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Z of the Day  作者: 吹雪
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特別な存在?

玄関を開けて左右を確認する。何方も誰も居ない。唯隣のドアが半開きになってるのが少々気になる所だ。だが今の目標は食料調達だ。他の事に気を配る余裕なんて無い。

俺は静かな足取りで階段に向かう。途中外の景色を見ると黒煙が所々出ていた。更に下を見渡せば車が塀に突っ込んでいた。

三階建てのマンションの三階から足音を立てない様にゆっくりと降りて行く。途中誰かの手荷物のバックが落ちていた。但し中身が散乱してる状態だ。急いで逃げ出したと言う有様だった。

一階まで降りて再び周りを見渡す。とても静かなもので誰かが居る気配は無い。けど間違いなく誰かは息を潜めて居るはずだ。逃げ遅れた人は何処にでも居るだろうし。


「先ずは一番近いコンビニだな。其処で食料を手に入れれば良いだけだ」


無茶な冒険をする必要は無い。俺はフライパンを握り締めて歩き出す。

街は意外にも静かな物だ。だが時々風が吹けば葉っぱが揺れて音を出すしビニール袋が宙を舞う。更に誰かの怒号と悲鳴らしき声も聞こえる。しかし奴等は一体も見えずスムーズにコンビニに辿り着けた。

コンビニは荒らされた形跡はあるもののガラスとかは割れてない状態だ。俺はそのまま自動ドアから中に入っていく。


「最初に食料で次にタバコと酒だ。水は水道がまだ出てるから大丈夫だし」


尤も、水も電気もいつ迄保つか分からない状況だが。

取り敢えず質より量を考えてカップ麺や缶詰をリュックの中に入れて行く。そしてタバコと酒は買い物籠の中に入れていく。これは必要な物だからな。

丁度集め終わった頃だろうか。誰かが走って来る足音と同時にコンビニの自動ドアが開く。振り返って見ると近隣の学生が数名来ていた。


「お前ら急いで集めるぞ!奴等は直ぐ其処迄来てるしな!」


「伊澤。お前が音を立てなければバレなかったんだぞ。気を付けろ」


「五月蝿え!文句言う暇があるならとっとと集めろよ!ボケ!」


学生達は此方を一瞥するも直ぐに自分達の鞄やリュックに食料を詰めて行く。俺はその横を通って帰る事にする。

しかし自動ドアからでて左右を確認した時だった。奴等がやって来ていた。まだ距離は有るが間違い無く此方に向かっていた。


「マジかよ。結構足速いじゃん!」


俺は脇目も振り返る事も無く走り出す。幸いタオルのお陰か足音は全然響く事は無い。だが走り出した直後だった。


「うらあッ!!!」


伊澤と呼ばれた学生の声と共にヘルメットに強い衝撃を受ける。俺は耐えれる訳も無く地面に倒れる。どうやらバットで殴られたのだ。


「伊澤!何やってるんだよ!」


「此奴の集めた奴を回収した方が早いからな。それに…囮役は必要だろ?」


伊澤は俺のリュックと買い物籠を持ち立ち去る。


「す、すみません。本当にすみません」


「ごめんなさい。ごめんなさい」


他の学生達も謝りながら伊澤に続く様に走り出す。そして奴等の足音が徐々に聞こえて来る。


「あ、アカン。逃げなきゃ…」


フラフラする頭を抑えながら立ち上がろうとする。だが上手く立てず再び転倒してしまう。


「ぐあゔゔゔゔゔ」


「ぐゔゔゔゔゔゔ」


元は人間だろうが普段なら絶対に出す事の無い呻き声を出しながら徐々に迫って来る。早く逃げようとするが未だに上手く立てない。


奴等の影が俺を覆う。


「ぐがああああ!!!」


(畜生…此処までか)


俺は恐怖で身体が動かなくなり目を強く閉じる。

そして…


ドガバジドガドガゲジゲジ

(痛い痛い痛い!踏むな踏むなー!あー!?)


奴等は遠慮のカケラも無く、これでもかと俺を踏み付けながら学生達を追い掛けて行く。


「……痛い」


奴等が通った後には足跡を大量に付けた俺だけだった。


……


「いってぇ。奴等め、これでもかと俺を踏み付けて行きやがって」


痛む身体をさすりながら立ち上がる。正直奴等が迫って来た時は走馬灯が見えた気がした。だが俺は生きてる。そう生きてるんだ。


「ふ、ふふふ。何だかなぁ。散々な目に遭ってるのになぁ。笑けてくるぜ」


取り敢えず再びコンビニに向かい食料を手に入れる。今度は奴等だけで無く人間相手にも気を付ける様に。

そして買い物籠に食料、酒、タバコを入れて帰路に着く。幸いにもあの学生達が大き目の音を立ててたからか、奴等は学生達を追い掛けて行った様だ。


「自業自得だな。まあ、一発殴った伊澤だったかな?今度会ったら借りを返して貰うけどな」


唯、借りを返して貰う前に武器を整えないとな。流石にバットに対してフライパンだと無理だな。

俺は自宅のマンションに着き急いで中に入り鍵を閉める。其処で漸く一息つける事が出来た。


「早速生存報告しとくか。後は人間にも注意喚起しとこ。俺の二の舞は勘弁して欲しいしな」


俺はパソコンの電源を入れながら、ふと疑問が一つ湧き出て来た。それは奴等が此方に迫って来た時だ。あの時、何故俺は襲われなかったのか?何故喰われる事無く踏まれただけだったのか?


「分からんな。取り敢えずスレで聞いとくか」


俺は取って来た酒と缶詰を取り出しながらパソコンの前に座るのだった。



54:サバイバリスト名無しさん

スレ主無事かな〜?やっぱりフライパン装備は厳しそうだったし。


55:サバイバリスト名無しさん

そうだよな。流石にフライパンは無いわな。けど他に武器無かったし。


56:サバイバリストスレ主

諸君。待たせたな。


57:サバイバリスト名無しさん

キターーー!!!


58:サバイバリスト名無しさん

お帰りーーー!!!


59:サバイバリスト名無しさん

よく帰って来たな!それで戦果はどうだった?


60:サバイバリスト名無しさん

おおおお!!!おーかーえーりー!!!


61:サバイバリスト名無しさん

スレ主!フライパンは役にたったか?


62:サバイバリストスレ主

>>61

一回も使いませんでした!


63:サバイバリスト名無しさん

>>62

やっぱりかー。でも無事で何よりだぜ。


64:サバイバリスト名無しさん

それで戦果はどんなもんよ?


65:サバイバリストスレ主

先ずは食料は手に入れれた。酒とタバコもゲットだぜ。


66:サバイバリスト名無しさん

裏山〜。それで奴等はどうなのさ?


67:サバイバリストスレ主

最初は奴等は居なかった。他の生存者を追い掛けてたんだ。だけど敵は奴等だけじゃ無い。


68:サバイバリスト名無しさん

まさか他の生存者とか?


69:サバイバリストスレ主

>>68

正解。俺は学生達にバットで頭を殴られて食料の入ったリュックを奪われたよ。然も奴等も直ぐ其処に来ていた状況でな。


70:サバイバリスト名無しさん

うわぁ…。よく生きてたなスレ主。


71:サバイバリスト名無しさん

悪運が良いのか。頭は大丈夫かよ?


72:サバイバリストスレ主

ヘルメットが無ければ即死だった(キメ顔)


73:サバイバリスト名無しさん

やっぱり天パーは最強やねって。これ一番言われてるから。


74:サバイバリスト名無しさん

そんな状況よく生きてたな。悪運が良かったで済むか?


75:サバイバリストスレ主

それがよく分かんないんだよな。俺は学生に頭をぶっ叩かれて意識が朦朧としたんだよ。そんな中で奴等は迫って来た訳よ。


76:サバイバリスト名無しさん

おいおい。身動き取れない状態じゃん。何で生きてんの?


77:サバイバリストスレ主

そして倒れてる俺の上に奴等が……通り過ぎた。


78:サバイバリスト名無しさん

通り過ぎたんかい!何でその状況で襲われんかったんだよ!


79:サバイバリスト名無しさん

何故その状況で生きてるし。スレ主は何者なんだよ。


80:サバイバリストスレ主

奴等は遠慮なく人様の上を歩いて行ったがな。めっちゃ痛かったし。奴等は俺の事なんて眼中に無く学生達を追い掛けてったよ。

俺の事を囮役に任命した奴に不幸あれ。


81:サバイバリスト名無しさん

なんか腑に落ちないオチだな。普通はその時点でデッドエンドだろ。


82:サバイバリスト名無しさん

確かに。他の動画とか見てると普通に奴等は襲って来る。スレ主と彼等の違いは何だ?


83:サバイバリストスレ主

此処の装備を参考にしてる位だな。俺も後で他の動画とか見とこ。


84:サバイバリスト名無しさん

スレ主は何か心当たりはあるか?奴等から襲われなかった理由。


85:サバイバリストスレ主

うーむ…特に無いな。強いて言うなら三日前に死に掛けた位か?


86:サバイバリスト名無しさん

三日前。つまりこの状況になる前日か当日くらいになるのか。


87:サバイバリスト名無しさん

事故とかにあったのか?だとしたら病院に居る筈。尤も現状で病院がトップレベルで危険な場所だがな。


88:サバイバリスト名無しさん

人を救う場所が人を殺す場所になるとはね。皮肉にしても笑えんな。


89:サバイバリストスレ主

その日はちょっと体調が悪くてな。唯、次の日が土曜日だったから我慢したんだよ。そうして家に帰宅したら一気にヤバくなってな。結果玄関で倒れたんだ。

いやー、あの時はマジで死んだと思ったよ。


90:サバイバリスト名無しさん

それさ…もしかして奴等になる一歩手前だったんじゃね?


91:サバイバリストスレ主

>>90

こえー事言うなよ。俺は人間だぞ!ちゃんと心臓は動いとる!


92:サバイバリスト名無しさん

仮に奴等になる何らかのウイルスに打ち勝ったと仮定しよう。そうすればスレ主の身体には抗体が出来てる筈だ。


93:サバイバリストスレ主

なら然るべき場所に血を提供した方が良いかな?でも人体実験にされるのは勘弁だぜ?


94:サバイバリスト名無しさん

なら血だけでも渡すべきだな。それだけでも全然違うだろうよ。

俺もスレ主が人柱になる必要は無いと思うし。


95:サバイバリスト名無しさん

でも抗体を作る場所なんて何処に有るんだよ。スレ主が血を提供してくれる意思が有るのに肝心の場所が無いんじゃ意味無いじゃん。


96:サバイバリスト名無しさん

大丈夫。たった今まとめに出しといたぜ(`・ω・´)b


97:サバイバリスト名無しさん

>>96

良くやった!後は連絡待ちだな。


98:サバイバリストスレ主

しかし俺もこれで救世主になるんかな。もし救世主になったら綺麗なねーちゃんを左右に侍らしてウヘヘな展開を期待しても良いかな!!!


99:サバイバリスト名無しさん

>>98

何なら私が乗ってあげる。因みに現役JCです。


100:サバイバリストスレ主

>>99

気持ちだけ受け取っとくよ。俺はまだ犯罪者…いや、もう窃盗してるからアウトだわ。

よし!バッチコイ!


101:サバイバリスト名無しさん

>>100

一人で納得して受け入れんなwww

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