表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家族みたいなホームレスたち  作者: びでばき
集結
7/30

第七話 再び彼と出会う


 そして私たち二人は、別のコンビニに着いた。

 先客が3人いる。

 その中で見た事のある顔があった。

 木崎君である。

 彼は私の顔を見るなり

「お前、ここにも来るのか?」

 と言ったので私が

「木崎君こそ、こんなに離れた店に?」

 と問い返す。


 通常ホームレスの行動範囲は人に寄てバラバラではあるが、彼は広い範囲を回っているらしく、1キロ先の範囲しか回らない西本さんやおっちゃんと違って、あの食事した公園から2キロ先のこの店までやって来るのだ。

 おにぎりを何個か袋に入れたおっちゃんが私に問いかける。

「あの人誰?」と。

 私は

「私も昨日、会ったばかりの人で「木崎君」と言う若いホームレスです」

 と言った。

 すると、おっちゃんが

「わしよりひどい格好だ。食事もまともに摂れていないのではないか?」と心配そうに言った。そしておっちゃんが

「わし、若い彼に少し分けてくる」と言って彼のもとへ行った。

 彼が

「お前誰だ?あいつと関係あるのか?」と言ってきたのでおっちゃんが

「そんなことよりパンを食べるか?」と優しく言う。

 普通、「お前」扱いされると怒りだしそうになるのだが、そこは人生経験が豊富なおっちゃんだけの事である。めったなことでは怒らない。人に常に優しく接してるおっちゃんだけの事である。


 彼は最初「何の用だ」と言ってたが、おっちゃんが

「怒るのは腹が減ってるからだろうよ。ほら、パンでも食べたらどうだ?」と優しく進める。

 するとどうだろう。

 あれほど警戒していた彼は、差し出されたパンを無言で食べ始めた。

 よほど警戒心が強いためか、知らない人に対しては威圧的になる。しかし、彼女といい、おっちゃんといい、警戒心を乗り越えた人に対しては優しく接するみたいだった。

 彼は、パンを食べ終わった後、一言

「ごちそうさま。ありがとう」

 と、素直に返事した。

 私は

(意外と素直なところがあるんだな・・・)と彼を見直した。

 ふと見ると、彼とおっちゃんが「意気投合」していた。彼がおっちゃんと「同一行動」をとる・・・と言い出したのだ。私は彼に

「私もついてくるけどいいかな」と問いかける。

 すると彼は無言で頷いた。私は

(まだ私の事を許してくれないんだな・・・と)思ったが、その考えは杞憂に終わる事が今は気づかなかった。

 とりあえず食事の調達も終わり、いつもの公園へ戻ってゆく。

 いつもとの違いは彼がついてくることである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ