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決戦!天界天華 プリンセス・アウラン part.2

「我々は大変なことになったのだ!!」


 喫茶店に入ったエクソーンは、開口一番にそれを言った。


「あァ?大変なことって何だよ。あァ、もしかして天界絡みの話か?」

「だからその話をしてるんだってぇ。聞いてなかったの?どうせー僕達の話なんて」


 おはらい戦隊の面々によれば、人間界での失敗、それに魔王ディアボロスに懐柔によって、既に『おはらい戦隊』は裏切り者となってしまっている。

 そんな状況で一通の手紙が天界より舞い降りたのだった。

 


 これがその手紙だ、とエクソーンは一つの封筒を取り出した。

 純白の封筒に金色の刺繍の走った見事な封筒である。

 

(今時、こんなもん送りつける奴がいるのかよ)


 中を見てみると、やはり白い便箋に墨を用いた字で何やら文字が書いてある。


「…………読めねぇよ。コレ」


 ただでさえ天界文字でファウには読めないのに、更に達筆と来ている。

 読者の皆様の間隔で言えば流れるようなアルファベット、英語が並んでいるようなものなのだ。

 一応、魔界でも天界文字の勉強を行っている。それは天界との交流のためなのだが、勉強が嫌いなファウがそんなものをマジメに励んでいるわけはない。

 シュウやキョウティなら飛び飛びでも読めただろう。しかしファウには無理だ。



「ま、まぁ仕方ないわヨ。ファウちゃんは勉強嫌いなんでしょ!ネイティブのワタシだって飛び飛びにしか読めないんだから、気を落とさないで」

「でも僕は読めるよ」

「お金があれば私が読む必要もないさ」

「オレは底辺高校に通ってるからといって、勉強ができないわけじゃないぞ」

「…………」

 

揃って底辺高校に通っているおはらい戦隊だが、学力は全員同程度ということはない。

 「それでよォ、コレなんて書いてあるんだよ」

 

 ふむ、とエクソーンが便箋を手に取ると、内容を小さな声で読み始めた。

 

 

 この度はよくも計画を失敗させてくれたものだ。

 言い訳を天界で聞いてやる。使者を出したので、同行されたし。

 ……ちなみにこのことは誰にも話してはならない。協力を求めてもならない。

 違えれば罰は大きくなるだけである。忘れることなかれ。



「――おい。お前、コレ私に話しちゃダメなヤツじゃないのか?」

「フッ、お前なら大丈夫だ。なぜなら……」

「ファウちゃんはワタシ達と一緒で底辺っぽいから、一緒にいてもおはらい戦隊の仲間にしか見えないのヨ」

「キミのためにおはらい戦隊のバッチも作ってきたんだよ。幸運招来のまじないつきー」

「タダでおはらい戦隊に入れるなんて、キミもスミにおけないね。歓迎するよ」


「誰がお前達の仲間になるかってんだ!バカにしてんじゃねー!!この場でふんじばって、天界の使者とやらに引き渡してやる!!」

「悪いがもう迎えが来たようだ」

 


 喫茶店の入り口に白色の学ラン、俗に言う白ランを来た一団が集まっているではないか。

 あんな目だってしょうがない白色の服装をした集団、組織は魔界にはまず存在しない。

 


「エクソーン様、ですね?お迎えにあがりました。プリンセス・アウラン様がお待ちです」

「こっちこそ待っていた。ところで、待っていた最中に昼食をしていたんだが、これがまだ終わっていない」

「分かりました。私どもは外で待っていますので、終わったらこちらへ」



 それだけ言うと白ランの一団は外へ出て行った。何をする訳でもなく、外の少し離れた場所で待っているようだ。


「どうやらファウちゃんはワタシ達の仲間だと思ってくれたみたいネ」


 あの一団からは特に言及がなかったところを見ると、どうやらファウはおはらい戦隊の仲間だとみなされたらしい。

 こうなるともはや抜けることができないだろう。

 ファウがおはらい戦隊の仲間だと見なされた以上は、この場から去ることはできないのだ。

 いっそのことおはらい戦隊と外の連中をまとめて張り倒してしまうのが良いのかもしれない。

 そうすれば天界へ行ってトラブルに巻き込まれることもないだろう。しかし、

 

 (外にいる連中、ざっと10人はいるな)


 このことである。

 

 そのうえ白ランを着ている連中はこぞって腕っ節が強そうだ。

 筋骨の張った骨格が白ランの上からでも十分に見て取れる。

 こうなるとファウとおはらい戦隊が束になっても倒せる可能性は低いだろう。

 ただ一方でこのままいけば『プリンセス・アウランの顔を見ることができる』というメリットがある。

 勿論、顔を見るだけで済ませるつもりはない。あわよくば叩きのめして、憂さを晴らしてやりたいところだ。


(問題はアウランの奴がどれくらい強いのかってところだが……)


 それについては実物を見てやった方が早いだろう。

 もしも強すぎるような相手だったら、顔を見るだけにして引きあげてくればいい。

 こう考えるとプリンセス・アウランのヤツを叩きのめすことが楽しみで楽しみで仕方なくなったファウである。


「おっ、そうだ良いこと考えたぜ」


 ピッピッピと手持ちの携帯電話でキョウティに電話をかけて、十数分後、ファウとおはらい戦隊は白ラン部隊と一緒に天界へ向かったのだった。

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