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家族みたいなホームレスたち  作者: びでばき
それは、まるで家族のように
10/30

第十話 4人一緒に


 公園に着いた。

 台車が置いてある・・・ということは、彼女がいる証拠だ。

 私たち3人はそこへ近づく。

 台車の横で彼女が寝ていた。

 騒がしくなったのか彼女は

「あー眠い」

と言って起きた。

 そのあと

「騒がしいわね」とつぶやいた。

 一度に3人も近づいたから、彼女は驚きを隠せなかった。

「どうしたの?みんな」と声をかけるのが精一杯の状態だった。

 まず最初に私が

「おはようございます」

 と、軽くあいさつをした。そして

「この人は私の命の恩人のおっちゃんです」

 と紹介した後おっちゃんが

「こんにちは。よろしく」

 とにこやかに話した。

 彼女とおっちゃんは初対面同士だが、すぐに打ち解けたようで、

「私は西本です。わざわざここまで来てくれてありがとう」

 と返事をした。

 普段ホームレスは1日3食も食べている人は少ない。大体1から2食しか食べない人が多い。

 私もおっちゃんもそうだ。

 しかし彼女は食べ物を漁ることに関しては上手で、たくさんの食材を持っているのだ。

 そして彼女は

「たぶん朝飯を食べてないでしょう?」

 といい、台車の中から(コンビニの廃棄された賞味期限切れの)おにぎりを取り出しおっちゃんに勧めよう・・・としたその時、おっちゃんは自分で拾ってきたパンを食べていたのでおにぎりを仕舞い(しまい)、思わず

「パン、おいしそうですね」

 と、おっちゃんの袋から出ている袋を見つめていた。

 一方の私と彼は、おっちゃんと彼女がおいしそうに食べているのを横目で見ながら私が

「お腹すきましたね」

 と彼に言うと彼が同調するように大きく(うなづ)いた。

 それを見ていた彼女が

「ごめんなさい」

 と謝り、しまっていたおにぎりを出してきた。

 私と彼は差し出されたおにぎりを食べる。そして食べ終わったら彼女が追加で出してきたため私が

「いいよいいよ。ありがとう」

 と言った。

 一方の彼は

「くれ」

 と差し出されたおにぎりを鷲掴(わしづか)みしてぱっと取ってさっと食べる。確かに彼は若いので、おにぎり一個だけではお腹が膨らまない。


 こうして4人一緒の生活が始まった。

 彼女は

「まるで家族みたい」

 と喜んだ。

 私もおっちゃんも

「ほんと、家族みたいだ」

 と喜ぶ。

 ところがあまり乗り気ではないのが彼だ。

「俺は基本つるむのが嫌いだ」

 と言ってさらに

「いつでもここに来なくても一人で生活できる」

 と続けた。

 彼女は彼に

「そろそろ強がるのは止めたら」

 と言われるが彼は

「気に入らない人がいる」

 と言って見せた。

 要するに彼は私が嫌いなのだ。

 私は(お前さえいなければ・・・と)彼に思われているのを薄々感じる。

 どうやったら彼に存在を認められているのか、わからないでいた。

 この時のストレスが、のちの私に災いをもたらす・・・とは、この時感じていなかったのである。


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