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打倒!おはらい戦隊 EXシスターズ part.3

「まさかこの剣がこんなところで役立つとはな……捨てなくて良かったぜ」


 オガー島の一件で商家の息子を救出した際に、報酬としておやじから貰った剣である。

 無骨で飾り気もなく、金にもならなさそうなどうしようもない剣だったが、父であるアズマにお金の流れを止められているファウにとっては貴重な武器である。

 親父の怒りが治まるまで、手荒く使ってやろうという訳でファウの部屋の片隅に立てかけられていたのだった。

 

「ついでにお前も役に立ったな。捨てなくて良かったぜ」


 とファウが声を掛けたのはシャーベリアンである。

 シャーベリアンもあの一件以降、ファウの家に住み着いている。アイアンアイアイの猿山鉄郎も同様だ。


 名目はファウの手下の魔物とした。

 二人は昼間の間は仕事へ出かけて、それなりに生活費を稼いでくれている。

 EXシスターズのアジトを脱出したファウは、自宅にいるシャーベリアンへ連絡を取り、この剣を持ってこさせたのあった。


「猿山さんも呼んでおきました。ザコ怪人は彼が倒してくれるでしょう。ファウさんは心置きなく、あのボス怪人と戦ってください。私はそこで応援していますので、何かあったら呼んでください」

「お前は戦わないんだな」

「私が戦っているところ、見たことありますか」

 


まだシャーベリアンが登場して2話しか経っていないが、彼が戦っているところは1度として描かれていないのだ。今回も例に漏れず、描かれないことだろう。

 

「ともかく、皆さん、はやくファウさんの活躍が見たいんです。その剣で新しい必殺技のお披露目と行きましょう」

「おっ、そうだな」

 

ファウが剣を構えてエクソーンと向き合った。

 

「いくぜ!必殺のぉ……!!」

 


『ゴーオン・サンブレイカー!!』



 こんなこともあろうかと考えていた。必殺技はいつ繰り出すか分からない。

 いざ使うときに技名を決めていなければ、編み出しても撃つことができない。

 ネーミングに適当は許されない――この物語の名詞はちゃんと意味やモチーフをもってつけられている。

 良かったら探してみて欲しい。褒賞はないけれど、満足感はあるかもしれない。

 

さて……

 

ファウの放った一撃は魔力とパワーで相手を打ち砕く必殺の一撃であった。

 シンプルな攻撃だが単純ゆえに破壊力は強い。

 

「くっ……」

 

エクソーンは持っている剣を両手で支えて、苦し紛れに攻撃を受け止めようとしたが、

 


「………フフフ、やはり効かないな」

「なにっ!?」

 


ファウの渾身の一撃をエクソーンは受け止めてしまった。手加減などしていないし、本当ならビルの一つも崩壊させるほどの威力を持っているのである。

 細身でひょろひょろのエクソーンなどが、到底受け止められるはずがないのだ。

 


「なんでだ!?全力で打ち込んだはずだぜ!?」

「ハッハッハ!悪魔だけにやはり頭は良くないようだな」

「いや、ファウの頭の悪さは地だぞ。悪魔は関係ない」

「そうそう、私は悪魔じゃないからな……って、違うだろ!ゼンソク!!」

 


 今回の話に置いて、悪魔うんぬんは問題ではない。

 問題なのは『ゴーオン・サンブレイカー』の威力である。

 本来ならば前述のとおりの威力を秘めている一撃だが、それがどうしてこんなにも貧弱なのだろうか?



「答えは簡単だ。分かるか?悪魔な小娘よ。試しになんか答えを言ってみるといい」

「うー……、お腹が減ってるからとか?」

「違うな」

「調子が悪いから、とか?」

「全く違う」

「そうだ!お前のなんらかの術のせいだ!!」

「多少近いが……まぁ、正解としてやろう」



 皆さんはお分かりだろうか? そんなに前の話ではないのできっと覚えていることだろう。

 頭の悪いファウはそれでも忘れてしまっていたが、答えはエクソーンの術である。

 エクソーンの術でファウは魔力を奪われてしまっていたのだった。

 それ故に『ゴーオン・サンブレイカー』は本体の威力を発揮することができなかったのだ。

 

「だがバカに生きている価値はない!悪魔ならば尚更だ!!」

 

受け止めたファウの一撃をそのまま押し返した。ファウはアスファルトの上に投げ出された形となっている。

 そこをエクソーンは容赦なくファウを蹴り上げた。

 


「ぐうっ……!!」



 こんなにも思い切り殴打されたのは久しぶりのことだった。トーク城襲撃の件でアズマに殴られた時以来だろう。

 痛みにして同等かそれ以上だ。恐らく、この状態でアズマに殴られたら死ぬと思われる。

 

(ちっ、普段の私ならこんなヤツ、全身骨折させて動けなくなったところを柱に張り付けて、フラワービッグバーンで夜空に打ち上げてやるってのに……ちくそー)

 

今では痛みに堪えるので精一杯のファウであった。

 

「ハハハハハ!!」

 

その間もエクソーンはファウを足蹴にし続けている。これは死ぬまでやめそうにない。

 

どうしたものか?やぶれかぶれでエクソーンに飛び掛るか?いや、有効打が与えられない以上は飛び掛っても無駄だ。


 武器――商家の剣で必殺技を叩き込んでも無傷だったのだ。通常の方法では勝ち目はないだろう。

 では万事休すか……。

 さすがのファウも視界がぼやけてきた。痛みも抜けてきて、ついでに力も抜けてきている。

 


 (こいつはマジでヤバいな……なんとか回復魔法を受ければ……動くことができればこの場を切り抜ける手もあるが……)

 


 悔しいが自力での撃破は難しい。動くことが出来れば応援を呼ぶことはできる。キョウティなりシュウ、猿山鉄郎に協力を頼めば、この事態は打開できるだろう。

 しかし声が出ないし動けないのではどうしようもない。

 

 ファウが気力を失う、まさにそのときであった。


(おい、お前!さっきはよくも俺を叩き付けてくれやがったな!いてぇじゃねーか!!)

 

 不意に怒鳴り声がしたものだった。

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