運命の日
西暦2022年5月10日。
新生活が始まり慣れ始める頃だろうか。俺こと織原 慧は新社会人となり、初めての一人暮らしと社会人生活を順調に進んでいた。だが、どうやら俺の新生活は上手く行かないらしい。何故なら途轍も無い全身の怠さ、痛み、更に頭痛に見舞われた。
「や、ヤバイ。冗談…抜きでヤバイ」
今日の昼辺りから体調不良が続いていた。だが次の日にシフトでは休みに入る為、その時に病院に行こうと思っていた。だが会社から自宅のマンションに帰宅するも体調が更に悪化。俺は自分のスマホに手を伸ばし、震える手で救急車を呼ぼうとするもスマホを落としてしまう。そのまま身体から力が抜けて玄関で倒れてしまう。
(一体、俺に何が起こってるんだ?もう…意識が…)
人生初の意識が朦朧する中、死ぬ恐怖心や会社に連絡する事が頭を過ぎる。しかし意識はこれ以上保つ事は無く暗転するのだった。
この日世界は大きく変わるとは誰も想像して居なかった。理不尽な程それは起こった。全ての人類が平等に生死を掛けた状況に陥るのだった。
「現在、一部の地域で暴動が発生しております。付近の住民は安全が確認されるまで外出は控えて下さい」
「ご覧下さい!暴動者が警官に掴みかかってます!ああ!警官から血が出てます!」
「多数の怪我人が病院に運び込まれてます!又この暴動は世界規模で起こっているとの情報が多数出ています。一体何故この様な暴動が起きているのか分からない状況です!」
「発砲です!警官が暴動者に対し発砲してます!これは大変な事に!え?何ですッ!?きゃあああ!!」
「えー、一部放送に適さない映像が映りました。大変申し訳ありません」
「此方航空機が墜落した現場です!辺りは火の海になり被害が収まる気配は有りません!」
「政府は感染症被害者の対応に関して、未だに結論を出せてない模様です。現在も自衛隊の展開に関しても与野党で議論は白熱しており」
「世界各地で暴動が発生しています。アメリカの主な都市では軍隊が出動。ヨーロッパ各地でも多数の暴動が発生。更に中東では、この暴動に乗じて紛争が激化する等悪化の一途を辿っています」
「まるで悪夢を見てるかの様な光景です。一体何故この様な…あぁ、神よ」
西暦2022年5月10日。この日を境に世界は大きく変わる事を余儀無くされた。
誰と共に生きるか誰を切り捨てるのか。
武器を持ち戦うか誰かの影に隠れて逃げ惑うか。
過去の時代を取り戻そうとするか。それとも新しい時代に適応するか。
唯一つだけ言える事がある。
平和な時代は終わりを迎えたのだと言う事だ。