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第2話ー復讐代行屋ー

かつてイラストレーターを目指して日々落書きを繰り返しす、ごく平凡な青年がいた。

ある日交通事故に巻き込まれ死んだはずだったが気づくと彼は転生していた。

最強の力を手に入れて。

転生した先は、このグランディースと呼ばれるもう一つの世界。

剣と魔法とモンスターの異世界だった。


1年前 彼は、世界征服をたくらむ魔王を倒した。

グランディース中の人々が彼を『勇者』として称えた。

多くの国や王族が要職へ誘ったが彼は一切の申し出を断り、表舞台に立つことなく姿を消した。


そして今、『復讐代行屋』を開業している。

その勇者の名前はリュートと言った。



「ねえ リュート もっと他のものも食べないと栄養が偏るわよ」


「そんなことはないですよ。餃子とお米さえ食べておけば問題ないはずです」


ラインハルト王国の都サンシークの下町にある勇者リュートの自宅の居間。

リュートは朝食の自作の餃子と白米を食卓で食べながら、向かいに座る一人の女性と話している。

女性は金色の長髪、スラリと伸びた手足に白い肌、整った相貌にピンと尖った耳が特徴的なエルフ。

名はフレイヤ。


「ギョーザ?が何なのか知らないけど名前からしてマズそうね」


「な!?餃子は完全食なんですよ?たんぱく質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラル・食物せん…」


「あーもうわかったから早く仕事の話しよーぜ」


フレイヤが食卓の空いているスペースに書類の束をひろげる。

綴りになっているその束にはそれぞれ人物の調査結果がまとめられている。


「で 次の依頼はどれにする?」


「ん~…とりあえず、概要を読み上げていってもらえます?」

4つ目の餃子を自家製のタレにつけながらリュートが言う。


「いいけど取り敢えず依頼が来たものは全部持ってきてるからおかしいのもあるからね。

えーと…トレジャーハンターの仲間割れ。

財宝を独り占めしようとして仲間2人を殺して逃亡 依頼主は生き残った元仲間。『外国に逃げてしまったので国の手配から逃れられてしまってます。復讐してください。ただし殺す前に奪った財宝のありかを聞き出してほしいです。殺された仲間の遺族に分配したいので』

って言ってるけど、こっちの情報では財宝が盗掘によるものだったわね。本当に遺族が居るのかもあやしいわ」


「…うーん」


「はい次ね。

『100人ほどの集団につきまとわれてます。道を歩いているといつも同じ人たちがじっとこちらを監視してきたり、行く先々で待ち伏せしてたりします。わざとぶつかってきて嫌がらせをされたり、私が通りすぎると後ろでクスクス笑われたりします。家にいるときも玄関の扉の前で中にいるかどうか息を殺してうかがってるのが…』」


「あの ごめん。次で…」


「…うん そうね」

フレイヤが次の書類を手に取る。


「奴隷商人への復讐依頼ね」


「ふんふん」

リュートが頷きながら口中の餃子とごはんと大根の漬物をモグモグと咀嚼している。


「奴隷を奴隷ファイトに無理やり出場させて壊れたら、モンスターと戦わせて見世物にしてる商人に復讐してほしいって話ね。」


フレイヤが書類から顔を上げると、リュートがちょうど食事の最後にグラスの水をゴクゴクと飲み干すところだった。


空のグラスを食卓にコンっと置いて

「それにしましょう」

リュートが立ち上がった。


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