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僕を聖女と呼ばないで!  作者: 水無月
第三章「悪魔の天使」
100/184

第一〇〇話「明日は一日魔剣が降るでしょう」

100話到達です!

日頃よりお読み頂き感謝申し上げます!


しかし100話目にしてこのタイトルである(笑)

 先日(せんじつ)、うちの家はリフォームを完了し、やっとサマエルさんとシャムシエルの部屋も出来(でき)た。ドワーフの建築士(けんちくし)さんたちが来ている間、私はずっと聖女モードで()ごさなければならなかったので窮屈(きゅうくつ)だったよ。


 アンナも「自分の部屋が()しい!」と言ったので用意はしてあるものの、母さんは「まだ早い」と言って(あた)えておらず、変わらず母さんの部屋で過ごしている。まぁ、まだまだ母さんや私に甘えているのでもう少しの間はこれでいいのだろう。


 さてアザゼルと対峙した翌日(よくじつ)(めずら)しくシャムシエルは「今日は仕事を休む」と言って自分の部屋に引き()もってしまった。あの生真面目(きまじめ)な天使がサボりとか、今日は(やり)どころか魔剣が()ってくるんじゃなかろうか。


「シャムシエルさん、心配ねぇ」

「……そうだねぇ」


 私は母さんの仕事部屋で薬の調合(ちょうごう)手伝(てつだ)いをしながら、ぼんやりと昨日(きのう)一昨日(おととい)のことを考えていた。


 シャムシエルが何やら私たちに言えない事情を(かか)えているのは分かる。そしてそれが、ミスティさんに関することであることも。


 しかし、あのシスターに一体何があるというのだろうか? ちょっと他の人より神に対して敬虔(けいけん)というだけで、普通のシスターに見える。そんな彼女を、シャムシエルは気をつけろと言っていた。


 ……まさか、あのシスターもアザゼルの仲間の悪魔? いやいや、だったらシャムシエルが話せない理由など無い(はず)。それに神に対して敬虔な悪魔とか(わけ)分からん。


「リーファちゃん、(うわ)の空ね。調合の時にそれは危ないわよ」

「……ごめん」


 母さんの言う通りだ。調合では危険もあるのだから、ぼうっとしていたら死ぬ可能性だってある。まぁ今作ってる薬の調合でそんなことは無いけど。


「シャムシエルさんとミスティさんとの間に何があるのか、確かに気になるわよねぇ」

「うん……」


 昨日の巨人の死霊(しりょう)、そしてアザゼルという悪魔の襲来(しゅうらい)については、母さんだけでなく陛下(へいか)にも報告(ほうこく)している。そしてミスティさんのこともだ。陛下からは「ベンカーから兵を向かわせるのでその女をまだ問いたださなくて良い」と聞いている。そういう(すじ)のプロに(まか)せろと言うことなんだろうな。


今頃(いまごろ)は兵士さんたちが事情聴取(ちょうしゅ)してるのかな」

(おそ)らくねぇ。一体全体、どういう事情があるのかしら……と、あら? 結界(けっかい)内にお客様ね。リリちゃんかしら」

「あ、私が出るよ」


 作り方を教わるために手伝いこそしていたけれども、そもそもこの薬は母さん一人でも調合出来るものだ。なので私は手が(はな)せない母さんに()わり、リリが来るであろう玄関(げんかん)の方へと向かった。


「アナスタシアさん!」


 と、私が玄関に向かう前に、私の幼馴染(おさななじみ)であるハーフエルフの少女リリが血相(けっそう)を変えて飛び込んできた。なんだなんだ。


「リ、リリ? どうしたの?」

「リーファくん! 村に来た兵士さんたちが大変なの!」


 え、それってシスターの事情聴取に来た兵の(みな)さん?


「大変って、どう大変なの? 落ち着いて」


 私が(かた)(つか)んでリリを(なだ)めると、彼女は小さく深呼吸(しんこきゅう)し、真剣(しんけん)な表情で私を見つめ返した。その間に一区切(ひとくぎ)りついたのか母さんもやって来る。


「教会に来た兵士さんたちが、突然(とつぜん)(あば)れ出して……、デニス神父(しんぷ)怪我(けが)をしてるの。私は急いでアナスタシアさんに知らせるよう、お母さんに言われて……」


 兵士さんたちが、暴れ出した?


 それは明らかに正気(しょうき)を失っているだろう。小さいとは言えカナン神国(しんこく)がバックに居る教会に対して狼藉(ろうぜき)を働くとか、正気の沙汰(さた)では無いからだ。


「……分かったわ、リリちゃん。だけど今丁度(ちょうど)薬の調合をしていて、手が離せないの。だから――」

「うん、分かってる。リリ、私が行くよ」


 私はすぐに準備を(ととの)えると、リリと一緒(いっしょ)にシュパン村へと出発した。


◆ひとこと


リフォームの間、ドワーフの建築士たちは毎日朝から夕方まで建て替え工事をしていました。

そのためリーファちゃんは聖女モードを続けて気疲れしていたようです。


--


次回は明日21時半頃に更新予定です!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 100話おめでとうございます!! アンナちゃんも元気そうで何より! ……なんだか女性しか(?)居ない家ですなァ!?羨ましい。
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