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Z of the Day  作者: 吹雪
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上坂中央ドーム1

弾を回収し終えて大橋を渡りきり再び上坂中央ドームに向かう為にバイクに乗る。弾は15発手に入ったが、思ったより回収出来なかった。何故なら殆どの警官が持つ銃には弾が残ってなかったからだ。それは間違い無くこの場所で必死に職務を全うしようとしていたのが分かる。

上坂中央ドームに近付くにつれて奴等の数も増え始める。コンビニの窓に貼られてるポスターには、MSSグループのライブが始まる6月11日と場所が上坂中央ドームと書いてある。


「だからこんなに奴等が多いんだな。よくよく見たらMSSのシャツを着てる奴とかグッズ持ってる奴が居るし」


取り敢えずコンビニに入り食料を物色する。他に生き残ってる連中が居るか分からないが、居れば空腹で苦しんでる筈だ。エナジーゼリー、クッキー、水をリュックに入れて行く。前に学生にリュックを奪われたから通勤用のリュックを使ってる。通勤には問題無かったけど、今となったら少し小さいのが難点だ。

粗方詰め終えたら再び上坂中央ドームに向かう。人助けと有名人に会えるかも知れないと言う下らない事を思いながら。


……


上坂中央ドームには大型駐車場がある。其処にバイクを停めてエンジンを切る。周りを見渡せば沢山の奴等が彷徨いている。更に未だに死体を貪ってる奴等もいる始末だ。


「うぷ、勘弁してくれ」


M37エアウェイトを取り出し周囲を見ながら目的地に向かう。しかし近付けば近付くだけ奴等が密集している。俺は日本人ならではの伝家の宝刀を抜く。

それは、左手を真っ直ぐに伸ばし奴等の間に腕を入れる。


「ちょっと失礼しますよっと」


そのまま無理矢理突き進む。但し殆どの奴等が傷を負っているので大量の血が服に付着するのは仕方ない事だった。

入り口に入ればMSSのポスターが沢山貼られてるいるし奴等も沢山居た。その間を奴等を押し退けながらMSSの会場に向かう。そして扉を抜ければ広い空間に出る。以前までは此処でコンサートを行っていた場所。ライトはステージを照らし煌びやかな照明が雰囲気を盛り上げる筈だった。しかし今では生きてる人はおらず、奴等の呻き声しか聞こえない。

俺はステージに向かって歩いて行く。恐らくあのステージから逃げるには裏方の方へ行くしか無い。M37エアウェイトを構えながら先に進んで行く。

裏方の方は真っ暗になっていた。電気のスイッチを押そうとしたがスイッチが壊れていた。恐らく直ぐ近くに機材が倒れていたので、その拍子に壊れたのだろう。暗い通路を見ると地面に一つ明かりが点いてるLEDライトが見えた。それを拾い通路を照らす。

通路は血溜まりや死体でスプラッターな演出を醸し出していた。正直に言うと怖いです。


「畜生。行くしか無いのか。ホラー展開は要らないからな」


LEDライトで先を照らしながらM37エアウェイトを構えて歩く。廊下では俺が歩く度に血溜まりを踏む粘着のある音が鳴る。この廊下で最悪な展開が有ったのは間違い無いだろう。

明かりに照らされた死体の中にステージ衣装を着ている死体が有った。もしやと思い近付く。死体は俯せの状態だったので顔を確認する為肩を動かす。

そして死体の顔を確認しようとして息を飲む。


「ひっ!グロ過ぎる!」


何故なら顔の半分以上が欠損しており判別不可能な状態だったのだ。これじゃあ誰かなんて分かったもんじゃ無い。

結局死体は放置して先に進む。しかし奴等と化したスタッフさん方が此処は関係者以外立ち入り禁止だと言わんばかりに通路を塞いでいる。更にその中に一体妙にデカイ奴が居た。

通路の半分以上を塞いでる位太ってる?いや、身体が膨張してる。然も苦しそうな呻き声を出してる。


(アレだ。刺激すると爆発する奴だ。よくゲームに居る奴だ)


実際は分からないが下手に刺激しない方が良いだろう。だが奴からは強烈な悪臭が出ており鼻が死にそうになる。

流石に奴の横を通りたいとは思わない。だからM37エアウェイトを構えて奴…ファットマンと名付ける事にする。そして、しっかりとファットマンの頭部に狙いを付ける。


「そんな苦しそうな声を出すくらいならダイエットしないとダメだぞ?」


しっかりと狙いを付けてから引き金を引く。思ったより軽い銃声が鳴ったのと同時に銃口からマズルフラッシュが出る。次の瞬間、ファットマンの頭部に血の花が咲く。ファットマンは少しよろけるが此方に顔を向ける。もう一度狙い再び引き金を引く。そしてファットマンは苦しそうな呻き声を出しながら仰向けに倒れて動かなくなる。


「意外と簡単に撃てるもんだ。それにファットマンも爆発しなくて良かったわ」


動かなくなったファットマンを乗り越えて、銃声によって引き寄せられた奴等を避けながら先に進む。



ファットマンの指が僅かに動いた事に気付か無いままで。

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