第一八話「なんかとんでもない話になってきた」
本日より1日1話更新となります。
よろしくお願いいたします。
「――あら? お客様かしら?」
サマエルさんにお話を伺い終わったところで、結界に来訪者を感じ取ったらしく母さんが立ち上がった。
「あ、私が出るよ」
「そう? 結構大人数で来てるけど、大丈夫かしら?」
「……大人数?」
「ええ、馬に乗ってるみたい? 駐留している兵の方々かしら」
えぇ? それ。拘束されたりしないよね? あ、いつの間にかサマエルさんの姿が無い。隠れたか。
私が玄関まで向かったタイミングで丁度来訪者を告げるドアベルが鳴らされた。慌ててドアを開けると、そこには――
「騎士、さま……?」
玄関の外には二〇歳くらいの凛々しい男性の騎士様とその部下らしい兵士の皆様。私の姿を見た彼らの中から「おぉっ」とどよめきが上がった。
ええと……これは、いったい?
「おお、話には聞いていたが、なんと可憐な少女か」
かれん?
……私のこと? この騎士様、私のこと可憐って言ったの?
私が状況に頭が追い付かず硬直していると、騎士様とその部下さんたちご一同は私に向かって一斉に片膝をついた。
「お初にお目に掛かります。私はアロイス。アロイス・ハイドリヒ・フォン・リーフェンシュタール。此度、貴女の御力により救われた者の一人です。配下共々、感謝の念に堪えません」
「え、いえ、そんな、大したことではありませんのでお気になさらないでください。あ、申し遅れました。私はリーファと申します」
うわわ、家名を名乗ってるってことは、この方お貴族様でしょ? そんな人に片膝をついてお礼を言われてるってどんな状況!?
「ご謙遜を。あれほどの大規模な神術で村人だけでなく我々をも救って頂いたのです。是が非でもお礼をさせて頂かねば、私の家名に傷がついてしまいます」
え、えぇー。っていうかあれは神術じゃなくって魔術だよう。何か勘違いしてるよこの騎士様……。
「つきましては貴女が王国の聖女として正式に認定されるように取り計らわせて頂きたく、王都までご足労を願いたい。不躾とは思いますが、中で詳しいお話をさせて頂いても宜しいでしょうか」
………………。
え、王国の聖女として……正式に認定? 私を?
なんかとんでもない話になってきたーーーーっ!
◆ひとこと
貴族が平民にかしずいているのをあり得んと思う人もいるかも知れませんが、そのうち理由が分かるかも知れません。
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次回は明日21時半頃に更新予定です!