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竜の里 27

「待たせたようだな」


地竜王の体力が全快するのとほぼ同時に、その周囲を覆っていたバリアが解けた(時間切れで解けたのか己の意思で解いたのかは優斗に判断には判断つかなかった)。


「構わないさ。こっちも時間があったから自然回復とポーションの使用によりだいぶ回復できたからな」

「全くここまで長期戦なるとは……。やはりお主の仲間たちを連れてこなかった我の判断は間違っていなかったと言うことだな。

お主ほどではないとはいえ我と戦えるだけの使い手が何人も敵に回られていたら、さすがの我でもかなり厳しかったであろうな」


地竜王と優斗はお互いにどちらが仕掛けるか牽制し合っている。ここまで戦えば両方とも相手の実力や手の内がある程度分かってきているので、それをもとにして警戒しながら機を伺っていた。


「(発動に時間のかかる神級魔法は使わないほうがいい。だからと言って超級以下の魔法だと与えられるダメージに限界がある。また内部からダメージを与えられれば最高なんだが……)」


優斗は地竜王から目を離さないようにしながら己の打つべき手を考える。魔神化したことで魔法の威力向上や消費MPの減少などの効果も発動してはいるが、それでも超級以下の魔法で効果的なダメージを与えるにはしっかり考えて使う必要がある。

地竜王の体力と防御力は優斗を大幅に上回っている。しかも地竜王には先ほどのバリアのような防御手段や転移魔法による回避手段、そして魔法やスキルによる回復手段まで有している。そのため優斗は魔力を節約しつつも、効果的に魔法を使いダメージを与えていかねばならなかった。


「〈怪物召喚サモンモンスター〉」


優斗は召喚魔法を使い鳥型のモンスターを三体生み出す。モンスターたちは優斗の命令にを受け、それに従って飛び回っている。


「そんなちんけな陽動作戦など意味はなさん〈石の弾丸ストーンバレット


地竜王は優斗がモンスターを召喚し指示を与えている時間を利用して優斗との距離を詰める。また距離を詰めながらも魔法を放つことで優斗への牽制と、それと同時に召喚されたモンスターへの攻撃も行っていた。


「面倒な」


優斗はその攻撃を防ぎモンスターたちも攻撃をかわすことに成功はしたが、目的の一つである牽制に関しては成功したと言っても過言ではなかった。


「我と一緒に地面に落ちてもらおうか。〈高重力ハイグラビティ〉」


地竜王の重力魔法により、優斗の体は本人の意思に反してものすごい勢いで下がっていく。普通ならなすすべなく落ちていき大ダメージを負うところだが、たくさんの魔法を修めている優斗は対抗策も持ち合わせていた。


「〈無重力ゼログラビティ〉」


対象を無重力状態にさせられる魔法を自分にかければ、地竜王にかけられた重力魔法と相殺して結果的に普通の重力状態となり、そうなれば魔神化した時に獲得した翼で再び飛ぶことができる。


「ぬう、重力魔法も修めていたか。ずいぶん多種多様な魔法を操るものだな」

「そりゃそうだ。そっちには肉体能力で大きく劣っているからな。その分スキルや魔法で挽回しないと全く勝ち目がなくなるだろ」

「それで我に張り合えることがすごいと言うに。我は現在竜王であるが、そもそも生まれからしてドラゴンであるからな。同族以外で我に張り合えるものなど幼き頃から少なかったし、ましてや竜王になってからは相手になるのが同じ竜王か格上のドラゴンたちだけであったからな。まさか同族以外でここまで強い者がいるとは。

最初に名乗ったように我の名はアースだ。一対一で戦うのだから多少苦戦はしたとしても、結局はそう苦労せずに勝てるだろうと思っていたから名前は聞かなんだが、ここまでやれたのだ。種族と名前くらいは聞かせてもらっても構わないか?」

「俺か?野村優斗、この世界風に言うならユウト・ノムラと言ったほうがいいかな?種族は魔人族だ」


優斗が自己紹介するとアースは少し驚いた顔をする。


「魔人族!?なるほど、魔人族はここまで強くなるのだな」

「それはどうだろうか?俺より強い魔人族はまだ見たことがないからな」

「突然変異と言うやつか。それなら我と張り合えるのも納得できる」

「ああ。しかしいいのか?あんたは肝心なことを忘れているように思えるが」

「なんだと……」


アースが忘れているのは優斗が召喚した鳥形モンスターたちだ。彼らはアースの攻撃をよけた後に飛び去って行っており、たいしたことないと高をくくっていたアースはその存在を失念していたのだ。


「奴らには特別な仕掛けがしてある。と言っても芸がないから一度見せたのとほとんど同じ手だがな」


優斗はそう言いながらアースから離れていく。アースがそれを追うために前進しようとしたがその目の前に先ほど召喚されたモンスターの一匹が現れ、煩わしいから爪で排除しようとするとその体が一気に爆発した。


「これはまさか……」

「そう。そいつらにはさっきお前の体にも仕込むことができた『魔封じの球』を飲み込ませてある。ベストはお前が排除するために噛み千切ろうとして、そいつらが逆にお前に近づいていき口の中に入ってまた内部で爆発することだったが、そううまくはいかなかったみたいだな」

「だとすると」

「思いのほか勘が鋭いじゃないか。まあ……今更気づいてももう遅いがな」


すでに残り二匹がアースの体の近くまで来ており、アースが排除する間もなく爆発してダメージを負わせた。


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