潜り込んだのだった。




 夕方、帰って来たサマエルさんに「全部リビングまで聞こえてたよー」と言われ、私とシャラは羞恥(しゅうち)(くず)れ落ちてしまったのだった。


 そしていつも通りシャムシエルはよだれを()らしていた。なんなんだ一体。


◆ひとこと


短くてスミマセン。

アナスタシア邸は各部屋にドアがついていますが、防音装置などある訳無く。

家族全員に聞こえていたようです。合掌。


--


次回は明日21時半頃に更新予定です!

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