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ルクセンブルクの独立23

「お前たちは……本当に冒険者なのか?」

「当の本人が言ってんだ。ならそれで間違いねえだろ」

「だが冒険者の規則上、このような行動は絶対に許されていないはずだ!こんな行動をとれば、冒険者ギルドも黙ってないぞ!!」


  徴兵が免除されたように冒険者が一般の民衆と違う扱いを受けることはよくあるのだが、それでもまず基本として、冒険者としてではなく人としてその地の法律を守る必要がある。


  今彼らが行っている行為は間違いなく法律違反であり、一般人とか冒険者だとか言う前にシンプルに犯罪者となっているのは間違いない。


  だがそれだけでなく、冒険者には絶対に侵してはならないと言われていることがある。それは正当防衛以外の手段による殺害と、その地の領主に対し明確に牙をむくことだ。と言うのも、冒険者とは国家に属さない武力集団である。

  領主としてはモンスターの討伐や戦争への協力などで利用価値のある存在ではあるが、それと同時に冒険者は自分のコントロールできない武力でもあるのだ。


  例えば各地で冒険者が暗殺を行っていたり民衆によるクーデターの援助をしているとなると、そんなことをする冒険者を街に入れるのは危険と言うことになり、その結果冒険者が敬遠されて自分たちの地位低下を招く。


  ギルドとしては当然冒険者の地位が向上するよう働きかけているので、自分たちのところに所属している冒険者たちにそんなことをされれば、ギルドや他の冒険者が受けるダメージは大きい。


  そのためギルドはそう言った行為はひどく嫌っており、もしそれらを破れば冒険者に厳重な処罰が行われることになっている。捕まれば確実にその国の法律で裁かれるであろう暗殺とは違い、国でのクーデターなどは成功してしまえば国から罪に問われることはない。

  そのためそういったクーデターにかかわった者にはギルドからの除名処分、他にも多額の罰金などといった、ギルドによる厳しい処分がなされていた。


「ギルドから許可は受けている。だからこそ我々がここにいるんだ!」

「は?ギルドから許可だと……、それは何かの冗談か?」


  冒険者ギルドが許可している。この言葉には門番たちも仰天した。もし冒険者ギルドが本当に許可を出したのだとすると……、


「さすがに抑えきれねか」

「そっすね。俺たちは所詮どんなに良く見繕っても、赤級冒険者の評価が限界でしょうしね。

  それにこれだけ人数差、どうやっても対処できるキャパを超えてますよ」

「だけどこれが仕事だからなぁー。俺たちはルクセンブルク家に恩もあるし、戦力差があるからと言ってタダで通すことはできねえよな」


  門番たちは覚悟を決め……ようとするが、集団の中にいる緑級冒険者の存在も確認して心が折れた。


「はぁ~、なるべく痛いようにしないでくれよ」

「わかった。自由だと言われている俺たち冒険者も、気持ち的に乗り切れない仕事を断れないこともあるからな。せめてもの情けだ。なるべく痛くないように終わらせてやるよ」


  門番たちが突進する。冒険者たちはそれを冷静にいなし、常人からしたら強力すぎる一撃を叩き込んだ。


「やっぱ無理……だよな。さすが冒険者、俺たち門番とは、これまでに潜ってきた修羅場が違うな」

「お前たちも悪くなかったぞ。俺たち冒険者がいなけりゃ一般人だけだから、この門を突破するのもかなり手こずっただろうぜ。

  領主さんに会ったら、お前たちも頑張っていたと伝えておくぜ」


  冒険者たちは動けなくなった門番たちが住民たちに踏まれないよう隅に片づけると、合図を出しまた住民たちを前にして、ルクセンブルク邸に入っていく。


  彼らはあくまで住民たちのサポート役と言う立場であり、冒険者が先頭に立つことはしないとあらかじめ明言されていたので、冒険者たちはまた集団に溶け込んでいった。


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