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Z of the Day  作者: 吹雪
24/38

相沢銃砲店1

誤字報告ありがとうございます(^^)

バイクを運転しながら奴等の合間を縫って走って行く。最近スピードを緩める事無く奴等を避けて走るのが上手くなってる気がする。


「何か一服したい気分だな。でも煙草全部上げちゃったからな」


今の手持ちは軽くなった大きめのリュック、M37エアウェイト、多数の弾薬、後は警棒とLEDライトくらいだろう。適当に周りを見渡すと煙草自販機とダイドゥ自販機 を発見。そのまま自販機に近付きバイクを止める。

お金を入れて煙草と缶コーヒーを買う。そのまま一服する。


「ふわぁ〜。この組み合わせは最高だな。食後の一服もええけどなぁ〜」


別にヘビースモーカーと言う訳ではない。多少イラついたり何となくの時に嗜む程度だ。煙草を吹かしていると一体の奴等がやってくる。バイクの音に引き寄せられたか、もしくは煙草の匂いにつられたか。まあ、どっちでも良いか。


「何だ?お前さんも一服したいのか?仕方ねえなぁ」


そう言って咥えていた煙草を奴等の鼻に差し込む。そしてよく見ると煙草の火が付いてる部分が赤くなるではないか。どうやら奴等も呼吸はするのだろう。


「何だ?まだ吸い足りないってか?仕方ねえなぁ」


もう一本の煙草を鼻に差し込む。うん、よく似合ってるじゃ無いか。


「はぁ〜、一服する相手がお前とはなぁ。気が利かない奴だよ。本当に」


鼻の穴に煙草を挿してる奴等を小突く。よく見たら口からも煙草の煙をモクモクと出してるではないか。


「お前さんくらいなもんだぜ?奴等になっても煙草吸える奴はさ」


尤も口からでは無く鼻からだけど。暫く煙草を吹かしてると誰かが建物の角からやって来た。40後半くらいの中年男性だが、何とポンプアクション式のショットガンらしき物を持っていた。エアガンの可能性は非常に高いけど。

しかし男性と目が合う。俺は愛想良く手を軽く振る。すると相手も少し躊躇した様子を出しながらも手を振り返す。だがそんな俺達を無視して鼻の両穴に煙草を挿してる奴等が男性に向けて動き出す。俺は深く息を吸い警棒を抜き放つ。


「俺と一服するのが不服ってか?煙草より人肉ってか?この野郎!」


そして後頭部に向けて振り被る。後頭部が凹みそのまま倒れる。序でに煙草二本が道路に転がり落ちる。


「全く、失礼な奴だよ」


まあ、煙草を鼻に差し込む俺の方が失礼な奴だけどな。因みにショットガン持ちの男性は此方に銃口を向けていた。


「あー、エアガンを向けられても困るんですが。やめて貰っても良いですか?」


「食べ物を寄越せ。そうすれば見逃す」


「食べ物ねぇ?無いんですが」


俺はリュックの中身を見せる。すると男性は舌打ちして使えない奴めとボヤく。


「まあ、何でも良いや。それより一本吸う?」


俺は煙草を一本取り出す。男性は少し迷いながらも首を横に振る。


「匂いで連中が襲って来る。それよりアンタは何で落ち着いて煙草吸ってんだよ。然も…」


奴等の死体を見て言葉を止めてしまう。それはそうだろう。何せ奴等と一緒に煙草を吸ってたからな。


「気にすんなよ。気にしたら禿げるぜ?じゃあ、俺はそろそろ行くわ」


煙草を捨てて足で揉み消す。今やポイ捨てしても誰も気に留めはしない。本当に嫌な世界になったもんだよ。

しかし男性と話してる途中も奴等は徐々にやって来る。それに気付いたのか男性はショットガンの銃口を奴等に向ける。


「なあ、そんなエアガンで奴等は倒せな「ドオォン!!」い…えぇ、モノホンなの?」


M37エアウェイトよりも大きく力強い銃声が鳴るのと同時に奴等の胸元から上が吹き飛ぶ。更に続けて撃ち吹き飛ばす。


「おい!死にたくなければ移動するぞ!着いて来い!」


「いや、俺は別に」


「良いから黙って着いて来い!死にたいのか!」


そんな事言ってる間に足元に這ってる奴等が男性の足に掴み掛かろうとする。俺はM37エアウェイトで足元に居る奴等の頭を撃ち抜く。


「分かったから周りに気を配れよ。ほら行くよ」


このままこの人を無視したら喰い殺される未来しか見えない気がするので着いて行く事にする。

すると案の定と言うか色々と危ない目に合うでは無いか。例えばだ。


「この裏路地なら行ける筈だ。ほら着いて来い!」


「いや、どう見ても血塗れですやん。めっちゃアウトルートですやん」


そして案の定窓から腕が飛び出し男性に襲い掛かる。俺は悲鳴を上げる男性を押し倒してM37エアウェイトの銃口を奴等に向けて撃つ。


「この道は駄目だ!他の道から行くぞ!」


「畜生。待っててくれよ朱美、純子。必ず戻るからな!」


「そうやってフラグを建てようとすんな!」


更にこんな事も。


「うわあぁぁああ!?た、助けてくれええぇ!?」


車の下から突如腕が飛び出し男性の足に掴み掛かり、そのまま引き摺り込もうとする。そして掴まれた拍子に男性はショットガンを落としてしまう。


「もう!何でショットガン落とすかな!かな!」


俺は警棒を取り出し奴等の腕を叩き折る。男性は慌てた様子でショットガンを拾い車の下に向けて銃口を向ける。


「撃つなって。奴等が音で寄って来る。ほら一本咥えとけ」


「あ、あぁ…助かる。えっと…火は?」


「匂いでバレちゃうんでしょう?家まで我慢しなさい」


更に更に道中では。


「私はね、妻とまだ2歳にならない子供が居るんだ。だから此処で死ぬ訳には行かないんだ」


「だーかーらーさー!フラグ建てんなって言ってんだろ!ワザとか?ワザとなのかコノヤロー」


そして何やかんやあって漸く無事に目的地に到着した。だがその場所が意外と言うべきか、それとも当然と言うべきか少々迷う所でもあるが。何故なら其処はお店なのだが看板には相沢銃砲店と描かれてるのだ。


「本当は赤の他人を迎え入れるのは嫌なんだけどな。だが此処まで来るまでお互い助け合った仲だ。変な事をするんじゃ無いぞ」


「いやいや、助けまくったの俺だから。アンタ全然役に立って無かったから。唯無駄にフラグ建てまくってただけじゃん」


俺の言葉を無視してシャッターの鍵を開ける。そして中に入って行く。俺は入るか迷っていると再び顔を出して手招きしてくる男性。何だかなぁと思いつつ店の中に入って行く。

店の中は流石銃砲店なだけあって様々なショットガンがショーケースの中に飾られていた。2連装式、ポンプアクション式、ボルトアクション式など様々だ。


「おーい、今帰ったよ。序でに道中で助けた人も居るけど」


「もう何でも良いや。取り敢えずは一息吐けるかな?」


再び煙草を咥えて火を付けようとする。すると足音が聞こえたのと同時に襖が開かれる。

其処には今時のギャルと言っても過言では無い少女が赤ん坊を抱えていた。そしてそのまま涙目になると男性に抱きつくでは無いか。


「もう!すっごく心配したんだから!もしあっくんが死んだら私とこの子はどうすんのよぉ」


「大丈夫だよ。僕は傷一つ付いてないから。ほら〜純子〜パパですよ〜」


「きゃっきゃっ」


余りにも信じられない光景を目にして咥えてた煙草を落としてしまう。いやね、それくらい衝撃的なのよ。実際にこんな現場にかち合うとは思わなかったし。


「あれ?この人は?」


「あぁ、たった今連中に襲われ掛けてたから助けたんだ。本当は此処には連れて来たくは無かったんだけど」


「とか言っちゃって〜。本当はあっくんが優しいのは私が一番良く知ってるんだからね」


「いや〜参ったね。朱美にはバレバレだな〜」


「うふふ、もうあっくんたら〜」


何やらイチャイチャした空気を出し始める二人。だが俺は気になる事があるので声を掛ける。


「あの、お二人は、その…夫婦なんですか?」


「勿論!あ、この子は純子よ。私達の愛の結晶よ」


先程まで笑ってた赤ん坊は今や寝息を立てて眠ってる。因みにもう一つ気になる事が出来たので質問する。


「失礼ですが、奥さんはお幾つで?」


「私?17よ。あ、でも今年で18になるかな?」


17歳…。俺は男性の方に視線を向ける。男性は視線から逃げる様に視線をウロウロさせながら口にする。


「僕は…さ、いや…にじゅう、きゅう……かな?」


「あっくんめっちゃサバ読み過ぎて超ウケる〜。本当は49歳なんだよ?あ、今年で50歳になるんだっけ?」


30歳以上の差。この男性、死亡フラグだけでなく恋愛フラグまで建たせてたのか。然もこんな年下の女性と。


「この犯罪者め!ご両親への挨拶の時が一番苦しかっただろうに!」


「うぐっ!い、嫌な事を思い出させないでくれよ。あの針の筵状態と言ったらもう…」


多少ゴタついたが、結局俺はこの銃砲店で一息する事にしたのだった。

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