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素材

「今日は何をするんですか?」


  今日も実験組はダンジョンコアを使っての実験を行う。


「今日するのは鉄鉱石や食料などの、いわばモンスター以外を出すことだな。

  俺たちは今インフィニティ時代に集めた鉄鉱石などを持っているが、当然その量には限りがある。ミアが作ってくれる武器やエリアスが作ってくれるアイテムは非常に質が高いが、それらは当然材料がなければ作ることはできない。二人に頑張ってもらうなら、DPで素材を出せるれに越したことはないからな」


  優斗たちはインフィニティ時代に集めた素材や武器、そしてアイテムを持っているが、今の優斗たちはこの世界でそれらを新たに入手する目途はまだ立っていない。

  そのためこの世界に来てからは、二人ともまだ持っている材料を使って鍛冶や錬金をしていないのだ。もしダンジョンコアからそれらの材料を入手できれば、生産職であるミアとエリアスの力を存分に生かせるのである。


「ミアも頑張るです!それを使っていい武器をたくさん作ってみせるのです!」

「僕もいろいろやってみたいね。特にダンジョンコアからインフィニティ時代にはなかった素材がたくさん出てくれると、もっとやる気が出そうだよ!」

「あたちもぶきほちー」


  三人が期待を寄せる中、優斗はダンジョンのカタログを見てみる。それを見ると確かにいくつかの金属があったが、残念ながら優斗が見たことがないような珍しい金属はなかった。

  アコの話ではダンジョンが成長すればそれに比例してダンジョンコアも成長するので、ダンジョンを成長させればダンジョンコアから召喚できるものの幅は広がるだろうと言うことであった。

  この世界特有の未知の金属、もしくはインフィニティ時代にもあったレア金属をダンジョンコアから手に入れたいのなら、今のところはこのダンジョンを成長させていくことしか手段がないようである。


「出ている金属は銅に鉄、それに銀と金か。ミスリルとかみたいな特殊金属はないようだな」


  優斗は召喚可能な金属の一覧を見て落ち込んだ。


  この世界ではわからないが、インフィニティの世界ではミスリルやオリハルコンなどといった金などよりもよっぽど高価な金属はたくさんあった。

  インフィニティでは神の金属ともいわれるヒヒロイカネが最高の金属であり、優斗たちの所持している武器の中でもヒヒロイカネを使った武器というのは非常に少ない。優斗としてもさすがにヒヒロイカネが出るとは思わなかったが、それでもぜいたくを言えば魔法金属(加工する前から魔法のかかっている金属)の中でも一番レア度が低いとされる、ミスリルくらいは出てほしかったと言うのが本音である。


「今出せる最高の金属は金ですか……それだとあまりいい武器を作れそうにないです」


  優斗たちのレベルになると、武器を作るときは最低でもミスリル以上の金属を使う。金や鉄で作った武器にも魔法を付与することができるのだが、魔法金属でない金属に付与できる魔法などたかが知れている。

  それに金や鉄では武器にするのには硬度が低すぎる。スケルトンなどのダンジョンモンスターに持たせるには十分だろうが、それらは優斗たちが使う武器としては不十分だろう。


「僕の錬金術用の素材はどうだい?」

「それはちょっと違うな。かかるDPから考えるとおそらくすごい素材ではないだろうが、それでも俺がインフィニティ時代には見たことがないような素材がいくつかあるぞ」


  錬金術の素材に関しては新たな発見がいくつかあった。

  インフィニティ時代にあった珍しい素材と言うのは見つからなかったが、それでも優斗たちが見たことがない薬草などがいくつかあった。ダンジョンの周辺にも優斗たちが知らない薬草があったことから、エリアスが使う錬金術に関してはこの世界でさらに発展する可能性はある。


「それはいい!とりあえずいくつか素材を出してくれないかい?それを使っていろいろ研究してみたいんだ!」

「でも今の状況じゃちょっとな……」


  優斗はエリアスに実験させるということ自体には賛成だ。この世界の素材で何が作れるか興味があるし、そこでの発見によってエリアスが新たな方法を思いついてインフィニティで得た素材をもっとうまく使う可能性もある。エリアスが錬金術の研究をするのは大歓迎だが、残念ながら今それをされては困る事情がある。


  エリアスは未知の素材を使って実験するのだ。つまり、場合によってはエリアスが実験で使った素材がすべて無駄になる可能性は高い。今の優斗たちにはDPを無駄遣いするような余裕はない。

  失敗は成功の基と言うが、今の優斗たちにはその失敗をしている余裕はほとんどないのだ。実験をするならもう少しDPに余裕ができてから、そう優斗が思うのも無理はない。むしろ彼の性格からすればそう思うのが当然だろう。


「優斗の言っていることも当然だね……じゃあ、僕が自分で外の素材をとってくるよ!それなら文句ないよね?」

「わかった!どうせ明日からは狩猟採集組も増えるからな。エリアスもそこについて行ってよさげな素材があったらそれを実験に使ってくれて構わない。研究所はとりあえず前に作ったダンジョンコアの隠し部屋でいいよな」

「いいのかい!?」


  優斗たちのダンジョンに関する実験は、今日でひと段落させる予定だ。そこからは今の警備組と狩猟採集組の二つになる。エリアスには狩猟採集組として働きつつ実験もしてもらえばいい。技術の発展は歓迎すべきことだ。

  優斗たちには余裕はないが、それでもエリアスが自分で実験分を稼ぐというのならば異論はない。エリアスは飲食不要のため、ほかのNPCたちよりもかかるコストが小さい。ならその分を実験に費やしてくれればありがたいということなのであった。


「いいさ。バックアップは全然してやれないだろうけど頑張ってみてくれ。何度も言うようだが、インフィニティから持ってきた素材は使うなよ。使っていいのは外で得た素材、後はダンジョンコアから出せる素材だけだ」

「ダンジョンコアからもいいのかい!?」

「いいよ。もちろんある程度の制限はあるけどな」

「やったー!」

「エリアスさんよかったですね!」

「よかったでしゅね!」

 

  エリアスは大好きな実験ができると聞いて大喜びである。エリアスの嬉しそうな姿に触発されたのか、ミアとアコも非常にうれしそうにしていた。


「最後は食材だ。電子機器とかは出せないみたいだが、どうやら地球の食材は出るみたいだぞ」


  ダンジョンコアには電子機器や化学兵器などの欄はなかったが、地球の食材は召喚できるようであった。当然と言うべきか、地球の食材も高級なものになればなるほどDPがかかる。あとはこれを晩御飯に出して味などを確かめたら、とりあえずはダンジョンコアの性能テストは終わりになる。


「そろそろ皆が帰ってくるです!早くご飯に行くのです!」

「ごっはん~!」


  優斗たちは地球の食材を使った晩御飯を全員で食べた。その日の報告は昨日ほど荒れることもなく終わりを告げた。

  目立った報告としては、どうやらスキルによって召喚したモンスターはダンジョンコアから召喚されたダンジョンモンスターとは違い成長しなさそうであり、それならば死体は基本的にDPに変えたほうが良さそうであると言うことだけであった。




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