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商家の息子を救え!オガー島 襲撃作戦!! part.2

 オガー島へ殴りこむにしても一人では心許ない。

 

 相手がどれだけ居るかも分からない。大魔王の娘といっても無敵の存在ではないのだ。

 今から魔界に戻って仲間を連れてくるか?キョウティにトークでも連れてくれば、頭数としては十分だろう。

 


「でも、魔界に戻るのも面倒だよなぁ……」

 

 一応、魔界から人間界に降りるには手続きがいるのだ。それはとても簡単なことだが、面倒や違反行為をしようものなら止められてしまう。

 

 仕方なく、ファウは人間界で仲間を探すことにした。丁度、商家のおやじはコミックミートを持たせてくれた。簡単に言うと骨付き肉で結構大きい。

 

「荷物になるからいらねぇよ」

 

 と一度は断ったのだが、必ず助けになるからお持ちくださいと無理矢理に持たされてしまった。

 

「クソヤロー、不良在庫じゃねぇかコレ」あと2日で賞味期限が切れてしまう。

 一度は捨てていこうかと思ったのだが、一応は高級品である。もしかしたら高く売れるアテが出来るかもしれない。そう思うと金欠貧乏性のファウには捨てられなかった。

 

 その思いが叶ったか……その使用機会が、刻々と近づいている。

 


「おっ!!あそこに見えるは――」



 一匹の白いオオカミがいる。見たところお腹を空かせているようで道のど真ん中に居座って、こっちを睨んでいる。

 

 ファウも睨み返してみたがまったく怯まない。

 魔界のサイコクロプスですら怯んだというのに、見上げた根性のオオカミである。

 そう思っていると、オオカミがこちらへ寄ってきた。

 


「私、シャーベリアン・ハスキードと申します。見てのとおり犬です」

「犬なの?」

「はい。犬なんです。どこからどうみても犬でしょう?」

 

 これは犬なのだろうか?そもそも犬とオオカミの違いは、生活環境によっている。

 犬は人間と共に暮らしているのに対し、オオカミは自然の中で暮らしているのだ。

 よって自然の中で生きている彼はオオカミに分類されているのだが、

 


「そんなこたぁどうでもいいだろ?」



 ファウにとってはどうでもいいことだった。問題なのは睨んできたという一点である。

 睨んできたということは喧嘩を売ってきたということである。喧嘩を売ってきたということは叩き倒さねばならない。

 


「睨んできたお前が悪いんだぜ!!」

 


 目の前の相手を倒すことが全てだぜ!!というのはファウの考えた魔王道である。

 相手が犬だろうがスライムだろうが、逆らうのだったら容赦はしない。

 ダークフレイムファンタジーで焼き切るだけなのだ。

 

「おいっ!それを言うなって言ってんだろ!!」


 怒られてしまった。彼女にとってダークフレイムファンタジーは癒えることのない心の傷のようだ。それはさておき、

 


「お待ちなさい。お嬢さん。私は犬だ。犬ということはお嬢さん方の仲間に当たる」

 


 どうやら先ほどの話を言っているようだ。もっともファウは人間ではないので、必ずしもその話に当たるわけではない……あたる訳ではないが、シャーベリアン・ハスキードはファウを人間だと思い込んでしまっている。

 

 

 これが本来であったら致命的なミスである。ファウの機嫌が悪かったら首と胴が爆散していることだろう。もっとも今のファウはシャベリアン・ハスキードに僅かに興味を抱いているため、その限りではなかった。

 


「で、お前、なんで私のこと睨んでたんだよ?答えによっては見逃してやるから簡単に言え」

「私はお腹が空いている。そして貴方はコミックミートを持っている。そこから導き出される答えは……」



 ①貴方の持っているコミックミートが欲しい

 ②コミックミートを持っている貴方が欲しい

 ③欲しいのは貴方でもコミックミートでもない



 この3つの中のどれか?だという話だそうだ。さて、いったいどれだろう。考えてみよう。



「よし分かった。お前、死にたいのか」

「答えは①です。どうでしょう?私にコミックミートを一つ下さいませんか」



 勿論、タダではありません。とシャベリアン・ハスキードは言った。

 もしもコミックミートをくれたのならば、自分のできる範囲で貴方様の言うことを一つ聞き入れましょう。ということだった。

 


「こんなもん、私は食べないからな。全部やるよ……あぁ、丁度、人手が欲しかったんだ。俺についてこいよ」

 「あ、一つで結構です。多く貰っても聞ける願いは一つだけですから。あとコレ、意外にお腹に溜まるんですよ。2個も食べたら動けなくなりますね」

 


 そういう訳でシャベリアン・ハスキードが付いてくることになった。

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